こたつねこカフェ

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日本映画史上に残る悪女バトル 「疑惑」(1/2)

久々に82年の映画「疑惑」を見ました。
実はこの記事、アップ直前に壊れましてね。
ちょっとくじけてたんです。

鬼塚球磨子役は、桃井かおりさん。
桃井さんの、ベストワークの一つではないでしょうか。
鬼塚球磨子が日本映画史に残る悪女になったのは、桃井さんの功績だと思います。
これは桃井さんでなければ、出せない味。

この映画を見たある映画評論家は、「桃井かおりってほんとに嫌な女よ。あれ、地よ」と言いました。
いや~、それはないんじゃないのって思いました。
でもそれだけ、はまっていたんです。

桃井さん以外では鬼塚球磨子は、余貴美子さんが良かった。
本当は黒なのだと示唆する笑い、ゾクゾクします。
余さんの魅力が最大限に発揮されていて、佐藤浩市さんが迷うのも無理はないです。

しかし、どういう育ち方をして、どういう人生を送ると、球磨子みたいになるのかと思います。
それほど球磨子は常識はずれ、非常識。
思いやりなんか一片もない。
人に迷惑をかけないという意識もおそらく、全くない。

「馬屋古女王」じゃないですけど、純粋に本能のみ。
自分の快楽のみ。
ここまでになるには何かが、この人の人生にあったんでしょう。
でも、そういう描写は一切ない。

なくて良いです。
これは法廷劇に徹してくれた映画。
球磨子というとんでもない悪女が、本当に人を殺しているのか。

この女はひどい女だが果たして、人が殺せる女なのか。
その真実を追究するための法廷劇。
なので、球磨子には球磨子の哀しい事情があったのです、という説明はこの映画では必要がない。

真実を追究していくのは、佐原律子弁護士。
岩下志麻さんが演じます。
球磨子とは正反対の生き方をしてきたであろう、女性。

おそらく、球磨子はこういう女性が大嫌い。
また佐原も、球磨子みたいな女性が大嫌い。
この心の中では大嫌いな女性が仕事と生存をかけて組み、生き残っていく映画。
今見ると、ものすごく豪華な出演者のみなさん。

富山の埠頭で、車が海に落ちる。
乗っていたのは富山でも有名な資産家・白河酒造の御曹司の福太郎。
そして後妻の球磨子。
浮かび上がって助けられたのは、球磨子だけだった。

球磨子は東京でホステスをしていたところ、福太郎氏が懇願して妻に迎えた女性だったが、前科があり、酒癖も悪い。
金遣いも荒く、かなり評判が悪かった。
従業員はもちろん、白河家からも嫌われている。

こんな女に遺産の半分が行くことを考えた白河家では、先妻の弟の助言によって福太郎と先妻の間に生まれた15歳の宗治に全財産を相続させてしまった。
しかし球磨子は福太郎に3億円以上の保険金をかけていたため、これは事故ではなく保険金殺人の疑いがかかる。
警察の追求に動じることなく応じる球磨子に苦慮した警察は、福太郎の葬儀に球磨子を連れて行った。

何をしに連れてきたと怒る福太郎の母親だったが、警察は福太郎の遺体を見た球磨子の反応が見たいのだと言った。
棺の中の福太郎を見た球磨子の反応は…。
「うっ、うっ、うっ」。
泣いてるんじゃない。

「う、うええええ」。
「げえええええ」。
棺に向かって球磨子が、吐き気を催している。
周囲は唖然、呆然だった。

保険金殺人として球磨子は起訴され、裁判になるが、いきなり弁護人が降りてしまう。
降りてしまう弁護人が、丹波哲郎さん、松村達雄さん。
すると球磨子は拘置所で猛然と、六法全書を読み始める。
そこに国選で選ばれてきたのが、佐原律子だった。

謁見した佐原に球磨子は「あんた、あたしがやったと思ってんでしょ」と切り出した。
そしてこんな悪女扱いされるのは、自分の名前が悪いからだと言う。
鬼塚球磨子、だから鬼クマなんて言われちゃう。
もっと可憐な名前だったら、違ってたと。

まー、もう、ここまでくると名前じゃない気がしますけどね。
でもやっぱり名前は、大事。
どういう意図で、鬼という苗字で名前にクマってつけたのか。

女の子ですからね、からかわれたことがあったのかも。
さらっと言ってますが、名前のことは球磨子は昔から気になっていたのかもしれません。
球磨川と関係あるんですかね。
…関係ない話になりました。

さらに球磨子は佐原に「嫌いだなぁ、あたし、あんたの顔」と言う。
しかし佐原は冷静に「死刑になりたければどうぞ」と言う。
「私が嫌いなら断れば。私だってあなたの弁護、断れるんだから」。

でも重大な犯罪には弁護士がつかなければ審議はできない。
六法全書読んでるなら、そこ、読めと言って佐原は出て行く。
かくして、カーン。
ゴング鳴った。

検事は小林稔侍さんです。
裁判で罪状を読み上げる検事に「あんたの言ってることは全部、でたらめ」って球磨子は言っちゃう。
証人に森田健作さん。
アイボリーの車が転落するところを目撃したと言うと、最初は白い車と証言していたと佐原は突いてくる。

「本当はアイボリーだった、誰かがあなたに教えたのですね?」と、誰かの入れ知恵があったことを示唆する。
しかし球磨子が「こいつ、いい加減」なんて言うもんだから、証人はカッとなる。
「あんたが運転していた」と言われてしまう。

球磨子は「あんなのあたしに責められて逆上しただけじゃない、見りゃわかるわよ」。
そう球磨子は言うが、佐原は裁判記録には残ってしまうと言う。
このように球磨子には裁判で、弁護人が手を焼いてしまうのだ。

印象に残るのは、球磨子が勤めていたクラブのママが証人として呼ばれたシーン。
ママは、山田五十鈴さんが演じます。
法廷で年齢を聞かれて、ゴホンと咳払いして答えない。
楽しそうな顔の球磨子。

「書いてある通りですね」と言われると、ママはフフッと笑う。
「何言ってんのよ、散々あたしで金引き出したくせに」と言う球磨子にピシリと「おだまり!」
あの球磨子を黙らせる迫力。

ママが懇意にしていたお客は、福太郎氏との交渉に難航していた。
そこで球磨子を使って福太郎氏との取引を優位に運び、謝礼を受けたのではないか。
佐原がそういう方向に話を持っていこうとすると、「ちょっとぉ、ここ税務署?」
「あんた、バカじゃないの!」

女が男をだますのなんて当たり前じゃないの、って、男も承知で遊びに来てるんだから!
あたしゃこの商売30年やってるんだ、男と女のことなら、あんたなんかよりよっぽど知ってる。
そんなこっちゃ、亭主に逃げられるよ!
家に帰って聞いてごらん!

ママはそう怒鳴る。
ええ、佐原は離婚してます。
これには、さすがに佐原もムッとする。

しかしママは、「あの福太郎さんって人は、そういうところが通じない人ではあったわねえ…」と、しみじみ言ってくれる。
こちらの聞きたいことはポイント押さえて言ってくれている。
その感じが、さすがの貫禄。


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