「鬼平犯科帳」SP「引き込み女」。
大店の質屋が盗賊に狙われている。
奉公人の中にいる引き込み女は、誰か。
平蔵は密偵のおまさを質屋に奉公させ、探らせる。

引き込み女は「おもと」という、店前で倒れていた女だった。
店で介抱され、そのまま奉公するようになった。
気が利くし、頭は良いし、人柄も良い。

ところが元・引き込み女のおまさは、おもとが引き込み女であることを見抜く。
お互いの正体をさらして話を持ち込むおまさ。
本性をあらわにするおもと。

引き込み女のつらさは、お頭にはわからない。
正体がばれていないか、何かおかしなことはしなかったか。
誰かが疑っていないか。

気の休まる時がない。
夜も眠れない。
おまさには、おもとのつらさがわかる。

そして、おもとは店の主人との道ならぬ恋に悩んでいたのだ。
番頭上がりで婿養子の主人は、姑と妻に軽んじられている。
そんな毎日の中、優しいおもとに惹かれ、恋に落ちた。

だが、おもとはお頭の残酷さ、執拗さ、欲深さを知っている。
主人はおもととの駆け落ちを考えていた。
しかしそんなことをすれば、地の果てまでも追われ、2人とも殺される。
押し込みの日は迫ってきていた。


おもとは、余貴美子さん。
余さんとおまさ役の梶芽衣子さん。
素敵な女優さんのツーショットを堪能しました。

互いが盗賊であることを知ると、途端に体から凄みが立ち上る。
しかし同じ立場であることおまさを、あっさり足を洗わせると言うお頭。
このお頭には、平蔵が扮しています。

おまさのお頭の優しさを見たおもとは、おまさを心底うらやましがった。
凄みは消え、おまさへの共感と友情で一杯になる。
子供のように、無邪気におまさが一緒になるという男のことを聞く。
店に戻らなくて良いのかと言われても、あんたと一緒にいたいんだよと言う。

主人への思いと自分の罪深さで悩み、哀しみをにじませる余さん。
その横顔は寂しく、悲しく、美しい。
こんな瞳の余さんを見ていると、こちらも哀しい。
「シン・ゴジラ」の花森防衛大臣も良かったし、余さんは本当に良い女優さんだな~。


結局、おもとはお盗めを前に姿を消す。
駆け落ちするはずの主人さえ、遺して、一人で江戸を去る。
船に乗り、江戸を離れていくおもとが、振り返る。

その目には未練と哀しさと、愛おしさが満ちている。
おもとの胸中、いかばかりか。
去っていくおもとを、平蔵は追わない。
待ち構えていた平蔵率いる火盗改めに、盗賊は捕らえられる。

全てが終わったと思った時、おもとの水死体があがる。
おもとの遺体には傷がなく、身投げであった。
呆然とするおまさの目に、姑と妻と店の主人が映る。

店に傷がつくから、奉公人だったなんてことは名乗らない。
関係がない振り、知らない振りをして去ろうと言う姑と妻に主人は連れて行かれる。
主人もまた、魂が抜けたように立ち尽くしていた。
遺体が上がった岸辺は、おもとがおまさにもっと一緒にいたいとせがんだ岸辺だった。
何か愛着があった場所なのだろうと言う平蔵は、おまさにおもととの別れの時間を与える。

「ずっとここにいたいんだよ」。
「もう少し、いておくれ」。
うれしそうに、おまさと話すおもと。

引き込みとして心休まる日がなかったおもとにとって、おまさは唯一、心を許せた相手だったのだろう。
また、おまさにとっておもとは、もう一人の自分だったに違いない。
おもとの声が蘇り、おまさは泣いた。


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2016.11.19 / Top↑
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