「ターミネーター」のDVDでの特典映像の製作話が、非情に興味深い。
パトカーを乗っ取り、ターミネーターが夜のロサンゼルスをサラとカイルを探すシーン。
このイメージはサメだそうです。

ロサンジェルスの夜を泳ぐ、サメ。
目だけが動き、その後を頭が追う。
次に目が戻り、頭が戻る。

監視カメラのようだ。
機械の動きだ。
翌日、lこのフィルムを見たスタッフは「こんなの見たことない!」と、思った。

名セリフ「I’ll be back」。
「また来る」。
セリフを言ったターミネーターが車を暴走させて、警察署に乱入する。

でもこのセリフは、ウケを狙ったわけじゃない。
再見のお客さんは、セリフの後の展開を知っている。
ターミネーターが本当に「また来る」ことを知っている。
だから、とてもウケる。

車を暴走させ、警察に乱入したターミネーターは、警官たちを片っ端から撃つ。
警察官だって撃ってくる。
弾丸はしっかり、ターミネーターに命中している。

だが、ターミネーターは撃たれても、ダメージはゼロ。
サラのことしか、眼中にない。
ただ、邪魔をするから、振り向いて撃っている。
警察署、壊滅。

この展開を知っている再見の観客は、「また来る」のセリフにニヤリとする。
初めて見るお客さんは、この後に起きることで「また来る」の意味がわかる。
つまりこの映画は、何度も鑑賞しても楽しめる。

撮影は、無茶もした。
シュワルツェネッガーを車に縛って、車がバックしていくシーンも撮った。
窓を素手でぶち破る。
さらに車からガラスの上に落ちる。

、シュワルツェネッガーが「ひどい撮影」と言うシーンが、ここ。
カイルが運転する車から落ちた時だ。
体に、酸をかけられた。

立ち上る煙は衝撃の激しさと、それに耐えるターミネーターの頑丈さを強調する効果があった。
だがシュワルツェネッガーは、酸をかけられることには抵抗した。
スモークとか他に方法はないのか?と言った。

だが、特殊メイクのスタンは言った。
体が煙を上げる感じを出すため、酸が必要だと。
結果、シュワルツェネッガーは酸をかけられた。
酸が顔に流れてきて、目にしみて痛かった。

キャメロン監督は特殊メイクの時、表面は皮膚だが下は機械であることを要求した。
皮膚の下には、機械。
頬の内部に、油圧メカニズムがある。

最後の決戦に向かう前の、追跡のシーン。
車から法理ださえたターミネーターは、後ろから来たタンカーに轢かれる。
それでも、ターミネーターは止まらない。

人を轢いたと思ったタンカーの運転手が、降りて様子を見に来る。
運転手を襲い、ターミネーターはタンカーの運転席にやってくる。
助手席の青年は運転手が戻ってきたと思い、「面倒なことになる前にずらかろう」と言う。

そして乗り込んできたのが運転手ではなく、顔の半分に肉がなく、機械がのぞいている異様な男だと気がつく。
目の部分にあるのは、赤いレンズ。
「それ」は、ややぎこちなく命令した。

「降りるんだ」。
ゲットアウト。
そう言われた青年は、恐怖で口も利かず、降りていく。

シュワルツェネッガーは思った。
そんな容貌を作るのは、不可能だ。
しかし、スタンは言った。
「いや、可能だよ。君には何時間も辛抱してもらうけどね」。

予算のことを考え、キャメロン監督は撮影はなるべく昼に撮影するように言われていた。
でもキャメロンは、夜にこだわった。
夜のシーンが多い映画にするべきだと思った。

製作費も十分ではなく、苦労した。
サラ抹殺の命令を受けたターミネーターだが、サラの資料は戦争で消滅しており、名前と住んでいる場所しかわからない。
だからターミネーターは電話帳を見た。

電話帳の順番に、ターミネーターは殺人を行っている。
第1のサラ・コナーが犠牲になる前のシーンで、ターミネーターは車の窓を叩き割り、車を手に入れている。
このシーンは3人しかいないスタッフで、人目を忍ぶように撮影した。

シュワルツェネッガーは言う。
「ターミネーターが、自分でトランクから衣装を出す」。
手袋をはめ、ジャケットを羽織る。
合図でガラスを割り、警察が来るまでに次に行こう!と逃げるように去っていったと言う。

「君は嫌がらなかったね」と言われたシュワルツェネッガー。
だが本当はガラス窓を素手で叩き割るなんて危険だと、抗議する間もなかったのだと言う。
ターミネーターのシュワルツェネッガーは無表情だが、実は大変な撮影だったのだ。

監督は、映画ではカイルを通して観客には悪夢の体験をさせる。
サラを通して、日常を体験する。
そのためにサラ役には、平凡な日常を感じさせる女優が必要だった。

サラは徐々に強くなるが、出だしは平凡で、無防備な被害者でなければならない。
女らしい、ウエイトレスのバイトをする子。
金曜の夜には、デートを楽しみにしている普通の女の子。

その普通の女性が命を狙われ、自分の使命を自覚するにつれ、強くタフになっていく。
変わっていくのがわかる。
サラは、苦難に立ち向かう力を得る。

「ターミネーター」は特殊効果だけを売りにするようなアクション映画ではないと、監督も特殊メイクもシュワルツェネッガーも言う。
子供だけが、SFファンだけが、アクション映画好きだけが大喜びする映画でもない。
メッセージがあり、娯楽性も高い。

だから、全部の層の人に訴えるものがある。
観客を選ばない映画なのだと言う。
確かにそうだ。

カイルが「この時代の武器では倒せない」と言い切るターミネーターを追って、「もう戻れない」「誰も来ない」のに志願してやってくる。
その理由が本当は「伝説の人物サラ・コナーを見たかったから」ではない。
「彼のためなら死ねる」リーダ-・ジョンが生まれる前に抹殺されるを阻止されるのを防ぐため。
未来の人類のため。

でも何よりの理由は、「ずっと前からサラを愛している」から、会いたかったからなのだ。
カイルは戦争後の焼け野原に育ち、飢えて、HKからの探索に怯え、逃げる暮らしを送ってきたという。
戦いしか知らず、体は傷だらけ。
そしてかなりのイケメンである。

これが未来からたった一人やってきて「ずっと前から愛していた」と言う。
体を張って守る。
サラが愛してしまっても当たり前だと思う。
「ターミネーター」はSFアクション映画の名作であり、すごい、すごいラブストーリーの名作だと思う。

だがスタッフは作っている最中、ヒットする自信は正直、なかった。
ヒットしてからも、実感はしなかった。
「ターミネーター」は劇場公開が終わった後、テレビで放送された。
高視聴率だった。

ビデオが出て、また人気が出た。
続編を望む声は、高まっていった。
この後「2」が作られ、それも映画史に残る名作となるわけです。
本当にすごいことだと思います。


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2017.01.07 / Top↑
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