純情仇討ち 「遠山の金さん捕物帳」

時代劇専門チャンネルで放送中の「遠山の金さん捕物帳」。
中村梅之助さん主演です。

今回のゲストは、亀石征一郎さん。
山田(原田)大二郎という、腕の立つ浪人役です。
八重という美しい武家娘に、八木孝子さん。

浪人・大二郎はある日、和泉屋の主人から高利貸しの堺屋殺しを頼まれる。
和泉屋の主人は大二郎の名が今は山田と名乗っているが、本当の名前は原田ということを知っていた。
そして、原田大二郎が故郷で木村という男を斬って逐電していることも知っていた。

殺しは気が乗らないと、大二郎は断る。
だが和泉屋によると、堺屋は高利貸しの間でも嫌われているほどの男で、これは人助けと言えるとの話だった。。
これを聞いた大二郎は、ふんと鼻で笑ったが金は受け取った。

その時、騒ぎが起きる。
大二郎が振り向くと、和泉屋は野暮はするなと止める。
廊下に出てそちらを見れば、女が大店の主人らしき老人から逃れようとしている。

大二郎は座敷に踏み込んだ。
「女が嫌がっている!」
「わしが金で買った女をどうしようと、わしの勝手だ」。

「二度とツラを見せるな!」
大二郎は老人をたたき出した。
女将は「乱暴は困ります、この娘は承知の上です」と言う。

その八重という女は、自分は女中奉公に来ただけなのに、客をとらされそうになったと訴える。
すると女将は、どこの世界に女中に25両出すものがいるかとバカにした。
聞いていた大二郎は「20両返せばいいのか!証文を持ってこい!」と怒鳴る。

証文をかざした大二郎は八重に「これに間違いはないか」と聞く。
「はい」。
大二郎は、証文を破く。

そしてたった今、刺客料として受け取った25両を「利息を入れても文句はあるまい!」と女将に出す。
女将は金さえもらえば文句はなかった。
上機嫌で、「ごゆっくり」と言って引き上げる。

大二郎は「こんなところに長居は無用だ。早く親元に帰るが良い」と言う。
八重は「ありがとうございました。お礼の申し上げようも…」と頭を下げた。
その時、大二郎が金を包んでいた、ふくさが落ちた。
ふくさは、「い」の文字が染め抜いてあった。

「あの」。
「あ、いけない」。
大二郎は、ふくさを受け取り、去っていく。
その後姿を八重は、熱を持ったような目で見送る。

夜、高利貸しの堺屋が殺された。
やったのは、大二郎だった。
その現場に、「い」という字が染め抜かれたふくさが落ちていた。

翌日、金さんたちが集まっている飯屋に、八重がやってくる。
みんな、八重が奉公にあがった料亭の名を知った後、心配していたのだった。
その料亭は女中という名目で奉公に来た女性に客をとらせることで知られていたからだ。
だから八重が無事帰ってきたことを、みんなが喜んだ。

そこに殺しがあったと、かなぶんと呼ばれる岡引きがやってくる。
かなぶんの親分は、現場に残されていたふくさを見せる。
そしてこれがあるから、犯人はすぐに捕らえられると言った。
ふくさを見た八重の顔色が変わったのを、金さんは見逃さなかった。

八重と兄は相良の出身であり、父の仇を追う身であった。
2人は、相良藩の江戸家老の屋敷に呼ばれた。
用人が家老に「木村琢磨が来ました」と告げに来る。
家老は和泉屋から、堺屋殺害の報告を受けているところだった。

「木村と言いますと。あの、14年前の木村…」。
和泉屋の問いに家老は「ふん、バカな奴らだ」と鼻で笑った。
八重の名前は、木村と言うのだった。

琢磨と八重の兄妹は、仇を追う身だった。
隣国の藩で仇討ちがあった。
だが、八重たちは14年も仇を追っていていまだに果たせない。
そのため、殿がえらく不機嫌になっていると家老は言った。

一向に仇を見つけられない八重と兄は、窮状に陥った。
その結果、八重は奉公に出ることになり、今回のようなことになったのだ。
家老は美しい八重を執拗な目つきで見る。
八重はゾッとして、身を震わせた。

その頃、大二郎は八重の美しさを忘れることができないでいた。
八重の絵を描いていたところ、大二郎を探していた八重がやってきた。
礼を言う八重と大二郎との間に、温かい雰囲気が流れていた。

長屋に戻った八重を、金さんが訪ねてくる。
おみつに頼んで親分からふくさを奪った金さんは、八重にこれに覚えがあるかと聞いた。
八重は知らないと言う。
金さんが帰った後、八重は再び、大二郎の元へ急ぐ。

大二郎に会った八重は、ふくさがあるかと聞く。
だが、大二郎はどこかに落としたと言う。
八重は、不安な気持ちで帰った。

その翌日、兄の琢磨が八重に言う。
家老のところに行ってくれないかと言うのだ。
それは、家老の側室になるということを意味していた。

今のままでは仇が討てず、藩に戻ることができない。
しかし、八重が家老の側室になってくれれば戻ることができるのだ。
兄はもう、浪人の暮らしに疲れ果てていた。
今度は大二郎が、八重の長屋を訪ねてくる。

八重の部屋の前で入りづらく、うろうろとする大二郎。
すると八重が出て来る。
挨拶もそこそこに、八重は目に涙をためて走り去る。
その後を大二郎が追う。

夜、家老の屋敷から八重を迎えに籠がやってくる。
それに乗って家老の屋敷に向かう途中、金さんが追いはぎに化けて籠を襲う。
金さんは八重を解放し、兄のところに戻るように言う。

しかし八重はその足で、大二郎の家に向かう。
もう兄も家もない。
自分を連れて、逃げてくれと言う八重を大二郎は抱きしめる。

翌日、大二郎と八重は旅に出た。
富士山が綺麗に見えている。
八重は言う。
自分の故郷でも、富士が美しかった。

八重は相良の出身なのか。
すると八重は、自分の父は討たれ、本当は仇を追っている身なのだと言う。
八重の話を聞いていた大二郎の顔色が、真っ青になる。

その翌朝、大二郎は八重に「兄のところに戻りなさい」という置手紙を残し、姿を消した。
八重の父を討ったのは、大二郎の・原田であった。
いや、正確に言うと大二郎の父が八重の父の木村に斬られそうになった。
父親の危機と見た子供の大二郎が、八重の父を刺してしまったのだ。

つまり、2人は仇同士だった。
決して好きになってはいけない相手。
八重を想い、そして自分の罪のせめてものつぐないのため、大二郎は相良藩の江戸家老の屋敷に乗り込む。

そこには自分に殺しの依頼をした、和泉屋の主人もいた。
金さんは密偵の寅に、相良で起きた15年前の事件を調べさせていた。
すると寅は、大二郎の父と八重の父が斬りあった夜の目撃者を連れて戻ってきた。

目撃したのは、仕事帰りの百姓だった。
彼の話からすべてを知った金さんは、屋敷に向かった。
そこでは大二郎が家老の家来たちと、斬り合いとなっていた。

金さんは大二郎に加勢し、啖呵を切って背中の桜吹雪を見せる。
斬りあいになり、金さんが家老たちを叩きのめす。
捕り方が乗り込み、全員が遠山金四郎の白州に揃った。

そこで知らされたのは、14年前の真相だった。
目撃した男が、野良仕事の帰りに自分が見たことをすべて話した。
それによると、八重の父と大二郎の父がもみ合いになり、八重の父親は子供に刺された。
だが八重の父親は絶命していなかった。

その後、3人の男がやってきて、八重の父を殺したのだ。
3人の男は、この白州にいるかと奉行に聞かれた男は「はい」と答えた。
男が指差したのは、遠山の側にいる家老だった。
それと、大二郎に刺客依頼をした和泉屋の主人だった。

公金横領していたのは、江戸家老だった。
家老は自分の罪を、大二郎の父になすりつけたのだった。
それを大二郎の父の罪と思い込まされ、義憤に駆られた八重の父が、大二郎の父を果し合いの形にして斬ろうとした。

しかし大二郎に阻まれた。
失敗したことを知った家老は、八重の父を殺した。
直接、手を下したの家老の用人だった。
そして家老たちは八重と兄に父親の仇として、大二郎たちを追わせたのだ。

その用人は武士を辞め、現在は大店の主人として、家老と結託している。
3人のうち、その場にいない最後の1人こそ、大二郎に斬られた堺屋の主人だった。
この男は後に高利貸しとなってはいたが、何かにつけて家老に金の無心をしていた。
邪魔になった家老たちは、大二郎に刺客依頼をして斬らせたのだ。

それでも白を切る家老たちに、遠山は背中の桜吹雪を見せた。
さらに遠山は仇討ち免状を、持ってきていた。
この白州で、八重と兄に本当の父の仇を討たせる。
助太刀は、大二郎だ。

白装束に身を包んだ八重と兄が現れる。
それに助太刀する大二郎。
八重に襲い掛かる家老の刀を、大二郎が叩き落とす。

「父の仇!」
八重の刃が、家老を貫く。
一方、兄の方も大二郎の助けで見事、仇討ちを果たす。

それを見届けた大二郎は、切腹しようとする。
与力がそれを止める。
金四郎は、大二郎には打ち首の刑を下す。

八重の顔が、哀しみに歪む。
その場で刑が執行されることになった。
大二郎が目を閉じた。
与力の刀が、振り下ろされる。

だが刀は、大二郎の首、すれすれで止まっていた。
金四郎は言う。
浪人・大二郎は今、死んだ。
3人で相良藩に帰り、力をあわせて暮らすが良い。

大二郎と八重は、手を取り合う。
やがて、江戸を去る3人の姿があった。
見事な遠山裁きであった。



若き日の亀石さんの熱演。
苦労をしたのか、世の中を斜めに見てはいる。
だけど、女性の悲鳴を放置できない。

その場で客を追い払い、命のやり取りとなる刺客料で自由にしてやる。
この後の八重の、大二郎を見る目の熱いこと。
誰が見ても、恋に落ちたことがわかる。

そりゃそうだ。
女郎奉公になるところを助けてくれて、自らは手も出さず去っていくんだから。
惚れないわけがない。

腕は立つ。
刺客依頼は、ちゃんと果たす。
そんな男なのに八重の面影が忘れられず、八重の絵なんか描いてる。
その絵を八重に見られて、うろたえることうろたえること。

絵の隠し方も、自分の背後に持ってきたつもりが、裏ではなくて八重を描いた方を表にしている。
だから、八重にはまともに絵が見える状態。
お間抜けでかわいい。
八重を訪ねていったものの、なかなか入れなくて、表をうろうろ。

長屋のおかみさんたちが、「何あれ」という感じで見ている。
「ちょいと、どうしたんだい、あの侍は」。
「さあ」。
八重を追って走っていく大二郎を見て、おかみさんたちはますます「何だろう」という顔をしている。

亀石さんが最初から最後まで良い人役。
純情で笑っちゃう。
逃げてきた八重をたまらず、抱きしめる。

お白州での仇討ちは変則的な展開だけど、爽快感満点。
しかし、大二郎も八重も、家老たちも因縁ありそうな関係だなあ。
これで因縁もなくなって、良かった良かった。

無事、仇討ちを果たした後の大二郎の身の処し方も見事。
大二郎は人を斬っているから、パターンとしてはお白州前に殺されちゃうかもしれない。
もしくは、島流しになって、八重は待ち続けるというパターンかもしれない。

そうはならなくて、粋なお裁きの遠山さま。
拍手したくなる。
最後はもちろん、相良藩にもちゃんと話が通してあるのでしょう。
3人、きっと良い家庭を築くと確信しての終わり。

大二郎と八重、いつまでも幸せに。
お兄ちゃんはちょっと、がんばれ。
あの状態で藩に戻っても、妹を差し出した情けない男と言われてグレそうなお兄ちゃんだった。

悪役もうまい。
だからこういう役をやらせたらやっぱり、亀石さんはうまいんだ。
とても微笑ましい。
悲劇になりませんように、幸せになりますようにと願ってしまった。

「遠山の金さん捕物帳」、予定調和的な作品化と思ったらそうではなく、なかなか意外なキャスティングもされている。
またそれを生かす話も、多いです。
今回はラブリイな亀石さんを、堪能させていただきました!



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Author:ちゃーすけ
癖の強い俳優さんや悪役さん大好き。
俳優さん、ドラマ、映画、CMその他、懐かしいもの、気になるものについて、長々と語っております。

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