やっぱり魅力的なキャラクター・勇次

「新・必殺仕事人」を見ていますが、中条きよしさん演じる勇次。
ヴィジュアルにとても力を入れていると思います。
クールな色男で、最初は主水とことあるごとに衝突していました。
幼なじみを巡って、直接対決しかかったことも。

しかし、次第にお互いの力量と器を認め合うようになりました。
性格も魅力的に描かれています。
主水がある女性の声を奪ったんじゃないか。
秀が疑い、感情に走った時は、かつては対決で使った糸を勇次は制止に使いました。

うまく家の中に逃げた主水を見て、秀に「ホッとしたんじゃないか」と言う。
何故なら、秀のかんざしも主水の首筋に触れていましたが、秀の体には主水の刀が今にも突き刺さる状態だったからです。
「仕置屋稼業」の市松のような体勢ですね。

引くに引けない秀が引くための状況を、勇次が作ってやった感じです。
勇次と主水、大人の分別。
主水に対して不信感いっぱいの秀に対して、勇次は主水を信じています。
大人です。

仕事の最中に、子供が猫を探して表に出てきてしまうシーンがありました。
すると勇次は、ふわりと子供に着物をかぶせます。
その間に子供に見せないように仕事を遂行し、屋根の上にいる子猫を糸で捕らえます。

仕事を済ませ、子供から上着を取ってやると、猫を渡してやります。
「ありがとう!」という子供に勇次。
「ごめんな」。

もちろん、子供が来たのは予想外でどうにかなることではない。
でも何の罪もない子供が、猫を探しに来て、仕事に巻き込まれるところだった。
子供の命に関わる事態になったかもしれない。

だから勇次はそうならないようにしてやった上で、「ごめんな」と詫びた。
良い男ですよね。
優しい。
すごく魅力的に描いていると思います。

女性を騙して心中を持ちかけ、金を巻き上げる青年をぶん殴ったこともあります。
口では勇次に自分の正当性を訴えた青年ですが、やがて勇次を正統派色男の先輩として「アニキ」と呼ぶようになるんです。
勇次も本気で女性を好きになった彼を、守り切ります。

「必殺」としては2人とも犠牲になる危険性が大きかったんですが、さすがです。
勇次のところに逃げてきた青年の判断も、生死を分けたのでしょう。
頼れる男です。

勇次の母は、山田五十鈴さんが演じるおりくさん。
ところが、本当の親子ではありません。
仲間を裏切った勇次の父親を、おりくは手にかけているのです。
自分が殺した男の息子を、育てるおりく。

そして結局、勇次にも同じ道を歩ませてしまった。
だからおりくは、常に勇次にすまないという気持ちを持っている。
しかし勇次は育て、愛情を与えてくれたおりくを芯から母親だと思っている。

捕り方を自分に引きつけて逃げる、ギリギリの時におりくが主水に頼んだのは、勇次のことでした。
勇次をお願いします。
おりくの頭にあるのは、勇次の無事と幸せだけ。
この2人のお互いを思いやる気持ちは、特に親子関係が絡んだ話しに深みを持たせます。

勇次の殺しの技は、丁寧にコーティングし、強化した三味線の糸で標的を狙います。
三味線の糸を口でくわえ、ツーッと長さを調節します。
標的に向かって投げると、糸はクルリと首に絡みつきます。

するとどこかに支点を作って、標的を宙に吊り上げる。
勇次は吊された方に、しばらく宙づりの苦しみを味合わせます。
そして後に描写されますが、ピン、と糸を弾いて、息の根を止めます。

これが確認できると、プツッと指で糸を切って、相手を字面に落として終わります。
相手はしばらく、悶絶します。
秀や主水だって、刺さった瞬間は「ヒッ!」となるでしょう。
さらに刺された時の痛みと恐怖は、相当なものだと思います。

しかし勇次の殺しは、苦しみの時間が長い。
これを悪党とは言え、苦しみを長引かせて殺すのはどうか。
そう、思ってしまう人もいるかもしれません。

ただ、これは、頼み人には溜飲が下がる殺しだと思います。
「仕事人」の後半は、こうして作ったキャラクターの魅力に寄りかかったような作りになっているものもありました。
でもそれだけ、「新・仕事人」では魅力的に作り上げたんだなあと思って見ています。
やはり勇次は、「仕事人」シリーズを代表し、作った名キャラクターだと思います。


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こんばんは。またお邪魔します
市松に続き、必殺シリーズ色男枠の勇次!
市松はあっさり女ひっかけてもつまんなそうな顔してますけど、勇次は楽しそうですよね〜。絶対マザコンだと思いますけどあんなお母さんなら仕方ないかも…。
色っぽいし芸達者だし強いし。しかしどの回だったか、面倒な相手で仕事を受けたがらない主水さんを勇次が貶した時、おりくさんが「用心深くてしぶとい、だから信用できる。そんなことだから勇さんは仕事があまい」とお説教はじめて、勇次が若干しょぼんとしてるのがツボでした。
しかし、昔はわからなかったんですが、時間が経ってもう一度シリーズを見返すと、勇次も秀も市松も、主水さんに甘えてるなあと思います。
みんな父親に縁がなかったり薄かったりだからなのか、わかりにくいけどいくら仲間だからってぶん殴られても文句言えないような突っかかり方をする。まあ秀とかは本気で殴られてましたけど、それも失礼だからじゃなくて下手したら仲間まで危なくなるようなことをした時。
普段はまあ尊敬してるとは言えないけど、いざとなると絶対勝てない。本気で怒ると、実はこわい。
勇次は色男なんだけどちょっとかわいいとこもあるイメージなのは、初期のシリーズにくらべてそういう感情がわかりやすいキャラクターからかもしれないですね

のりさん

>のりさん

こんばんは。
また来てくださってありがとうございます。

>市松に続き、必殺シリーズ色男枠の勇次!

勇次は後期を代表する色男ですね。
勇次はものがわかった大人の遊び人ですが。

>市松はあっさり女ひっかけてもつまんなそうな顔してますけど、勇次は楽しそうですよね〜。

そうなんですよ。
市松はわりと自分の色男ぶりに無頓着な感じなんですが、勇次は遊びを楽しんでますよね。
市松には母親の記憶がありませんが、勇次はおりくさんに愛されて育ってます。
女性に対する意識の違いって、母親が影響しているなあと思います。

>絶対マザコンだと思いますけどあんなお母さんなら仕方ないかも…。

これはわかります!
おりくさん以上の女性はいないってどこかで思ってる気がします。
確かにあのおっかさんに勝てる女性っていないような…。

>色っぽいし芸達者だし強いし。

仕事人としても芸人としても女性としても一流なんですよねー。

>しかしどの回だったか、面倒な相手で仕事を受けたがらない主水さんを勇次が貶した時、おりくさんが「用心深くてしぶとい、だから信用できる。そんなことだから勇さんは仕事があまい」とお説教はじめて、

これ、私もすごいと思いました。
よくわかってるなーって。
人を見る目が確かだって。
主水のことを器が小さいんじゃなくて、用心深いんだよみたいに言ってましたよね。
別の面から物事を見られるって、さすがだと思いました。

>勇次が若干しょぼんとしてるのがツボでした。

これ、おもしろかったですね。

>しかし、昔はわからなかったんですが、時間が経ってもう一度シリーズを見返すと、勇次も秀も市松も、主水さんに甘えてるなあと思います。

仕置屋なんて、主水がすごく大人の振る舞いをしてますよね。
仕業人に行くと大人の振る舞いどころか、ドライな付き合いになりますが。
新仕置人は正八にみんなが大人の振る舞いをしていますが、主水は大人同士の付き合いができて楽で楽しそうです。

>みんな父親に縁がなかったり薄かったりだからなのか、わかりにくいけどいくら仲間だからってぶん殴られても文句言えないような突っかかり方をする。まあ秀とかは本気で殴られてましたけど、それも失礼だからじゃなくて下手したら仲間まで危なくなるようなことをした時。

主水の鉄拳は結構な本気でしたよね。
でもそれは感情的なものではなくて、仕事のベテランとして。
若い秀の暴走が引き起こしているといっても良いかも。

>普段はまあ尊敬してるとは言えないけど、いざとなると絶対勝てない。本気で怒ると、実はこわい。

勇次が止めに入って、秀は怒っていたけど本当はホッとしただろうって。
改めて秀は主水の怖さを知ったと思います。
主水が本気なら刺されていたって。

>勇次は色男なんだけどちょっとかわいいとこもあるイメージなのは、初期のシリーズにくらべてそういう感情がわかりやすいキャラクターからかもしれないですね

屈折はしているんだけど、前期のキャラクターには本当に複雑な人がいましたよねえ。
あれはあれで話に深みが出ましたし、勇次をああいう性格にすることで話がいろいろとできましたしね。
「必殺」はキャラクター作りが本当にうまいし、俳優さんにそれがはまっています。

楽しいお話ができました。
コメントありがとうございました。

私が勇次で印象的なのはメインでなかった「新仕事人」で主水がスリ仲間の少女を引き取った話。
親としてどうこう主水とおりくさんが語り合っている時には何も口を挟まなかったのに娘の仇を討ちな仕事の直前、「俺はその娘の親が一番、憎いね。殺っちまえばいいじゃねぇか」とアッサリ。養母に対する絶対的な信頼感と殺し屋の二面性が見て取れます。
人生経験、主水以上のおりくさんは仕方なく子供を手放さなければいけないような事情を抱えた親御さんも知っていますからスゲー、複雑な顔をしていました。

巨炎さん

>巨炎さん

明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。

>私が勇次で印象的なのはメインでなかった「新仕事人」で主水がスリ仲間の少女を引き取った話。

主水が娘にしようとする話でしょうか。
この話はもう一度、じっくり見たいと思っています。

>親としてどうこう主水とおりくさんが語り合っている時には何も口を挟まなかったのに娘の仇を討ちな仕事の直前、「俺はその娘の親が一番、憎いね。殺っちまえばいいじゃねぇか」とアッサリ。養母に対する絶対的な信頼感と殺し屋の二面性が見て取れます。

ああ、興味深いエピソードですね。
勇次という人物を本当によく作っていますね。

>人生経験、主水以上のおりくさんは仕方なく子供を手放さなければいけないような事情を抱えた親御さんも知っていますからスゲー、複雑な顔をしていました。

おりくさんは「仕事人」シリーズに深みを与える人物でした。
いろんなものを見て、いろんなことを乗り越えてきたおりくさんが仕事に至る経緯の中で見せる表情。
奏でる三味線の、時に荒々しく、時に悲しい旋律。
おりくさんがいるといないのでは、ずいぶん変わったと思います。
山田五十鈴さんならではの役ですね。
プロフィール

ちゃーすけ

Author:ちゃーすけ
癖の強い俳優さんや悪役さん大好き。
俳優さん、ドラマ、映画、CMその他、懐かしいもの、気になるものについて、長々と語っております。

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