「ターミネーター」製作話より 名シーン

以前、「ターミネーター」のDVDの特典映像について書きました。
特典映像のもうひとつは、製作話。
「ターミネーター」は、キャメロンがパリで高熱を出し、一人でホテルで寝ている時に思いついたそうです。

異国で一人ぼっちの、孤独と疎外感。
それが未来から来て、現代に来てたった1人で戦う1人の戦士と、ターミネーターに繋がった。
ターミネーターに寂しいと言う感情はないが、1人には違いない。
なるほど。

最初、ターミネーターは全然、目立たない男にする予定だった。
人ごみから不意に現れ、人を殺す。
不意打ちの恐怖。

そして当初、シュワルツェネッガーは、カイル役だった。
これだとだいぶ、映画が違ってくる。
だが特殊メイクのスタンも、監督のキャメロンもシュワルツェネッガーと別れてから思った。
彼が絶対にターミネーターだ!

ターミネーターの機械の顔が半分。
半分がシュワルツェネッガーの顔になっているアイデア画が、シュワルツェネッガーの事務所に送られてきた。
目立たない男にしようと思っていた、ターミネーター。
しかしシュワルツェネッガーは、目立つ。

だから今度は徹底して、シュワルツェネッガーを非人間的に見えるようにした。
彼から表情を一切、消した。
強い意志だけを感じさせれば良い。
ターミネーターは獲物を食べるわけではないが、肉食動物のように付け狙う。

シュワルツェネッガーも考えた。
ロボットだったら、どんな動きをするか。
腕を伸ばし、銃を抜き、撃鉄を起こして撃つ。

その時に、肩も頭も動かない。
振り向く時は、体全体をまわす。
しかし動き自体は、スムーズだ。
製作者のセンスとシュワルツェネッガーの演技と特長が、最初に発揮されたのはサラを最初に襲撃する名シーン。


クラブでサラが、警察の来るのを待つ。
すでに同姓同名の女性が2人、殺害されている。
電話帳の順番に2人は殺されている。
それによると、次は自分の番になる。

一人で食事をしていたサラはニュースでそれを知り、店を出た。
動揺するサラを、一人の男がつけてくる。
それでサラは、近くにあったクラブに入って、公衆電話で警察を呼んだのだ。

一方、ターミネーターはサラの自宅を襲撃し、ルームメイトとその恋人を殺していた。
そこにサラから、助けを求める電話が入る。
自分がたった今、殺したのはサラではなかった。

ターミネーターは部屋の引き出しを開け、身分証明書でサラの顔を確認した。
サラからの電話により、サラがクラブにいることを知ってターミネーターがそのクラブにやってくる。
鳴り響く音楽。
踊る人々の中、ターミネーターがサラを探して歩く。

向こうを覗き込んだサラが、テーブルの上のビンを落とす。
ビンを拾おうと、サラがかがむ。
ターミネーターが通り過ぎる。

最初の探索でサラは、見つけられない。
サラの運は強い。
どこか、別世界のように音楽が響いてくる。
スローモーション。

頭を上げたサラは、正面に男がいるのを見る。
カイルだ。
サラを守りに来た男だ。
だがサラはそれを知るはずがない。

サラは思う。
あそこにいるのは、先ほどから自分をつけてきた男だ。
思わず、サラは目をそらす。

その時、ターミネーターがサラを発見した。
鳴り響く音楽。
踊る人々の間をターミネーターは無遠慮に割り込み、やってくる。
サラに近づくターミネーター。

あとでカイルがサラに言う。
旧式のターミネーターは、顔がゴム製なので見分けがつきやすかった。
今度のターミネーターは、汗から息まで人間みたいだ。

だから、誰がターミネーターなのかわからなかった。
襲って来る時に見分けるしかなかった。
サラに近づくターミネーターを見たカイルは、コートを翻して振り向いた。

コートの下には、銃身を短くしたショットガンを隠していた。
ショットガンを身構えるカイル。
サラを見つけたターミネーターが、銃を抜く。

赤いレーザーが、サラの額に当たる。
標的は定まった。
踊る人々を突き飛ばすカイル。

スローモーション。
まるで時間が止まったような、スローモーション。
このシーンの緊張感はすごい。
そして、銃声が響く。

カイルが撃ったのだ。
ターミネーターは、もんどりうって吹き飛ぶ。
サラが驚いて、椅子から転げ落ちる。
悲鳴が上がり、人々が逃げていく。

仰向けに倒れたターミネーターの、指が動く。
死んでいない。
目をカッと見開き、ターミネーターが起き上がる。
サラも店から逃げる。

邪魔者のカイルに銃を乱射したターミネーターは、逃げていくサラを見る。
銃で撃つ。
サラの背後にいた女性がターミネーターの銃撃を受け、倒れる。

女性が倒れる時、サラに覆いかぶさり、サラが転ぶ。
ターミネーターが近づいてくる。
逃げようとするサラだが、覆いかぶさった女性を払いのけることができない。

もがくサラ。
近づくターミネーター。
その時、再びカイルがターミネーターを撃つ。

衝撃で吹き飛び、ガラスを突き破り、道路に倒れこむターミネーター。
サラの手を取るカイル。
だがターミネーターは起き上がってきた。
その光景を見たサラの目が、信じられないと驚愕に見開く…。


このシーンの緊張感とスリル。
観客は一気に話に、引き込まれる。
ターミネーターの異様さを感じる。

悔しそうな顔もしない。
痛みも感じていない。
知性的な襲撃ではないが、圧倒的な力によってめちゃくちゃなやり方が通ってしまう。

何度見ても、見飽きない名シーンですが、これはシュワルツェネッガーだからできたことだと思う。
最初の構想のキャスティングだと、確かにホラーにはなる。
だけどラストシーンが、あそこまで感動を呼ぶ話になっただろうか。
やはりこの成功はストーリーのおもしろさと、キャスティングの見事さだと思います。


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