こたつねこカフェ

癖のある俳優さん、悪役さんが大好きです。時代劇、ドラマ、映画、俳優さんのことを好きに書いています。
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俺、絶対に許せない 「スペシャリスト 」

青い美しい蝶々が飛ぶ。
蝶々は刑務所の鉄格子を越え、1人の男の肩に止まる。
蝶々だけが鉄格子を越えて、外に出る。
まるで、ここに自由がないことを、思い知らせるために現れたような蝶々だった。

いや、蝶々に悪気はない。
無邪気な蝶々は自由の象徴だ。
蝶々が止まった男は、宅間だった。

『俺はまた、ここに戻ってきた』。
宅間は再び、関東の刑務所に服役していた。
『ここには何もない』。

『自由も権利も、日常の平和で退屈な生活も。何も』。
『同時にここには、すべてがある』。
宅間は、刑務所の運動場を見る。

『人間社会で起きる、あらゆるわずらわしさ。悪意。たくらみ。そして犯罪に繋がる心がある』。
受刑者同士のケンカが始まる。
宅間の目にはその2人の名前、罪状、懲役が見える。

スペシャリスト、第1回。
10ヶ月前。
3月14日。

備品管理室に、大きな荷物を持って1人の女性刑事がやってきた。
我妻真里亜。
迎えたのは、警視庁警備局警備対策官・滝道博喜。
我妻を見て、「元ミス警視庁!」と歓迎する。

「写真よりかわいいし」。
「そういう言い方って、セクハラになるんじゃ」。
真里亜がムッとする。
「じゃあ、肩もんであげたりしたら死刑か」。

滝道の言葉に言い返す気も失せた真里亜は、辺りを見回した。
備品管理室というだけあって、いろんな備品が雑然と置いてある。
ほとんど、物置だ。

「あの、部署の名前がまだ決まっていないようですが」。
「ああ、急ごしらえだからね!でもどんなことをやるかは聞いているでしょう」。
真里亜はきりっと起立すると、一気にまくし立てる。

「ボーダーレス化する凶悪犯罪に対応するため、縦割りの組織を超えて円滑な捜査ならびに情報の収集をするチームと聞いていますが」。
滝道も言う。
「ここに1人の男がいる」。

資料を見る。
そこには、1人の男のプロフィールが書かれている。
「宅間善人巡査部長」。

「君の相方」。
「…と言うか、この部署は、この男のために作られたといっても過言ではない。ちなみにこの男、刑務所に服役していた」。
真里亜が、ちらりと滝道を見る。

「そういう冗談、苦手なので」。
「優等生なのに応用力ない!?ああ、ゆとり世代か」。
「元犯罪者が、刑事になんてなれるわけありません。それより他には、どなたがいらっしゃるんでしょう?」

「どなたが、って君とこの男と2人で全員」。
真里亜が目を丸くする。
「こ、困ります、そんな!刑事だか犯罪者だかわからない、得体の知れない男と2人っきりだ何て!」

「またまたぁ。刑事だか犯罪者だかわからないなんて、ひどいこと言うよねえ」。
滝道の声ではなかった。
声がした方に、ソファがある。
毛布が動き、はねのけられる。

その下から、宅間が起き上がる。
「いるならいるって、教えてください!」
うろたえた真里亜が、滝道に抗議する。

「さっきここに1人の男がいるって言ったよね~?」
ソファから起き上がった男がやってくる。
「得体の知れない男、宅間です。よろしくね」。

怒っている?
呆れている?
宅間の表情からは、何の感情もつかみ取れなかった。

野方希望刑事が、書類を持ってやってくる。
彼は捜査一課所属だが、1課で手に余った事件をここに持ってくる。
滝道に伝書鳩と言われ、僕はあくまで1課の人間ですからとつぶやく。

書類を受け取った滝道は宅間に「名刺代わりに解決したりしてくれる?」と依頼した。
だが宅間は「我妻さんだって?任せた。俺基本的に、仕事しない人だから」と言って歩いていく。
「ああっ、宅間君!」
あわてて、滝道が引き止める。

部屋に置いてあるお菓子を指差し、「ほらこれ見て、このお菓子好きでしょ?」と叫ぶ。
「娑婆でしか食えないお菓子、これあげるから!」
「はい、この事件も上げるから!」
宅間がやっと、書類を開く。

真里亜が覗き込む。
「何なんですかこの現場」。
「動機?ミステリーだらけの犯行現場、って感じ?」
宅間がニッコリ笑う。

真里亜が宅間のプロフィールを見ている。
「京都府警本部、広報課に配属?最初は刑事じゃなかったんだ」。
『10年前、京都神社で殺人事件が発生』。

『スパナを握った宅間が逮捕され、無実の訴えも空しく服役』。
『服役中、宅間はあらゆる犯罪者の技能、犯行の手口、動機を頭の中にインプット』。
『10年後、被害者が意識を回復』。
『冤罪であることが判明』。

『宅間の扱いに困った警察は、宅間を特別捜査係として刑事として復職させた』。
『宅間は難解な事件を次々解決』。
「どうしてそんな人が…」。

すると、野方が声をかける。
「あのう、宅間さんがエントランスでお呼びですよ」。
「あっ、はい!」

呼ばれて向かった現場は、戦前から続く資産家・新宮司家の当主が殺された事件現場だった。
執事の君原が対応。
続いて出てきたのは、新宮司の妻、朱子であった。

現場の部屋に通された宅間は、「すっごい部屋だね」と言って見回した。
「あっ、何これ~」。
宅間は、精巧に作られたジオラマに飛びつく。

「あのこれ、走らせて良いですか?」
そう言うと、ジオラマの列車を走らせた。
「すげえ~!」

だが列車は、ぷつりと止まった。
真里亜がスイッチを切ったのだ。
そして、宅間をにらみつける。
「あっ。こわ。すっごい顔だね」。

新宮司家では事件の日、先代の命日であり、内輪の食事会が開かれることになっていた。
お客は、ライターの横内。
執事の君原の娘・清香。

だが時間になっても、当主の直兎は現れなかった。
声をかけるが、部屋から返事は帰って来ない。
ドアを破ると、部屋の奥には首を吊った直兎がいた。
気絶しかかる朱子に君原は、横内と、弁護士の近藤竜行を呼ぶように言った。

宅間は、この事件の特徴を次々に指摘していく。
まずは1つ目、密室。
そして十二支の人形が置かれ、兎の置物はすっぱり、首を切られていた。
つまり、2つ目、見立て。

そして、酉年の人形は被害者の直兎が握っていた。
3つ目、ダイイングメッセージ。
先ほど、宅間がはしゃいでいたジオラマ。
ジオラマには、台風で欠航と張り紙があった。

つまり、どこにも出られない。
クローズドサークル。
これが4つ目。

床に落ちていた首の部分で切られていた兎の置物は、首なし遺体を表している。
これが5つ目。
直兎の死因は脳虚血だった。
背中のナイフの傷は死後のもの。

宅間は壁にかかっている絵に注目した。
「ずれてるね」。
絵を動かすと、下から鍵が現れた。

朱子が驚く。
「これ、開けられますか?」
「いえ、知りませんでした」。

「古いから簡単だね」。
「あの、ちょっと!」
言うが早いか、宅間は鍵をいじる。

「あ、開いた」。
「やっぱりそうか。そうそう、俺が雑居房で一緒だったバルやんの話だけど…」。
唖然とするみんなを前に、宅間は話し始める。

「雑居房?」
君原が何かの聞き間違いかと思って、言葉を繰り返す。
宅間が言うバルやんと言う男は、寺から仏像を盗んだ。
だが住職は情け深く、犯罪にしないようにとりはかろうと、仏像はあげたものだと言った。

「バルやん、宿無しで刑務所に入りたかったんだよね」。
「時に人は、犯罪じゃないのに犯罪にするってこと」。
「そうですよね、君原さん?」

宅間はたちまち、直兎が入った生命保険の証書を見つけ出す。
受取人は執事の君原。
自殺の免責がなくなる、1年経過を待って、この事件は起きた。

直兎はかつて、小説で新人賞を受賞したが、その後はまったく書けなかった。
つまり…。
直兎は自殺。
ではなぜ、君原が受取人なのか。

顧問弁護士と思われた近藤は、新宮司家の直兎の弟であった。
君原の娘、清香は重い肝臓病で生体肝移植が必要なこと。
しかし生体肝移植は、「親族間のみ」できるため、海外での移植手術しか手段はなかった。

それには莫大な費用が掛かる。
直兎が死ねば、遺産は妻の朱子、そして弟に権利があるのでは?
さらに近藤は朱子を狙っていた。
これが意味するものは?

君原は近藤の犯行を知っているのに、娘を人質に取られて口をつぐんでいるのではないか?
さらにライターの横内が自殺した。
横内は末期がんであり、母親を高級老人施設に入居させようと思っていた。
つまり、彼もまた、莫大な費用を必要としていたのだ。

真里亜は、密室トリックの解明に取り掛かる宅間に呆れる。
もともとは、宅間が直兎は自殺だと言ったのだ。
「犯罪を犯した人間が捕まらずにのうのうと生き延びているなんて、俺、絶対に許せない」。

宅間の声だった。
その声には、いつものような笑いがなかった。
地の底から響いたような声だった。

だが、丸っきりの正義の声でもなかった。
怨嗟と、怒りと、得体の知れない何かがあった。
声の異様さに真里亜が思わず、宅間を見る。

「今、ドキッとしたでしょ?」
宅間がニッコリ笑った。
それは先ほどの声の主とは思えない、おちゃらけた宅間だった。

宅間の声に、驚くなんて。
この人は自分をからかっているだけなんだ。
そのからかいに乗ってしまったと思った真里亜は「礼儀として驚いてみせただけです!」と言う。


目が離せないテンポで進むストーリー。
明らかになる事実。
二転三転する展開。

クセモノ揃いの登場人物。
それを飄々とさばいていく宅間。
飄々としている宅間は、本当の姿なのか?

真里亜がギクリとした、時折見せる宅間の別の顔。
はまったと思ったワナだったが、宅間が「わざとはまった」ことがわかる。
その理由も。
効果も明らかになる。

助けに入るのは、京都府警で宅間と一緒に仕事をした仲間たち。
一番肝心なところで現れ、拍手喝さい。
宅間の才能が、危機一髪の相方、真里亜を救う。

「宅間さん、どうして…」。
なぜ、宅間が助けに来られたのか。
「わかるんですよ、俺。10年入ってましたから」。

関東の刑務所に入って、関東の犯罪者の情報もインプットできたしと言う宅間。
でも姉小路はわかっていた。
服役は、朱子の犯罪を止められなかった宅間の、罪滅ぼしだったのだ…。

「何なんですか、この人たち」。
事件解決後、新しいメンバーとしてやってきた姉小路たちを前に、呆然とする真里亜。
「うーん、何なんだろうね」。
とぼける滝道。

だが宅間は密かに、調べていた。
パソコンを開く。
USBメモリを手にする…。

そして、滝道の手にもUSBがあった。
真里亜が滝道に聞く。
「ひとつ聞いても良いですか」。

「この部署は『我々』と何か関係があるんですか?」
滝道が真里亜を見る。
「そのことは、口にしないほうが良いよ…」。
滝道の声もまた、笑いが少しもない声だった。

宅間の前に蘇る過去の事件。
『オタクが、我々の存在に気づいちゃったから』。
『わ、我々の存在…。気をつけるんだ…』。
宅間がまだ知らない、闇が存在している。

もう、ワクワクするような展開でした。
これまでのドラマを見ていたら、すごく楽しい。
見ていなくても大丈夫。
これはこれで、すごくおもしろい。

草なぎさんの演技も冴え渡る。
ガッツリ受けるのは、吹越さん。
お互い、軽くつきあっているようで、闇を抱えている。
この演技合戦、水面下の探りあいも見ごたえある。

昔の「相棒」や「臨場」が好きだった人にも、お勧めしたい。
私の母も叔母もこの草なぎさんを見て、「この子、良いねえ」と言う。
「演技うまくなったね」。
「この子は、前からうまいよ」。

この子、この子ってすみません。
「こういう役は長くできる役」。
「良い役もらったねー」。

「この子は丁寧に演じている」。
「だからこういう役が回ってくる」。
「この子だけは見分けられる!」
ははは。

犯罪者への怒りが、未解決事件のナビゲーターをしていた草なぎさんに重なりました。
楽しみなドラマ。
長く続いてほしい。

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Comment

編集
今期の冬ドラマでは見逃せない作品が多いです。
「鴨川食堂」
「逃げる女」
「いつかこの恋を~」
「ナオミとカナコ」
「悪党は千里を走る」
「わたしを離さないで」

なかでもこの「スペシャリスト」、こんなにも面白かったのですね
いや、実は2時間ドラマの時点では4作ともスルーしてるんですよ
で、連ドラ開始前に「2」が放送されていたのでお試しに見てみたら、なんとも見逃していたことが一生の不覚のような気分に…笑

たしかに昔の「相棒」が懐かしくなる気分…これはやはり脚本ですね
草なぎクンをアテ書きした戸田山雅司氏のホンが、京都組と東京組のキャラの描き分けも巧みなので安心して観ていられました
2016年01月24日(Sun) 18:04
取り上げてくださって、ありがとうございます。
編集
スペシャルドラマと連続ドラマの色がちょっと違って、面白い。
宅間さんが、軽快でひょうひょうとしていて、
そこが、かえって、ミステリアスな空気を強くしているような感じです。
京都組が団結していて、これもまた面白いです。
1つだけ少し不満なのは、銭やん(田中要次さん)がいないこと。
毎回、怪しげな商品を扱う銭やんの登場を楽しみにしていたので、、
東京にも、そんな配役があればいいな、、、と
火野正平さん、、出てくれないかしら?

3月まで楽しみですね。
長く続いて欲しいドラマです。

いつも応援ありがとうございます。


2016年01月25日(Mon) 17:24
micmacさん
編集
>micmacさん

こんにちは。

>今期の冬ドラマでは見逃せない作品が多いです。

私も今期のドラマは楽しみなものが多いです。
逆に全然、ドラマ見なくなってしまうシーズンもあるんですが。

>なかでもこの「スペシャリスト」、こんなにも面白かったのですね
>いや、実は2時間ドラマの時点では4作ともスルーしてるんですよ

お勧めです。
サスペンスとしておもしろいです。
楽しめると思います。
多様な個性を持つキャラクターも散りばめられていて、見ごたえあります。

>で、連ドラ開始前に「2」が放送されていたのでお試しに見てみたら、なんとも見逃していたことが一生の不覚のような気分に…笑

連ドラにならないのかなあと思っていました。
1年待つのがつらい(笑)。

>たしかに昔の「相棒」が懐かしくなる気分…これはやはり脚本ですね

昔の「相棒」ってこのぐらいおもしろかったと思い出すような作品です。
やっぱり脚本が良いんですね。

>草なぎクンをアテ書きした戸田山雅司氏のホンが、京都組と東京組のキャラの描き分けも巧みなので安心して観ていられました

2時間ドラマで準備はバッチリ。
じっくり腰をすえて描いて、話を広げていってほしいですね。
久々におもしろいサスペンスドラマが始まったと思って期待しています。

コメントありがとうございました!
2016年01月30日(Sat) 11:38
パイナップルさん
編集
>パイナップルさん

こんにちは。

>スペシャルドラマと連続ドラマの色がちょっと違って、面白い。

スペシャルを見ているとわかりますね。
でも期待していた人も裏切らないおもしろさ。

>宅間さんが、軽快でひょうひょうとしていて、
>そこが、かえって、ミステリアスな空気を強くしているような感じです。

草なぎさんもその辺り、うまく、ちらちらと深い部分を見せていますね。

>京都組が団結していて、これもまた面白いです。

もう、チームワークばっちり。
でも東京組の反応は、最初の京都組の宅間に対する態度だったりするところもおかしい。
みんな、慣れたんだな~って思って、東京組の変化も楽しみ。

>1つだけ少し不満なのは、銭やん(田中要次さん)がいないこと。
>毎回、怪しげな商品を扱う銭やんの登場を楽しみにしていたので、、

これ、これ。
連れてくるわけには行かなかったんですね。

>東京にも、そんな配役があればいいな、、、と
>火野正平さん、、出てくれないかしら?

あっ、すごく良いですね!

>3月まで楽しみですね。
>長く続いて欲しいドラマです。

シーズン2、3、と行ってほしいです。
でも、看板番組にしようと言う製作陣の気合を感じますよ。

>いつも応援ありがとうございます。

こちらこそ、いつもありがとうございます。
毎週楽しみですね。
今週も見ごたえありました。
ゲストの方も気合入っていると思います。
2016年01月30日(Sat) 11:39












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