ギャグとシリアス。
「仕置屋稼業」は、バランスの取れた構成だと思います。
それは主水と市松という、キャラクターの構成もかなり影響しているのではないか。

さらに「仕置屋稼業」の見所のひとつは、やはり市松。
市松の心情を見るところにある。
そう思った、第11話「一筆啓上姦計が見えた」。


市松は、天涯孤独になった小太郎を育てると言った。
「おめえのオヤジが、おめえを育てたようにか」。
「違う!」と、市松は反発した。
「あの子はちゃんと堅気にする」。

「へへへへ。やめろ、やめろ」と、主水は笑った。
子供をほしがっている大店がある。
そこにやった方が、あの子のためだと主水は言った。

「余計なお世話だ」。
「うん、じゃ、ま、ゆっくり考えるんだな」。
この時にもう、主水は、全てわかっていた。

小太郎の親を殺した男たちを神社でお百度を踏む、りつに目撃されないように仕置きする。
仕置きを終え、すっかり明るくなった竹林を通り、市松が帰って来る。
戸を開こうとした市松は、見た。

小太郎が、市松のように竹串を研いでいる。
振り向いた小太郎は、床を這う蜘蛛を見た。
竹串を構える。

カーン。
音が響く。
小太郎の下ろした竹串は、蜘蛛を指し貫いていた。

それを見る小太郎の目。
何の感情もない目。
殺し屋の目だ。
未来の小太郎が、透けて見えた。

愕然とし、後ずさりしていく市松。
「門前の小僧、習わぬ経を読む、だ」。
主水の声が響く。
ハッとする市松。

「あの坊主、手放すなら今のうちだ」。
「わかった」。
掠れた声で、市松はそう言うだけで精一杯だった。

このシリーズは、若い市松に対して、主水の大人ぶりが目立つ作品でもあります。
「仕置屋稼業」の主水は、力が抜けているところと力が入っているところ。
熟練したところと、熱い部分が交互に見えます。
それはやはり、若い殺し屋・市松の存在があるからでしょう。

ラスト。
子供の中に、過去の自分、未来の殺し屋を見た市松。
己の怖ろしさと罪深さを思い知った市松の表情が、絶品です。


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2016.06.06 / Top↑
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