こたつねこカフェ

癖のある俳優さん、悪役さんが大好きです。時代劇、ドラマ、映画、俳優さんのことを好きに書いています。
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本能的な恐怖

知り合いの旦那さんが、小学1年生の息子さんを連れて、「シン・ゴジラ」を観に行ったそうです。
旦那さんもあそこまで大人向けの映画だとは思わず、息子さんを連れて行った。
それで心配したけど息子さん、真剣に観ていたそう。

たぶん、細かいところは理解していないだろうけど、会議のシーンもちゃんと観ていた。
あのテンポの速い会話は、飽きなかったんでしょう。
俳優さんたちも、うまかったですしね。

息子さんはその後、今度はアクアラインに行った時、「ゴジラいないよね」と心配していたとか。
怖かったらしい。
「いないよ~」って笑ったけど、本気で怯えていたと言っていました。
見慣れた街が壊れていく様子も、怖かったんでしょうね。

漫画家の山岸涼子さんが1954年の「ゴジラ」を観て、強烈に記憶した話を描いていました。
社会科見学か、修学旅行かで国会議事堂を見た時、「ゴジラ」と思ってしまったそうです。
それぐらい、ゴジラは怖かったんですね。

山岸さんはその後、子供の恐竜を盗られた親の恐竜が都市に現れる映画を観た。
親の恐竜の咆哮が、だんだんと近づいてくる。
怖かった。
それを聞いた学者さんは、「それは本能的な恐怖です」と答えたそうです。

「ゴジラ」を怖がった子供の頃の山岸さん。
「シン・ゴジラ」を怖がった知り合いの息子さん。
「ゴジラ」が怖いのは、本能的な恐怖なんでしょうか。

確かに最初の「ゴジラ」って、話し合いの余地がない。
共存を考える余地もない。
「シン・ゴジラ」も同じです。
さらに人間が太刀打ちできる相手ではないと、思い知るような圧倒的な存在です。

「シン・ゴジラ」に至っては第2形態がもう、気持ち悪い。
さらに第4形態のゴジラの、小さな、まるで金属に黒点がついて動くような目。
ギャレス監督の「ゴジラ」は、主人公と目が合っている。
こちらを気遣うとは思えないけど、人間が蟻を見るぐらいの意識はしているとは思いました。

「シン・ゴジラ」は、そういうこともしているとは思えない。
だいたい、ゴジラに人間と共通する感情があるように見えない。
人類と地球を守ってくれるのがゴジラだと思っていた人は、このゴジラにショックを受けるでしょうね。

聞いた話ですが、庵野監督は「女性と子供を意識しない作りにする」と話していたそうです。
これも聞いた話なので真偽はわかりませんが、長谷川博巳さんの矢口と、石原さとみさんのカヨコ。
あの2人は元恋人という設定にした方が良いんじゃないかと言う話が、東宝側からあったとか。
女性に受けるなら、恋愛を入れるセオリーですね。

だとすると子供に受けるように作るなら、ゴジラを倒せるすごい武器を登場させたかもしれませんね。
もしくは、ゴジラに対抗できるような人間側のヒーローが出てきたかも。
さらにそのために、わかりやすいキャスティングがされたかも。
結果として、そういうことをしなくて良かったです。

庵野監督は女子供に受けなくて良い、つまり女性や子供をバカにしているんじゃないと思うんです。
この映画には入れなくて良いものだから、入れなかったんでしょう。
それをやると、軸を描けなくなるからやらない。

共感しやすい人間ドラマを入れなかった。
恋愛要素を入れなかった。
子供に受けるシーンを入れなかった。
結果として、みんなに受けた。

子供って、自分が「ゴジラ」を見た時もそうだったと思うんですけど、わりとちゃんと見てるんですよね。
理解は及ばないかもしれない。
けれど、伝えたいことは何となくでも、くみ取っている。

少なくとも、ちゃんと本能的恐怖を感じていたんですから。
それで後から考えたり、知ったりすることもある。
もちろん、女性の観客だってちゃんと見ていると思うんです。

でもこれってやっぱり、すごい判断ですよね。
セオリー通りに作って成功しなかったら、「ゴジラ」がもう、受けないって判断されます。
でもセオリー通りに作らなくて成功しなかったら、個人が責められませんか。

庵野監督は、「日本映画の何かが変われば良い」と思ったそうです。
変わるかもしれませんね。
日本は「スクラップ・アンド・ビルド」を繰り返して成長すると、映画の中の言葉にありました。

「シン・ゴジラ」は、「スクラップ・アンド・ビルド」だったというわけです。
なるほど。
こういう映画がヒットして、本当に良かった。


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