運命だったと思わせる 「嘘の戦争」第2話

第2話!

五十嵐に刺された浩一は、救急車で病院に運ばれた。
浩一の脳裏には、父親が映っていた。
「陽一、お父さんは嘘は嫌いだ。だから陽一にも嘘だけはつかないでほしい」。

子供の陽一、いや、浩一は元気に答える。
「うん、約束する」。
「良い子だ!」

目を覚ますと、病室の仁科の兄・晃と妹の楓が並んでソファで眠っていた。
「同じ格好、さすが兄妹ですね」。
浩一の声に楓が「良かった!」と言う。

そして「どうかしてます!」と怒った。
「相手がナイフ持ってるの、見てたたでしょう。あと数センチずれていたら大変なことに!」
「心配かけてすみません」と浩一は謝った。

晃は「こちらこそ、いきなりすみません」と謝った。
目覚めていきなり怒られる浩一のことを、晃は気遣った。
ほほえましい兄と妹の会話。
浩一の顔にも、微笑みが浮かぶ。

仁科興三の屋敷。
隆の妻と子供が興三に「おじいちゃん、行ってきます」と挨拶した。
興三にも笑みがこぼれる。
隆と2人になると興三は、浩一のことを「会ってすぐに自分をかばって刺されるなど、何の魂胆があるんだ」と言う。

しかも楓にまで近づいている。
「気に入らんな…」。
隆は「私に任せてください」と言った。
今は仁科コーポレーションにも大切な時なのだ。

楓は浩一の胸の傷に気づいた。
「この傷は」。
「タイで仕事をしていたときに事故って」
だが、楓はそうは思わなかった。

浩一の病室に、仁科家の顧問弁護士の六反田健次が入ってきた。
ちらりと、浩一は六反田を見る。
時計、靴、スーツ。
高級品だ。

六反田健次。
この名前に覚えがあった。
「おはよう」。

新聞を子供の陽一に渡した新聞配達の青年。
「おはようございます」。
陽一も元気に答えた。
自転車には六反田と書いた、名前のシールが貼ってあった。

六反田によると、浩一を刺した五十嵐は、仁科家とは関係のない人間だ。
意味不明のことを口走っている。
だから浩一が会長に伝えたいことがあれば、自分が伝えると言う。
見舞金が封筒で渡される。

「こんなに」。
「足りなければ言ってください」。
「では今回のことは、事故と言うことに」。

病室を出て行く六反田に浩一が「六反田さん」と言う。
「変わった名前ですね」。
六反田はふっ、と笑うと「よく言われます」と答えた。

「嘘をついちゃいけないよ陽一君」。
30年前。
目を覚ました陽一に、刑事が言っていた。
「嘘じゃない、黒い服の人たちがお父さんを」。

「君のお父さんは朝方まで生きていた!そういう証言がある」。
刑事はそう言った。
「新聞配達のお兄さんがね、君のお父さんの声を聞いているんだ」。
「ごめんって、君たちの名前を!泣き叫ぶ声を!」

「新聞配達のお兄さん」。
「お父さんが一家心中を図ったことはわかっているんだよ。だからもう、嘘はやめなさい!」
30年前の陽一だった、浩一。

無力な、幼い子供だった。
抵抗する力も、方法もなかった。
涙が流れる。

「30年前、嘘の証言をしていた人間が見つかった」。
浩一の言葉にハルカが「はあ?」と言う。
「そいつは新聞配達のの苦学生から弁護士に大出世」。
「時計、靴、スーツ高いものばっかり身につけている」。

「30年前の嘘の見返りだ」。
「何の話?」
ハルカが眉をひそめる。

「あいつなら30年前の真相を知ってるかもしれない」。
「ねえ、どういうこと?その弁護士が次の標的ってこと?」
「そう、次の標的はあの弁護士だ」。

仁科コーポレーションの会議室。
隆が「時間がない。銀行は成功の確約のない開発プロジェクトに融資はできないそうだ」と言っている。
技術者が「あと半年」と言う。
だが隆は「2ヶ月だ!」と言った。

このプロジェクトが、仁科コーポレーションの命運を握っている。
表に出ると、晃がいた。
「大事な会議だよな、俺、呼ばれてないんだけど」。
「兄さんには関係ない」。

「はあ?俺も一応役員だよな。仁科コーポレーションの力になりたいと、俺なりにいろいろ考えているんだ」。
「何もしてくれないのが一番だ」。
隆の足が止まる。

「今は、問題を起こさずにいてくれればそれでいい」。
そう言われた晃の顔がゆがむ。
隆が去って行く。

浩一は、六反田の記事を読んでいた。
父親は酒ばかり飲んでいた。
母親は駆け落ち。
苦学生で新聞配達をして学費を稼いだ。

「それが30年前、突然パトロンが現れた」。
「その10年後に、仁科コーポレーションの顧問弁護士だ」。
「間違いない。あいつだ」。
新聞を配達していた少年。

浩一の病室に、八尋カズキが社員としてやってきた。
社会人として振る舞えと言ったのに、カズキは非常識な振る舞いをしてしまう。
楓にうまくごまかした浩一は、ため息をつく。

どんな職業にもなりすませるようにしろ。
「人を騙したきゃ賢くなれ」。
浩一はカズキに言う。
「詐欺師に必要なのは、幅広い知識と教養だ」。

浩一は、六反田に罠を仕掛ける。
ダイヤモンド鉱山開発出資金被害者の会が、開かれていた。
この担当弁護士が、六反田だった。

その中に、ハルカがいた。
六反田の助手の若い新米弁護士に、ハルカはにっこりと笑いかける。
新米弁護士がハルカに、一目で魅了されたのがわかった。

面会時間も終わった夜、隆が浩一を見舞いにやってきた。
「傷が軽くて何よりです」。
「悪運強くて」。

そう言った浩一に隆は「あの程度のナイフなら、運が悪くない限り大けがにはならない」と言い放った。
楓が「そんなことありません!」と言う。
隆は浩一が晃と、そして楓と知り合った経緯を問い詰めた。

「偶然?」
「助かりました、楓先生に治療していただけて」。
隆は浩一の会社のビルにも行っていた。
だが世界を股にかける会社のビルにしてはずいぶん、質素だった。

楓は帰国してすぐだからというが、帰国してすぐなのに晃とも楓とも縁がつながりすぎる。
「いいかげんにしてよ!」と楓が怒って、隆を帰した。
「人を疑うしかできないの、ほんと、変わったね」。

「晃兄さんのことも、仁科コーポレーションから追い出したいって本当みたいだね、がっかりだよ」。
「逆だ!追い出したくないから警戒している」。
隆が言うには、兄がこれ以上失敗したら、かばえない。

今は、会社が厳しい時なのだ。
「厳しいって…、うまくいってないの」。
隆は「一ノ瀬には気をつけろ」と言って歩いて行く。

だが楓も晃に「一ノ瀬さん、嘘ついてる」と打ち明けていた。
浩一の胸の傷。
タイで仕事しているときについた傷だと言うが、もっと古い傷だ。

「そりゃお前、話したくないこともあるんだろう」。
晃が言う。
「そういうのは、嘘と言わないの」。
「誰だってあるって。簡単に言えないことが一つぐらい」。

浩一が百田ユウジの経営するバーにいた。
カズキが、浩一の傷だが、もう少しずれていたら大変なことになっていたと言う。
だが浩一は「たまたま、ずれたんじゃない。内臓の位置がわかってるから刺される瞬間、致命傷を避けたんだ」と言った。

それを聞いたカズキは、仰天した。
浩一は、隆の言葉を思い出していた。
「あのナイフなら大けがにはならない、か。まさか見抜かれるなんて」。

ハルカは「30年前の話って何」と聞いた。
「言ったろう、俺の家族、殺されたって」。
「だから、嘘じゃなくてさ、本当のことが聞きたいの!」

「俺も聞きたいねえ。なんで仁科家に狙いを定めたのか」と百田も言う。
ハルカは、あの新米弁護士が六反田はとにかくケチだと言っていたと教える。
「自分は高いものばっかり身につけている癖に」と浩一が言う。

ダイヤモンド鉱山の詐欺事件は、着手金として1人5万円が必要だった。
全国に何千人という被害者がいる。
1000人から集めれば、5千万。
良いビジネスだ。

百田が「そのダイヤ詐欺やってる連中、俺、知ってるぞ」と言う。
年寄りを相手にしたネズミ講をやった残党だ。
その事件は、訴訟準備をやっているうちに資産が移されて、被害者にほとんど金は戻らなかった。

六反田が担当している事件だった。
無能な弁護士だと思っていたが、違うかもしれない。
六反田と詐欺師たちは、グルってことだ。
時間稼ぎをして逃げる時間を稼ぐ。

わかば園の庭で、浩一は六反田に電話をした。
「六反田さん、赤松金融って言うんですけど。五十嵐先生の弁護、引き受けてるんですってね」。
「彼に何か」。

「貸してんだよ、金」。
「どうせ違法な利子とってるんだろ。法的な返済義務はない」。
「法的にはね。でも…、五十嵐からいざとなればあんた頼れって言われてんだ」。

「…」。
「30年前、同じ罪に荷担した仲間だから」。
六反田は、椅子から身を起こした。
「…何の話だ?」

「30年前の嘘の証言って、五十嵐先生言ってたけど」。
六反田の顔色が変わった。
「利子含めて2千万。耳そろって払ってもらえれば聞いたこと忘れるよ」。

浩一は電話を切った。
振り返ると、宮森わかばの家の園長の三瓶守が、子供たちと浩一を待っている。
笑顔の浩一。

六反田は、興三に面会に行った。
錯乱した五十嵐とは、まともな対応ができない。
五十嵐は、六反田の偽証は知らないはずだ。

だが、電話の男は、はっきりと言った。
「動揺するな。こちらで対処する。七尾、五十嵐に金を貸した連中を調べろ」。
興三は秘書に命令した。
「お前はお前の仕事をしろ」。

「オレオレ詐欺で使う手だ」。
カズキが、隆を装ったメールを六反田に送る。
一文字違いでわかるように、本当は隆ではない。

別人のアドレスなのだが、冷静さを欠いている六反田が事件の核心に迫るメールを受けたなら、アドレスなど細かく確認する余裕はない。
落ち着かない様子の六反田に、カズキが操作したメールが届く。
「30年前の偽証の軒ですが、仁科家では一切責任を持てません。」
この軒は極秘案件ですので、以後、このアドレスのみでのやりとりで願います。仁科隆」。

六反田は返信してきた。
「そちらが私を着る捨てる気なら、私にも考えがある」。
「会長との会話を録音したものがある。30年前の罪を、会長自らが語ったものだ」。

百田は「思うつぼだな。悪い奴らほど仲間割れが早い」とあざ笑う。
会話を録音したもの。
「作戦変更だ」と浩一は言った。
「そんなもんあるなら、仲間割れさせて聞き出す必要ない」。

喫茶店で、ハルカは六反田の助手の新米弁護士に、5万円払った。
「頼りにして良いんですよね?」
そう言うとハルカは、新米弁護士の隣に座った。
新米弁護士の手を取って、見つめる。

その隙に、法律事務所のパスをかすめ取る。
喫茶店を出ると、そこにやってきた浩一がハルカからパスを受け取る。
夜、浩一はそのパスを使って事務所に入る。

そこに忘れ物をした六反田が戻ってきた。
浩一はあわてて、倉庫になっている部屋に隠れる。
事務所が荒らされているのを見た六反田は、仰天した。

奥に隠れた浩一は、火災報知器に火のついた紙を近づけ、作動させた。
六反田は、カセットを持って逃げていく。
夜道を歩きながら、隆に電話をする。

「私だ。事務所を家捜しさせたのは君か」。
「何の話です?」
「とぼけるな、カセットテープを盗み出すつもりか」。

隆には、何の話かわからない。
「あれを表に出せば仁科コーポレーションはおしまいだよ」。
「先生は何をお望みですか」。
「身の安全の保障。五十嵐のように見捨てられては困るからな」。

「明日、朝10時。ヒルトンホテルのラウンジ」と六反田は待ち合わせの場所を告げた。
隆は「私の部屋に来てもらえれば」と言うが、六反田は人目のないところは信用できないと断った。
会話を、浩一が聞いていた。

六反田は、銀行の貸金庫からカセットテープを出してきた。
封筒に入れ、手にしっかり持つ。
「会社の名前入り封筒」。

浩一がハルカに教える。
道でハルカが六反田に、ダイヤモンド鉱山の詐欺事件の被害者を装って声をかけた。
「困るんです、、私!お金戻ってこないと」。

ハルカは、封筒を持つ六反田の手を握りしめる。
だが六反田から封筒を奪うことはできなかった。
六反田はタクシーを拾い、ホテルに到着した。

エレベーターに入った。
扉が閉まる直前、大勢のツアー客が入ってくる。
エレベーターは、ぎゅう詰めになった。

だが降りたときは、1人だった。
六反田は、ラウンジで隆に会った。
隆が言う。

「会長が残念がっていました。こちらで処理するつもりだったのに。まさか、あなたがこんな形で裏切るとは」。
「元はそっちが裏切ったんだ」。
2人は、カセットテープを聴き始める。

だが…。
会話ではなく、音楽が流れ始める。
六反田が、ぎょっとして取り上げる。

「すり替えられた…」。
絶望的な声だった。
「いつの間に」。
「あの時か!」

エレベーターで六反田は、痴漢に間違われた。
「バカなこと言うな!」
手を上にひねりあげられた時、封筒が落ちた。
それを添乗員らしき男が、拾って渡した。

カズキだった。
あの時だ。
「あれも君たちか!」

隆は「なぜ君は俺たちを疑いだした」と聞いた。
「それはあなたが…、隆君のメールが」。

「出したでしょ」。
「いいや」。
「ええ?!」

その時、六反田の事務所に警察が操作に入ったと秘書の四谷果歩が言いに来た。
携帯に連絡がはいっているはずだ。
六反田は、携帯の電源を切っていた。

慌ててみると、たくさん着信が来ている。
「詐欺集団と共謀」と、警察は言った。
「証拠は挙がってるんだよ」。
六反田が詐欺師の首謀者から、金を受け取っている写真があった。

「どっから情報が…」。
呆然とした六反田だが、すぐに隆に「助けてくれ!」と叫んだ。
「頼む助けてくれ」。

「詐欺集団から金を受け取ってたんですか」。
「十分な報酬は得ていたでしょう」。
「いくらあってもだめだ…。増えることで不安になるんだよ。つらさを思い出すから」。

隆は立ち上がった。
「頼むよ」。
「弁護士資格を剥奪されるでしょう。もう救えない」。

「誰かが俺を!」
「俺ははめられたんだ!」
六反田は床に膝をついた。

絶望の叫びを上げる。
ラウンジの客が、六反田を見る。
その後ろに、浩一が座っていた。

戻ってきた浩一は、テープを聴き始めた。
「仁科家の顧問弁護士を引き受けるに当たって、知っておきたいんですが」。
六反田の声だ。
相手は仁科興三だ。

「12年前。まだ若い学生たちが、ある事件を起こした」。
「若いOLを無理矢理連れ込もうとして、頭を打ったOLが死亡した」。
「バカ息子の親たちに頼まれ、私がもみ消しを」。

「転倒事故として処理するために、警察と解剖を担当した老医師に手を回した」。
「計算外だったのは、解剖に助手としてついた若い医師。千葉だ」。
「彼はOLの遺体に、抵抗の跡を複数発見。事件性があると判断し、警察に伝えようとした」。

「あらゆる手を使って千葉を説得しようとしたが、無駄だった」。
「やむを得ず、殺害しようとした夜」。
浩一の記憶。
「ただいまー」と言って、子供の陽一が帰ってきた。

「お父さん、だたいま」。
部屋の奥で、父親は口から血を流していた。
2人の黒装束の男が、父親を押さえつけていた。

「お父さん」。
男が、押さえつける…。
五十嵐の腕にあったアザが見える。
母親が部屋に入ってくる。

いきなり、男に刺された。
「お母さん」。
母親は言葉を発する間もなく、倒れた。
男は、隣の弟を刺した。

興三の声が響く。
「結局妻子を殺害した」。
「一家心中に見せかけた」。
「知っているのは、あなたと私の他に誰が」。

「大学生の親たち」。
「当塔の息子たちは、彼らの罪をもみ消すために人が死んだことは、何も知らん」。
「それと、千葉殺害を担当した三輪刑事」。

浩一の記憶がよみがえる。
「嘘をついちゃいけないよ陽一君」。
それを言っているのは、三輪刑事だった。
「お父さんです」と一家心中を認めるしかなかった陽一。

浩一は、手を握りしめた。。
「全部あなたの指示だったんですか」と言う、六反田の声。
「そうだ。私の指示だ」。

浩一の顔がゆがむ。
部屋に積んであった、段ボールを放り出す。
壁をたたく。

笑顔の家族。
浩一の小さい弟。
家族の笑顔。

浩一は手を激しく叩き続ける。
「何の騒ぎ?」とハルカがやってきた。
手を振り上げ、叩き続ける浩一を見て「浩一!やめて!」と止めに入る。

「どうしたの」。
浩一は、カセットをつかむ。
「浩一!浩一?!」

浩一は、道を歩いて行く。
橋の上にたどり着く。
日が傾き始める。
浩一は、いつまでもいつまでもそこにいる。

夜。
わかば園。
浩一は、明日の晃の野球の試合の審判のためのルールを本で読んでいる。
晃との約束だ。

わかば園に、人が訪ねてきていると三瓶が言いに来た。
ハルカだった。
「どうしてここが」。

「尾行、得意だし」。
「あのさ、もしかして、ほんと?30年前の親の敵って話」。
「俺、何度も言ったよな。本当のことだって」。

ハルカが遊具に座る。
浩一も座る。
そして、あのカセットを聴かせる。

三瓶が園の中から、見守っている。
「12年前」。
「そうだ、私の指示だ」。

「やっぱり首謀者は仁科興三だ」。
浩一は言う。
串本という奴も探し出す。

そして、あの時の刑事。
「全員に30年分の借りを返す」。
「手伝うよ、私も」。
「だからこれからは、本当のことだけ教えて。私には」。

「信じないくせに」。
ふっ、と2人が笑う。
「そうだ、会長に近づく方法があるじゃん。身内になっちゃう。ちょうど独身の娘もいることだし」とハルカが言った。
「冗談」とすぐに取り消す。

だが浩一は「なくはないなあ」と答えた。
「地獄を見せる」。
「罪を告白させ、土下座させて、必ず全てを奪う」。

翌日、野球で浩一のアドバイスで、晃はホームランを打った。
百田のバーで、ハルカは六反田と詐欺師の写真を見て「良く撮れてる」と感心する。
「俺は昔、こいつにカモを横取りされた恨みがある」と百田は言った。

ハルカが渡した、浩一からの謝礼には札束が2つ、入っていた。
百田が満足する。
ハルカの胸に不安がふと、よぎる。

夜。
浩一と楓が歩いている。
「あんな楽しそうな兄さん、久しぶりだった」。
楓が笑う。

「あのさ、この傷のこと」。
浩一が胸を押さえる。
「本当は子供の時、家族旅行中に事故で。ここに金属片が」。
「2週間意識不明で、目覚めたら助かったのは俺だけ」。

「思い出したくなくてさ。こないだはつい嘘を」。
「もういい!」
楓が遮った。

「ごめん。私こそ、変なこと聞いて」。
「何でだろう。嘘は嫌いなのに嘘ばっかり」。
「もういいから」。

「信用できるはずないよ、こんな男。隆さんじゃなくても、こんな嘘つき」。
「信じるから!」
「晃兄さん、あんな楽しそうに…。負けてばっかりの野球だって、勝てる」。
「仕事もきっとうまくいく。そした、お願い事もかなう」。

浩一が言う。
「家族が、また、ひとつに?」
楓がうなづく。
「かなうと良いね、そのお願い」。

「じゃあ」。
楓が帰ろうとする。
浩一が楓の手を取った。
楓が振り向く。

百田のバーでは、ハルカがつぶやいていた。
浩一が言っていた。
「浩一が言ってた。詐欺師は、偶然も必然だと思わせる。優秀な詐欺師は、これが運命だったと思わせる」。
浩一と楓の、唇が重なった…。



浩一の父親、そして浩一を除く家族が殺された理由。
早くも明らかになりました。
テンポ速くて、良いですね。
余計な引き延ばしがない。

浩一が目覚めた病室にいた晃と楓。
2人が並んで寝ているのが微笑ましくて、思わず笑顔になる。
こういうのが積み重なっていくと、憎もうとしても憎めなくなりますよねえ。
特に晃さんが良い人で、つらくなってきました。

親はともかく、この人たちは良い人。
見ていると、よく言われることだけど「子供に罪はないよねえ…」って思ってしまう。
そう思ってしまうと、復讐の手が鈍る。

鼻持ちならない、嫌な人だと気が楽ですけどね。
今のところ、隆だったら良心がとがめないかも。
手強そうなだけに、ファイトがわくのでは。
しかし、そこに最強の燃料投下。

殺された理由。
それは殺人を犯した息子たちを助けるための買収に、浩一の父親が応じなかったから。
指示したのは興三。
これによって興三は便宜を図ってもらって会社を立て直し、大きくしている。

全て嘘だった。
少し芽生えたかに見えた、微笑ましい思いは消え去った。
残るのはただ、憎しみと憎悪、憤怒のみ。

ラウンジで隆と六反田の会話を聞いていた時の表情もすごかった。
目に恨みが、こもってるじゃないですかー。
静かなだけに、怖かった。

目の奥に、チラチラ。
恨みの炎が燃えてました。
そしてこのやり場のない怒りを込めて、暴れる浩一がすごい。
草なぎさん、手を痛めなかったでしょうか。

その後、淡々と野球のルールブックを見ている浩一。
わかば園にいるのが、わかる気がする。
子供たちの顔を見て、落ち着くしかない。

わかば園から、六反田に電話しているときの表情の変化もすごい。
「金貸してんだよ」と言う草なぎさんは、ヤミ金業者の顔。
子供たちに向けた時は、あどけない笑顔。

このドラマの草なぎさんはもう、何か憑いてんじゃないかと思うような演技ですね。
いろんな引き出しを持っているけれど、それがフルに発揮されている感じです。
その熱気が、ドラマも共演者も引っ張ってる。

草なぎさんについて、演技は良いかと聞かれました。
良いと答えたら、それはアイドルの範疇で良いのかと聞かれました。
いや、普通に俳優として良いと答えました。

でも気になるのが、会議に呼ばれなかったことについて答えた隆の言葉。
「問題を起こさずにいてくれれば、それでいい」。
この言葉と、晃の反応。

前に問題を起こしたんだなということが、予想がつく。
その問題とは、仕事上のミスなのか。
兄弟の仲がギクシャクする原因になった、何かなのか。

若気の至りで、何かとんでもないことをしたのか。
話したくないことの一つぐらい、あるという言葉。
まさか、浩一の父親が殺される原因になった事件と関わりなんて、ないよね?

年齢的にないか。
あってほしくない。
それから、大杉漣さんが敵側であってほしくない。
老医師というから、解剖に当たった医師が大杉さんではないと思いますが。

そして、赤松金融。
「銭の戦争」の渡部篤郎さんの会社。
こういう風に世界がちょっとつながっているのが見えると、楽しい。

六反田健次は、飯田基祐さん。
ガッタガタになっていく様子が、うまかったです。
いくらあってもだめ。
不安になる。

五十嵐もそうですが、自滅していく様子が似ている。
社会的に成功しているのに、それでは満たされない。
そうして自滅していく。

ハルカ役、水原希子さん、似合ってますね。
浩一の復讐に、仕事を超えて協力するつもり。
楓に接近する浩一に、嫉妬の炎を燃やすかも。

今回は浩一の名言が聞けました。
リアリティとユーティリティがそろえば、人はそれを信じたくなる。
偶然も必然だと思わせる。
優秀な詐欺師は、これが運命だったと思わせる。

運命と思わせて、楓に恋の罠を仕掛ける。
楓との恋を喜ぶであろう晃。
つらいですねえ。
賢くなれ、と言う浩一。

浩一を見ていると「復讐するは我にあり」という言葉が浮かんできます。
阿修羅のようだと言いましたが、ますますそんな感じがしてきます。
正義は浩一にある、阿修羅と同じ。
だけど、赦す心を失ってしまい、天界から追われて阿修羅は修羅道に落ちる。

でももしかしたら、興三さえも何者かに使われているのでは。
ということは、これからの標的はどんどん大きく、困難になっていくのでしょうか。
どんどん、おもしろくなっていきそうで次回が待ちきれません。
「銭の戦争」も良かったけど、これも良い。

ドラマの合間に入るCMで、翌日の「おじゃMAP」を見てしまった私。
草なぎさんが楽しそうにツアーに参加していて、ホッとしてしまった。
安田顕さんと、菊池風磨さんも別ツアーに参加。
こっちも楽しかった!


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ちゃーすけ

Author:ちゃーすけ
癖の強い俳優さんや悪役さん大好き。
俳優さん、ドラマ、映画、CMその他、懐かしいもの、気になるものについて、長々と語っております。

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