こたつねこカフェ

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あなたを信じます 「王女アレキサンドラ」

「ガラスの仮面」が有名な美内すずえ先生ですが、他にもいろんな骨太の話を描いています。
ホラー作品だと本当に怖かった。
当時の少女マンガにしては、革命の描写など残酷な描写もありました。
王女を描いた作品の中で、自分が印象に残っている作品は「王女アレキサンドラ」です。

たぶん、長編の読み切り作品として掲載された作品だと思います。
王女アレキサンドラは、幼い頃、爆弾テロにあって失明。
目の見えないアレキサンドラに母は「あなたにできることは、人を信じること」と言い残します。

父の王の後妻は、自分が生んだ男の子に王位を継がせたい。
アレキサンドラが王位継承にふさわしくないと判断されるように、策略を巡らせます。
その一つが、反逆の疑いで父親が投獄されて死んだ、医師のアルバートをアレキサンドラの主治医にすることだった。

自分の生い立ちを知っているはずの王妃が、なぜアレキサンドラを任せるのか。
アルバート自身も不審に思う。
最初はアレキサンドラに冷たかったアルバートだが、次第に心優しいアレキサンドラを本気で心配するようになる。
晴れの挨拶の日、アレキサンドラが国民に手を振るために出て来る。

その時の衣装には、不吉にも血のシミがついていた。
しかし、自分にはそれはわからなかった。
侍女のマーゴが、王妃に言われてやったのだった。

アレキサンドラは、目を治したいと切実に思う。
だがアルバートに目はもう、治らないと言われて絶望する。
その嘆きを見たアルバートは、目が見えなければ他のやり方があるとアドバイスする。

ある日、アレキサンドラは美術館で、画家たちの作品を見ることになる。
王妃、そして王妃の子・ライラスたちが作品にいろんな意見を言う。
和やかな輪に、アレキサンドラは入れない。
目が見えない王女が、なぜ、この場にいるのか。

画家たちも困惑する。
めげそうになったアレキサンドラを励ましたのは、アルバートだった。
気を取り直したアレキサンドラは、画家たちと握手をしたいと申し出る。
画家たちと握手をしながらアレキサンドラは、「この手で傑作をお描きになるのね」と声をかける。

「抽象画でも手はそうじゃなくて良かった」と言う王女の周りに笑い声が上がる。
王女と握手した画家たちは、感激する。
継母たちの影は薄くなってしまった。

次に王妃は、国内で起きた自然災害で被害をこうむった地域の視察に、アレキサンドラを行かせた。
「目が見えない王女に何がわかるんだ」。
「うわべだけの言葉などいらない」。
そう言っていた国民たちだが、現れたアレキサンドラを見て驚く。

アレキサンドラは一人で、被災地を歩いた。
がれきの山を歩き、転倒した。
その手に、家の屋根が触れた。

こんなところに屋根が!
アレキサンドラは、身をもって、その被害のひどさを知った。
ドレスの裾が破れ、傷だらけで現れたアレキサンドラは言う。
ひどい被害だ。

しかしそれに負けずに皆さんが復興を遂げることを、私は信じます…。
アレキサンドラの言葉に励まされた人々は、次々と復興のために動き出す。
ここでも王妃の思惑は外れた。

そしてついに最大の危機がやってきた。
かつてアレキサンドラの視力を奪った爆弾犯が、コンタクトを取ってきたのだ。
犯人は隣国の支援を受けていた。

王妃はこの交渉に、アレキサンドラを行かせた。
場合によっては、もともと仲の悪かった隣国との戦争に発展するかもしれない。
犯人はアレキサンドラに自分が憎いか、と聞く。

だがアレキサンドラは、もう過ぎたことだと言う。
すると今度は犯人は、アレキサンドラに自分を許すという書類へのサインを求めた。
だがアレキサンドラには、その書類が何かはわからない。
もし、このラストニア国を譲るという書類だったら…。

ためらうアレキサンドラの頭の中に、母の声が響いた。
『信じなさい、アレキサンドラ』。
…!

『目の見えないあなたにできることは、人を信じること』。
「おお、そうだわ」。
背筋を伸ばしたアレキサンドラは、「そこにいてください。声を頼りにそちらへ行きます」と言う。
その毅然とした様子に、犯人が後ずさっていく。

まっすぐに手を伸ばし、やってくるアレキサンドラ。
アレキサンドラと犯人は、互いにサインをしあう。
サインをし終わると、犯人が人々に言う。

「安心してくれ」。
犯人が掲げた書類は、白紙だった。
アレキサンドラはサインしなければ、自分もするつもりはなかった。
改めて、犯人はアレキサンドラに深くわび、許しを乞うた。

見事に交渉をまとめ、隣国との紛争にもならずに事態を収めたアレキサンドラを国民は絶大的に支持した。
それを見守るアルバートだが、使用人はアルバートが主治医の範囲を超えているのではと心配する。
王女が心配なだけだと言うアルバートに、老人は「だと良いが。身分違いは悲劇の元」と言った。
その時、アルバートは自分が王女を愛していることに気付いた。

王妃になり、しかるべき王室と縁を結ぶ運命のアレキサンドラ。
アルバートはもう、そばにはいられない。
暇をもらいたいと言って去っていくアルバートに、アレキサンドラも泣き崩れる。
愛している。

戴冠式の日が来た。
アレキサンドラを馬車に乗せたのは、侍女のマーゴだ。
マーゴは王妃に言われた通り、アレキサンドラが戴冠式に着けないよう、馬車を郊外に走らせた。

道がごつごつしていることを不審に思いながらも、アレキサンドラは乗っている。
その時、羊飼いの少年の鳴らす鈴が耳に入って来る。
アレキサンドラが、はっとする。

マーゴも顔色を変えた。
しまった…!
気付かれた!

アレキサンドラも、自分が戴冠式の場から遠ざかっていることに気付く。
しかしニッコリ笑うと、マーゴに語り掛ける。
「今のは、どこかの教会の鐘ね」。

マーゴの胸に、その言葉は突き刺さった。
さわさわと草原を渡る風。
鐘の音。
気付かないはずはない、気付かないはずは。

アレキサンドラは言う。
「目の見えない私には、人を信じることがすべてです」。
「マーゴ。あなたを信じています」。
マーゴの心は、完全に砕けた。

アレキサンドラは来ない。
王妃が、ほくそ笑んだ時だった。
「アレキサンドラ様のお成りー!」という声が響く。

そこにはアレキサンドラがいた。
横には深く首を垂れ、うやうやしく手を取るマーゴの姿があった。
まさか、あのマーゴが私を裏切るなんて!
王妃は声も出ない。

戴冠式が始まり、アレキサンドラは無事、王妃となった。
その途端、アレキサンドラは王冠を取り、叫ぶ。
「来てください、ライラス!ラストニア次期国王は、あなたです!」

王妃も、ライラスも仰天した。
アレキサンドラは目の見えない自分には、国王としての義務が果たせない。
初めからアレキサンドラは一度王となり、ライラスに王位を譲る考えだったのだ。

戴冠する息子の姿を見た王妃は、泣いた。
「私は…、何という、何という愚かな…」。
王妃はアレキサンドラに詫びた。

アレキサンドラは言う。
「お義母様、あなたを信じています」。
そして、アレキサンドラの近くには再び、アルバートがいた。

「身分違いの、由々しき事態!」と言う側近に王妃は微笑む。
爵位がないなら与えれば良いではありませんか、と。
でももう、そんなことは問題ではない。
アレキサンドラは光の中を、歩いているのだから…。



この国、私はリトアニアだったか、ラトビアだったか、思い出しながら悩みました。
確か、ラストニア…って言ってたような、どっちだったか、わからないなあと。
それなので、バルト三国のニュースが流れると、注目して見ていたことがありました。
架空の国のお話だったみたいですね。

美内さんの王女の物語でもうひとつ、印象的なのは「ジュリエッタの嵐」です。
こちらは革命にあった王女が軟禁された城を抜け出し、最後は革命を起こした男とその村で一人の女性として生きていく話でした。
普通の少女マンガの展開なら、抜け出して苦労した後、王女に返り咲くんですけどね。

自分たちの贅沢な生活を思い知り、革命の意味を知り、自分たちを不幸にした男の生い立ちを知る。
そしていつしか惹かれ合った2人は、ただの男女として暮らしていく。
骨太のストーリーでした。

人を信じる。
これはアレキサンドラのような立場にあれば、普通の人間より困難なこと。
アレキサンドラは、人の悪意には気付いているんです。
王妃の子、娘の方は割とアレキサンドラに悪意がありましたが、弟のライラスは良い子でした。

アレキサンドラは悪意に気付いているうえで、それでも信じていると言って、相手の判断にゆだねる。
アレキサンドラの人を信じるという危ういように見えて、人の良心を揺さぶる生き方。
彼女に信じていますと言われた者は、「人間の証明」をしなくてはいけなくなる。

最後のマーゴとのシーンは、感動を呼びます。
うやうやしくアレキサンドラの手を取るマーゴの姿。
あれを見れば、彼女が今後、一生かけてアレキサンドラに尽くしたであろうことが予想できます。
そして最後にアレキサンドラによって、自分の愚かさを思い知った王妃も。

アレキサンドラの気高さ。
美内さんの画力は、それをしっかり表現してます。
やっぱりこの作家さんは、力があるなあ。
なのに、本が今は手元にないという…。

だけど、あの犯人との交渉にアレキサンドラを行かせるって、王妃も相当危ないことをする。
アルバートの出番は、それほど多くないですが、最後もハッピーエンドで良かった。
感動の話だけど、人を心底信じるって本当に難しい。

信じて、そしてうまくいくことは本当に難しいと思います。
だからこそ、アレキサンドラの姿は忘れられないのでしょうね。
良い話です。


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