こたつねこカフェ

癖のある俳優さん、悪役さんが大好きです。時代劇、ドラマ、映画、俳優さんのことを好きに書いています。
2017年07月 ≪  12345678910111213141516171819202122232425262728293031 ≫ 2017年09月

梅津栄さん

俳優の梅津栄さんが、お亡くなりになりました。
88歳。
4年前から体調を崩されていたそうです。

梅津さんは、時代劇、現代劇、悪役、被害者役、コミカルな役、本当にいろんな役でお目にかかりました。
怖い役の時は、本当に目つきが怖い。
かと思うと主人公にとって頼りになる、気が利いた得体の知れないおじさん役も味があった。
被害者を演じると哀れ。

「必殺仕事人」で「順ちゃーん!」と声も高らかに、順之助を追い回すオカマの玉。
本当に、おかしかった。
もう、すごい勢いで走ってくるんですもん。

必死の形相で玉ちゃんから逃げる順之助見てるだけで、大爆笑。
おかしいだけではなくて、いじらしさ、けなげさもある。
「好きなんだよ、あんまり冷たくしないで」と言ってあげたくなる。

おもしろかったのは、「恐怖アンバランス劇場」「第10話 サラリーマンの勲章」。
サラリーマン・犬飼役。
気が弱く、意思も弱く、ついに会社から逃げる男。

課長に昇進した犬飼だが、管理職には早朝会議があり、欠席すれば部長に迷惑が掛かる。
変わらぬ通勤電車の光景。
だが犬飼はプレッシャーのあまり、仮病を使って休む。

病欠の電話は喫茶店のウエイトレスにしてもらった。
妻には、出張と偽って電話をする。
会社をサボった犬飼は競馬場に行き、ストリップ劇場から風俗店に行く。
真面目一辺倒でやってきた犬飼には、初めての行動だった。

犬飼は最後に、以前会社の飲み会できたことがあるバーに入る。
そこには宇多子という、秋田出身で秋田の民謡を歌うホステスがいた。
以前から犬飼は、宇多子と宇多子の歌う民謡が気になっていた。
宇多子と意気投合した犬飼は、宇多子のアパートに転がり込む。

その頃、会社では書類を持ったまま行方が知れなくなった犬飼を探していた。
妻が呼び出される。
失踪の原因は、妻には一つしか思い浮かばなかった。

犬飼は、課長になりたくなかった。
早朝会議に出席することが、本当に苦痛だった。
プレッシャーでよく眠れない。
早朝会議に出るため、朝は30分早く出勤しなければならない。

会議に出るための30分なら、犬飼にはゆっくりコーヒーが飲める方が良かった。
それは犬飼には、貴重な時間だった。
妻からその話を聞いた会社の役員たちは、犬飼を心から軽蔑する。

出世はサラリーマンの勲章だ。
勲章をどれだけつけるか、どれほど早くつけるかが、サラリーマンの価値だ。
それを嫌う人間なんて、いるはずがない。

犬飼は家に戻らず、宇多子の部屋で暮らし始めた。
宇多子には蒸発した夫がいると聞いていたため、犬飼はその夫に成りすまして暮らすことを考え始めた。
そこに喫茶店に忘れていった手帳から、宇多子のアパートを突き止めた部下がやってくる。
あっさり、犬飼は元の生活に戻ったと思われた。

ところが犬飼は、偽装自殺を本当に決行してしまう。
保険金は妻が受け取るため、妻と2人の子供の生活は困らないはずだ。
犬飼は再び、宇多子の部屋に向かった。

だが宇多子の夫は蒸発ではなく、刑務所に収監されていたのだった。
予定より早く、釈放された夫が帰ってきた。
犬飼は宇多子の夫によって、散々に殴られて放り出される。

宇多子は犬飼のことは好きだったが、戻ってきた夫と暮らすことを選んだ。
犬飼は宇多子の部屋と言う、居場所を失った。
家では妻はもう仕事を始め、子供との暮らしを始めていた。
犬飼は家での居場所も、失っていた。

しかし妻は夫が自殺したことを、本当は信じていなかった。
きっと夫は、どこかで生きている。
サラリーマンの勲章を捨て、どこかで自分が望んだ人生を生きているのだろうと確信している。

会社での犬飼のポストには、別の人間が就いていた。
ここでももう、犬飼の居場所は失われていた。
犬飼の部下たちは言う。

人間には勲章が必要だ。
でも出世だけが、勲章ではない。
今の自分に満足しているなら、それがその人の勲章なのかもしれない。

喫茶店に、1人の男がいた。
サングラスをかけ、無精ひげが生えている。
犬飼だった。
コーヒーを1人で飲む犬飼の表情は安らぎに満ち、笑顔を浮かべていた。


オカルト的な恐怖ではありませんが、この話は日常的な恐怖かもしれません。
ちょっとしたことから後戻りができなくなる。
やがて、居場所を失ってしまう。

でもこの話の救いは、妻が犬飼の理解者であることなんですね。
そんな妻からも犬飼は逃げていく。
サラリーマンの勲章を捨てるだけじゃなく、犬飼は家庭も捨ててしまう。

今までの自分全てを捨ててしまう。
妻はそんな夫のこともわかって、受け入れている。
犬飼は本当に体一つで、出てきてしまった。

どんな毎日を送っているのか。
その日暮らしなのではないか。
世間からしたら、犬飼はダメな男だろう。

何もかも失った、お先真っ暗な男。
妻子を残して失踪した、自分勝手で幼稚な男。
誰に責められても文句は言えない。
最後の青島幸男のナレーションも、「この人はこれからどうするんでしょう」と言う。

だが最後の犬飼の表情は、幸福そうだ。
満足している。
彼は望んでいた勲章を、手に入れたに違いない。

♪24時間戦えますか♪
それから20年以上たった時、こんな曲が流行りました。
犬飼のように生きることは、やっぱり今でも許されない。
これこそが「恐怖アンバランス」と、このドラマは言いたいのでしょうか。

梅津さんの名演が光る一編でした。
妻は津島恵子さん。
宇多子は、富士真奈美さんでした。

梅津さんのご冥福をお祈りします。
名優さんでした。
今までありがとうございました。


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Comment

はじめまして、ちゃーすけさん
編集
以前より必殺シリーズが好きで、blogを拝見させていただいてました。
「玉助」こと梅津栄さん亡くなられたのですね。
ご本人は(必殺関係の本によると)「順ちゃ~ん」をするために毎週京都に行かれるのが
芝居ができないという点で非常にご不満だったと書かれていましたが、上記の「恐怖アンバランス劇場」のように、きちんとした芝居(凄く難しそう・・・)をされていたこともあったのですね。必殺シリーズでは「長屋の意地悪ばあさん」役を希望してアピールしたが流れた・・・ということも載っておりました。
合掌。
2016年09月10日(Sat) 02:49
大都会、西部警察でも活躍
編集
この人は刑事ドラマ「大都会」「西部警察」では犯人役や情報屋の役にも出てました。
「西部警察」では二宮係長(庄司永健)の情報屋の役で出ていました。
「大都会2」ではホームレスの役で出ていましたが、すごく似合っていました。

ご冥福をお祈りいたします。
2016年09月10日(Sat) 10:52
地味JAM尊さん
編集
>地味JAM尊さん

はじめまして。
コメントありがとうございます。

>以前より必殺シリーズが好きで、blogを拝見させていただいてました。

そうだったんですか。
ありがとうございます!

>「玉助」こと梅津栄さん亡くなられたのですね。
>ご本人は(必殺関係の本によると)「順ちゃ~ん」をするために毎週京都に行かれるのが
>芝居ができないという点で非常にご不満だったと書かれていましたが、

梅津さん、撮影は大変だったのですね。
でもそのおかげでとても楽しいシーンになりました。

>上記の「恐怖アンバランス劇場」のように、きちんとした芝居(凄く難しそう・・・)をされていたこともあったのですね。

そうなんですよ。
どこにでもいそうなサラリーマンそのもので、それが世間から消えていく様子が非常にリアルで。
梅津さんの演技の賜物だと思います。

>必殺シリーズでは「長屋の意地悪ばあさん」役を希望してアピールしたが流れた・・・ということも載っておりました。

それ、すごくおもしろそうです!
見たかった~。

コメントと、興味深いお話をありがとうございます。
良ければまた来てくださいね。
2016年09月10日(Sat) 13:08
だめおやじさん
編集
>だめおやじさん

こんにちは。

>この人は刑事ドラマ「大都会」「西部警察」では犯人役や情報屋の役にも出てました。

刑事アクションでも良くお見かけしましたね。

>「西部警察」では二宮係長(庄司永健)の情報屋の役で出ていました。

あっ、そうだったんですか!
時代劇でも現代劇でもスパイスになる、欠かせない俳優さんでしたね。

>「大都会2」ではホームレスの役で出ていましたが、すごく似合っていました。

何の役をやっても、しっくりと溶け込みますよね。
寂しくなります。

コメントありがとうございました。
2016年09月10日(Sat) 13:20












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