鬼平って良い 「兇賊 鬼平犯科帳スペシャル」

久々に「鬼平犯科帳スペシャル 兇賊」を見ました。
数ある鬼平スペシャルの中でも大好きな話。
2006年2月放送って、もう10年も前になるんですね。

粂八の友人である与吉が、網切りの甚五郎に殺された。
俺のせいだと無く粂八に、平蔵はお前のせいではないと言う。
1人働きの盗賊で、未だにあげられたことがない初老の男・九平。
旅の途中、くりから峠で雨宿りをしていたあばら屋の表に、男が3人やってきた。

男たちは火付盗賊改方長谷川平蔵の暗殺の相談をしている。
九平は息を潜めていると、甚五郎たちは雨がやんで出て行く。
長谷川平蔵といえば、盗賊は震え上がる鬼の平蔵だ。
九平はえらい話を聞いてしまったと思った。

その夜、長谷川平蔵は小さな芋酒屋で酒を飲んでいた。
親父の九平の作る酒とつまみを、平蔵は大層気に入った。
九平は平蔵のことをただの浪人ではないと思った。
その品格、立ち居振る舞い。

だが平蔵は笑って、九平こそただ者ではないと言った。
お互い、素性を明かさず、ただの客として扱ってほしいと言う平蔵に九平は好感を持った。
そこに夜鷹が酒を飲みに立ち寄る。

九平が武士がいると知らせると、夜鷹は遠慮して出て行こうとする。
しかし平蔵は夜鷹を留める。
さらには寒い席で身を縮ませるように飲もうとする夜鷹を、隣に呼ぶ。
酌をする平蔵に、夜鷹は自分を人間扱いしてくれたと感謝する。

すると平蔵は、夜鷹は人間ではないか。
自分も人間。
ここの酒屋の親父も人間。
人間扱いするのは当たり前と言う。

平蔵が去る時、夜鷹は深くお辞儀をして見送る。
九平もみやげを持たせて、送る。
夜鷹は言う。

罵倒や軽蔑には慣れている。
やり返して、場合によっては取っ組み合いのケンカもする。
だがああされたら、どうにもできない。
そこに数名の浪人が来て、平蔵の後を追っていった。

心配した九平が走ると、人々が走ってくる。
斬り合いだと聞いた九平もまた、走る。
浪人たちは平蔵を闇討ちにしようとしていた。
平蔵は浪人を返り討ちにすると、役宅へ戻る。

後をつけていた九平を振り返ると、ニヤリと笑って「親父、ご苦労」と声をかけた。
平蔵が入っていった屋敷を見て、九平は腰を抜かさんばかりに驚いた。
鬼の平蔵。
火付盗賊改め方、長谷川平蔵だ。

九平は1人働きをする盗賊で、未だにお縄にかかったことはなかった。
それでも平蔵の名前は知っている。
知っていて、恐れていた。
その恐れていた平蔵に、九平はすっかり魅了されてしまっていた。

しかしその翌日から、九平の店は閉まってしまった。
密偵のおまさはそのことを平蔵に告げる。
九平が耳にした話、平蔵の命を狙っていたのは兇賊・網切りの甚五郎であった。

甚五郎は押し込み先の人間を、一人残らず殺す兇賊。
だが甚五郎は平蔵が若い頃、斬った男の息子でもあった。
用意周到な罠を用意して、甚五郎は平蔵を殺そうとする。

大村という料亭の小女である少女が、野良猫の面倒を見ている。
それを九平が見つける。
この猫と少女が、後に平蔵の危機を救う。

旗本のもめ事を装った甚五郎は、平蔵を大村に呼び出す。
その前に甚五郎の手下は、大村の女中に取り入って、木戸を開けさせていた。
甚五郎たちは大村の者を皆殺しにした上で、店の者になりすまし、平蔵を待ち受けていた。

刀を預けた平蔵に、正体を明かす甚五郎。
大村の人間を皆殺しにした甚五郎に、怒りの炎を燃やす平蔵。
その頃、平蔵を罠にかけたことに気づいた九平と粂八は行方を捜す。
九平は猫の鳴き声に気づいた。

探すとそこには重傷を負った、大村の小女の少女が倒れていた。
明け方に大勢の人がやってきて、皆殺されてしまったと少女は言う。
粂八はおまさに少女の手当を頼むと、火付盗賊改方に走る。

その頃、平蔵は小刀だけで大人数の敵に立ち向かっていた。
平蔵の腕が切りつけられ、血が流れる。
間一髪、平蔵の危機に盗賊改方4人は間に合う。

九平に気づいた平蔵は、「親父、久しぶりだな」と笑う。
戸惑いながら、「ご無沙汰しております」と頭を下げる九平。
平蔵は豪快に笑った。
甚五郎たち3人は逃げ出した。

しかしくりから峠に差し掛かった時、甚五郎たちの前に現れたのは平蔵だった。
九平が甚五郎たちはここを通ることを、教えたのだった。
大村始め、押し込み先の人間を皆殺しにする甚五郎を平蔵は赦さない。
粂八、仇を取れ!

その声で、粂八が現れる。
与平の恨み!と粂八は与平が持っていた石を投げた。
甚五郎の額から、血が流れる。

うぬが殺した者の恨み、思い知れ!
平蔵は甚五郎たちを斬る。
全てが終わった時、九平もまた、平蔵の前にお縄を覚悟した。
だが平蔵は笑って、九平を見逃す。

再開した芋酒屋には、今夜もあの夜鷹が来ていた。
もう一度、会いたいねえ…。
夜鷹が言う。

お前さん、惚れなすったね。
まさか。
九平の言葉に夜鷹は、そんな恐れ多いこと、あるわけがないと言う。
ただ、もう一度会いたいだけ…。

あのお方は、いつかまた、おいでになることあるだろうか。
いつかまた、きっと、と言う九平。
「親父、ご苦労」。
九平の中の平蔵が、ニヤリと笑った。



これと「泥鰌の和助始末」「浅草御厨河岸」は、とても好きな話です。
レギュラー放送の1時間枠の時に、見ました。
これも「土壌の和助始末」も後に2時間スペシャルになりました。

1時間でまとめていた時はやはり、中身が濃かったです。
仕方が無いことですが、出演者の皆さんも若かった。
それを見ると、さすがにお年は召したと思いますが、やっぱりおもしろいですね。
1時間の時は良かったなあと思いながらも、引き込まれてしまう。

最初に出てくるのが、本田博太郎さんの与吉平ですし。
すぐに殺されてしまって、残念。
九平は小林稔侍さん。
ちょっと、窓辺太郎みたいです。

夜鷹は、若村麻由美さん。
こんな美しい夜鷹はいるだろうか。
かなり汚してはいますが、美しさは隠せない。
これは花魁だよねえ。

でも演技はさすがです。
平蔵の魅力を表すのに、この夜鷹エピソードはかなり利いてます。
酒をおごられて、しなを作って着物の襟を肩に落とし始めるところなんか、ちょっと悲しい。
この人は、こうして感謝を示すしか方法がないんだと哀れさを感じました。

「必殺からくり人」の「鳩に豆鉄砲をどうぞ」で時次郎が女郎・しぐれを身請けする時。
自由の身になれるとわかったしぐれが、全身に喜びをみなぎらせながら、帯を解こうとする。
彼女にとって、これ以上の感謝はない。
それを帯を解くことでしか、返せないのだと思った時と同じでした。

もちろん、平蔵は柔らかく断る。
それは夜鷹なんかいらないというのではなく、見返りはいらないということ。
俺はそっちの方はダメなんだという言い方が良い。

吉右衛門さんは、すごいですねえ。
鬼平の魅力を存分に感じさせる。
器の大きさとか、度量の大きさとか、いるだけで感じます。

甚五郎は大杉漣さん。
兇賊らしい冷酷さ、怖ろしさ。
手下の野尻の虎三は、徳井優さん。
最後に平蔵に追い詰められて、泥の中を這いずり回る思い切った演技。

もう一人の手下の文挟の友吉は、伊藤洋三郎さん。
大村の女中に「姐さんにはこれが似合うよ」と、かんざしを挿して籠絡する。
もちろん、ためらいもせずに殺したでありましょう。
1時間枠の時は、江幡高志さんが絶品です。

猫にご飯をやっているところを見つかった少女の、九平を見る怪訝そうな目。
用心深そうな表情も、うまかった。
助かって良かった。
おまさや五郎蔵の計らいで、どこかで猫と一緒に暮らせたと思います。

甚五郎の正体を知った時の、一瞬の平蔵の怒りの目。
罠にかかり、敵に囲まれ、刀を奪われたことを知っても、うろたえません。
小刀で畳を刺し、持ち上げて矢を防ぐ。

次々襲いかかってくる浪人、盗賊たちを斬り伏せる。
どこまでも冷静に、死地を脱しようとする。
追い詰められた時に、人間の本質が出るとしたら、これは相当なもの。

しかし多勢に無勢。
腕から流血し、絶体絶命!
こんなお頭を失うわけには行かないと、決死の火付盗賊改が馬で走る。
粂八はその後を走る。

ご苦労様です。
蟹江敬三さんは、この後、甚五郎に石を投げる見せ場がある。
いや、甚五郎を刺すのかと思いましたが。

最後、再び若村さんの夜鷹が出てくる。
もう一度会いたいの言葉と目が、切ない。
口では否定しても、惚れ抜いてしまったことがわかる。
10年前に見た時もこの作品は良かったけど、やっぱり良かった。

レギュラー放送では、第1シリーズで放送されました。
「泥鰌の和助始末」「浅草御厨河岸」も第1シリーズ。
やっぱりすごい第1シリーズ。
「泥鰌の和助始末」も「浅草御厨河岸」も2時間スペシャルになりました。

和助は2時間スペシャルの石橋蓮司さんも良いけど、財津一郎さんが良い。
「浅草御厨河岸」は、本田博太郎さんが良い。
直次郎みたいで、最後に明るく去って行く姿が微笑ましい。
本田さんは2時間スペシャルの「見張りの糸」では、中村嘉葎雄さんと笑っちゃう名コンビぶりを発揮。

2時間スペシャルの田辺誠一さんも、なかなか良いですけどね。
こちらはだいぶ、違うアレンジがされていたと思います。
「兇賊」の九平は米倉斉加年が素晴らしかった。
網切の甚五郎の青木義朗さんもさすが。

旧作では、今はいらっしゃらない、あまり出演されなくなった俳優さんたちの生き生きとした姿が見られました。
でも今回、2時間スペシャルで同じようなことが起きました。
この前、ファイナルを迎えた鬼平。
時間の経過を思い、それに負けない素晴らしい存在感を持つ俳優さんたちを思いました。


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はじめまして

時代劇が好きで鬼平外伝について検索いていたらこのブログにたどり着きました。拝読していてとても共感いたしました。
これからも遊びに来させて戴きますので宜しくお願いいたします。
因みに今日は先日録画した鬼平外伝「四番目の女房」を見る予定です。昨夜は「夜兎の格右衛門」を見ました。良かったです~。

はらみさん

>はらみさん

はじめまして。
訪問ありがとうございます。

>時代劇が好きで鬼平外伝について検索いていたらこのブログにたどり着きました。拝読していてとても共感いたしました。

ありがとうございます。
鬼平外伝はとてもきちんと作っていて、時代劇の火を消さないという意思が伝わってきます。

>これからも遊びに来させて戴きますので宜しくお願いいたします。

こちらこそ、うれしいです。
ありがとうございます。

>因みに今日は先日録画した鬼平外伝「四番目の女房」を見る予定です。昨夜は「夜兎の格右衛門」を見ました。良かったです~。

ご覧になりましたか?
何とも言えない余韻を残して終わりましたね。

本編の鬼平も終わってしまいましたが、また復活してほしいと思います。
外伝も今回で終わるようですが、こちらも作ってほしいです。

コメントありがとうございました。
良かったら、また来てくださいね。
プロフィール

ちゃーすけ

Author:ちゃーすけ
癖の強い俳優さんや悪役さん大好き。
俳優さん、ドラマ、映画、CMその他、懐かしいもの、気になるものについて、長々と語っております。

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