書いていて、とても疲れます。
つらくなります。
利一を東尋坊につれていく前で一度、書くの挫折してます。
ここで終わってどうするんだ、ってところですよね。


大好きな大好きなお父さん。
自分がしゃべったら、大好きなお父さんが困る。
大好きなお父さんのために、あんなに小さいのに。
あんなに、ひどいことされたのに。

こんな目にあわされてもかばうなんて、親子だなと言う刑事の言葉。
一瞬でも「似てないよ」と言われたことが、引っかかった宗吉には恥ずかしかったに違いない。
利一は大好きなお父さんのために、自分の存在を消し去るつもりだ。

ここに出てきた登場人物の誰より、利一は純粋で強く、人間らしい。
恨んでない。
憎んでない。

利一の足元にひざまずいて、号泣する宗吉。
いっそ、罵られたほうが楽だったでしょう。
何年も修行をして、それでもたどり着けない自己犠牲という、最も崇高な行為を利一は自分に対してやっているわけですから。

菊代に子供ができたと言われた時、うれしそうな宗吉。
後の話を知って見ると、とても残酷なシーンです。
「生んでくれ!」
「俺、子供欲しかったんだ」。

何という残酷な場面でしょうか。
お梅はひたすら怖いけど、最初から鬼畜だったわけじゃない。
言ってましたね。

あたしと一緒になったから店が持てたんじゃないか、一緒になってなかったら、渡りの職人じゃないかって。
銀行員も言っていました、奥さんは、やり手だって。
それが愛人を作られて、子供まで作られていた。

鬼のようになってもしかたがない。
また、菊代が逆上したとはいえ、人として品格を疑われることを言っている。
お梅が一生懸命働いてきて、宗吉はそれだけでも、お梅に頭が上がらない。
それなのに、外に愛人を作った。

子供ができた。
喜んで、生ませた。
ひどい。
さらにそれを愛人が、子供がいないお梅に向かって指摘し、最後には嘲笑した。

こんなことになった元凶は宗吉。
お梅に人として、やってはいけないことをやった自覚があるはず。
傷つけたことが、わかっているはず。
だから元々、頭が上がらなかったお梅が何をしても、止めることができない。

お梅に「子供を自分が生んだんで、頭にきているんだろう」と言った時の菊代の顔。
これもまた、鬼畜の顔。
「わかりました」と言った時点で菊代はもう、眠る前に子供を置き去りにすることを決心していたように見えます。

それは宗吉たちに対する復讐でもあり、菊代がこれから生きていくのに邪魔だと言う計算も見えます。
しかし、だとしても子供を、あそこに置いていくというのは、どうにも理解できない。
仕返しにはなるけど、お梅に子供を押し付け、宗吉の性格を知っていたら、子供がどうなるかなんてわかる。
鬼畜生!と叫んだ菊代もまた、鬼畜だったということでした。

岩下志麻さんと小川真由美さんの最初の対決は、極妻なんてもんじゃないです。
小川さんはこの後、全く出ませんが、強烈な印象を残します。
男性にとっては悪夢じゃないですか、この事態。
岩下さんはこの後、「疑惑」では桃井かおりさんとも今度は理性的ながら、バチバチの対決を見せてくれます。

庄二が殺され、良子が置き去りにされ、利一は自分はそうはいかないと示す。
そこで宗吉は、利一を連れて出る。
良子も利一も、あんまりそういうことがなかったんでしょうね。
それがわかる様子が見ていて、痛々しい。

能登に行った宗吉が酔って、利一に語る自分の生い立ち。
「六つの時、母ちゃんもどっかに行っちまった」って、まるで、利一たちと同じです。
「でも一番嫌だったのは、弁当持たずに学校行くのだったな」。
この時の宗吉の、声の崩れ方。

「人の、だぁれもおらん運動場」。
もう、本当に本当につらそうで。
1人、運動場にポツンといる少年が目に浮かぶような語り口。

「父ちゃんのこと、奉公に出したまんま。捨て猫みたいに置いてきぼりだ」。
哀れだった。
でも、宗吉は良子を、捨て猫みたいに置いて来た。

誰よりもつらさがわかっているはずなのに、同じことしてしまう。
宗吉は徹底して弱くて、情けなくてみっともない。
さすが緒形拳って感じです。
良子の行方を聞く利一を連れて行く時の顔は、これもまた鬼畜でした。

この人は、刑務所でも小さくなって、仲間はずれにされるんだろうなと思う。
腹が立つにしろ、同情するにしろ、宗吉という男がダイレクトに感じられる。
いや、岩下さんにしろ、蟹江敬三さんにしろ、本当にこの登場人物の今までの人生が感じられるように演じてます。

蟹江さん演じる阿久津は、あの家がもう、嫌で嫌でたまらなかったんでしょう。
晴れ晴れとして出て行く感じがしました。
刑事に呼び止められて、本当にかかわりにならなくて良かったと思うことでしょうね。
最後にちょっとだけの出演ですが、婦警役の大竹しのぶさんが存在感を示してくれます。

自分で自分のことを選べない者に対しての仕打ちは、見ていて本当に不愉快。
嫌いな人、多いでしょうね、この映画。
私も見ていて、書いていて疲れました。
後にビートたけしさんと黒木瞳さんでドラマになりましたが、私はもう、見なかったです。

でもこれ、もう、40年近く前の作品なんですよね。
初めて見た時は子供の側で、宗吉もお梅も菊代もひどい、と思いました。
今は自分も大人の側にいる。

だからお梅の気持ちも、宗吉の弱さも、菊代の意地も。
察しがつかないわけではないです。
良いとは思わないけど。

最後の児童相談所の男性の言葉が、まるで現在のことを語られているみたいで、切ない。
嫌な映画で、好きな話じゃないけど、一度は見ておいて良い映画なのかもしれません。
俳優さんたちの演技は素晴らしいですし。

救いのない話の中、岩下さんが以前トーク番組で、言っていました。
あの、子供にご飯を詰めるシーン。
監督に本当にやるんですかと聞いたら、本当にやってくださいと言われて、すごく気が重かったそうです。

子役が怯えるのはわかっていたので、撮影にはいつもたくさんのお菓子を持って行った。
そして、おもちゃのプレゼントも持って行った。
休み時間には一緒に遊び、おばちゃんはいじめたりしないよ!あれはお芝居なんだよ!ということをわかってもらおうと必死だったそうです。

そのかいあってか、利一くんと良子ちゃんは、わかってくれた。
でも庄二くんはダメだったそうです。
岩下さんが来た途端、火が付いたように泣く。

そう言うと、その番組には庄二くん役だった子が来ていました。
中学生になっていました。
岩下さんは「ごめんねえ、ごめんね」と言っていました。

庄二くんは、全然覚えてないと言ってました。
司会は「俺、志麻に膝の上で飯食わせてもらったことがあるぜ!って自慢しなよ」と言ってました。
岩下さんは胸にずっとつかえていたものが下りたようで、とっても良かったとおっしゃっていました。
私も聞いていて、ほっとしましたよ。

「ママが迎えに来るまで良い子でいなきゃだめよ?わかった?」と言われる利一。
利一はずっと、良い子で我慢してましたよ…。
宗吉にもお梅が面倒見てくれるから、良い子でいろって言われてましたよ…。
この子は運が強い子だよっておそらく、派出所の奥さんだと思う女性が言ってました。

本当にそうだと信じたい。
良子とも会えて、そして利一は幸せになったと思いたい。
宗吉が利一にやってしまった不幸の連鎖を終わらせる強さが、利一にはあったと信じたい。
こんなきついお話にお付き合いくださった方、ありがとうございます…。


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2017.02.06 / Top↑
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