想定外の事態には、想定外の人間が対処する。
昔読んだマンガに、不可解な事件を解決するのに専門家を呼んでくれというシーンが出てきました。
その専門家も、ちょっとどこかネジが飛んだような人が良いと。

結果、助手が主人公に「先生、私この人、ちょっと怖い…」とつぶやくような変わり者がやってきます。
でもネジが飛んだような発想のその人は、見事に事件の関連性を見つけます。
想定外の事態には、想定外の人間が対処する。

「シン・ゴジラ」で御用学者はダメだと言うことで呼ばれたのは、文部科学省のはみ出し者、変わり者の尾頭ヒロミ。
彼女の肺魚みたいに陸上でも活動できるという説を聞いて、文部科学大臣が尾頭をにらむ。
余計なことを言うなと言わんばかりに。
でも結局、尾頭の言うことは正しい。

「シン・ゴジラ」で矢口副官房長官が結成した、巨災対。
各省庁、研究機関の異端児、変わり者、鼻つまみ者の集まり。
優れた能力は持っているが、周りとのバランスを取るのが苦手な人間たち。
従って出世からは、外れている。

個人的な感想ですが、政治家や官僚、いや、全てに対してなのかもしれませんが…。
出世する人って、もちろん、能力は優れている。
しかしまた能力同様、政治的な読み、バランスの取り方がうまい人が出世していくって感じがします。

だから巨災対に集まった人は、能力は抜群に優れているけど、出世には縁がないだろうって人たちばかりです。
最後にそんな彼らが、日本を救う一翼を担う。
想定外の事態には、想定外の人間が対処する。

実は、このエンターテイメントの王道を「シン・ゴジラ」も行っていたのかもしれません。
さて、この組織を結成したのは矢口。
長谷川博己さんが、演じています。

矢口蘭堂。
父親の後を継いだ、二世政治家。
米国特使のカヨコについて官房長官が赤坂に、「親のコネさえも臆することなく利用する野心家」と言いました。
「矢口同様、キミの苦手なタイプだ」と。

そのカヨコに依頼され、矢口は牧教授の行方を警察に命じる。
この過程の中で警察庁長官?が「彼の父親には恩がある」か「世話になった」と言っています。
矢口は大物政治家を父親に持ち、当然のように父親の後を継いで政治の道に進んだ男なのでしょう。

政調副会長の泉は「出世は男の本懐だ」と矢口に言います。
出世が目的でないのなら、なぜ政治家になったのか?と言いたげです。
すると矢口は言います。

この世界は敵と味方が明確だ。
性に合っている。
この映画では、個人個人の背景を一切描きません。
でもこのセリフは、矢口がどういう人生を歩んできたのかと思わせます。

自分はゴジラ対策に失敗した時の腹切り要員だと、矢口は言う。
つまり、彼にはもう、いろんなことが見えているんです。
それでも必要だと思ったことを遂行し、自分が責任を負う覚悟ができている。

ヤシオリ作戦を目前に、危険を承知で現場に赴き、語る矢口。
以前、ある総理が「自分は平時の政治家ではないと思う」と言ったことがありました。
その人は、ある人の名前を挙げ、その人もそうだと言いました。
だから自分やその人が出て来るというのは、国の非常事態なんでしょうと。

矢口こそ、まさに非常時の男でした。
彼がいなかったら、巨災対はなかった。
ゴジラ凍結させられませんでしたね。

周りが期待するような無難な意見を言わない矢口は、赤坂には「口を慎め」「お前を起用した官房長官の立場を考えろ」と、たしなめられる。
「ベストではなくても、力は尽くしている。うぬぼれるな」とも言われる。
そういう人なので、政府がもはや機能していなかったのも矢口や巨災対には良かったんでしょう。

「ゴジラ」は、日本にやってくるかもしれない。
それは地震という形でなのか、あるいは戦争としてなのか。
病原体なのか、事故なのか。
何かはわからないけど、やってくるかもしれない。

その時、日本に矢口は現れるだろうか。
矢口は、巨災対は機能してくれるのだろうか。
「シン・ゴジラ」は、そんなことも考えさせてくれました。

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2016.10.05 / Top↑
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