こたつねこカフェ

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世界中は夢の木が見ている夢だ 「夢の木」

手元に本がないので、うろ覚えで書きます。
睦月とみさんの作品「夢の木」。
このタイトルさえ、正確かどうか自信がありません。

ある街の丘に、立派な古い木がある。
暑い夏など、その木の下で人が休む。
その木の根元には、刃が入った跡がある。

どうして切ろうとしたのか。
なぜ、途中でやめたのか。
誰も知らない。

昔、村には芽見(めみ、この字でいいのかわかりませんが)という娘と、芽見の恋人で木こりのトム(登夢?)という青年がいた。
村の丘のてっぺんには大きな木があり、夢の木と呼ばれていた。
長老は、その木を決して、傷つけてはならないと言っていた。

芽見とトムは、その木のある丘の上で会っていた。
その時、アクシデントが起きて芽見は木の上から落ちてしまう。
下では危機一髪、トムが芽見を受け止めた。

だが…。
「トム、木が!」
芽見が捕まった木の枝が、折れて落下していた。

その夜だった。
フラフラになった女性が、村にたどり着いた。
女性は酔生子(ようこ)と言って、都に上る途中だった。

馬に水をやるために池のほとりで休んでいたところ、馬も、供も忽然と消えてしまったのだ。
酔生子の話を聞くと、馬や供が消えた時刻は、芽見が夢の木の枝を折った時刻だった。
恐怖におののく芽見だが、トムは笑い飛ばす。
酔生子は、しばらく村で休んで、体力を回復させることにした。

「笑い飛ばして。そうでなきゃ、あたし、不安で不安でしかたがない」。
そして芽見は何でもないことを証明しようと、夢の木の小さい枝をポキポキと折る。
いくつもいくつも折る。
数日たった。

すると村の人が言い始める。
「おらのところのニワトリ小屋がニワトリごと、消えちまった」。
「おらの牛が消えた」。
次々、村で何かが消えて行った。

それをトムに知らせようとした芽見の目に、トムと酔生子が入って来る。
酔生子は、トムに字を教えていた。
トムの手のひらに酔生子が字を書き、トムがそれを声に出す。
酔生子が何か書く。

トムが大声で、読む。
「す」。
「き」。
「だ」。

その言葉の意味に気付いたトムが、ハッとする。
酔生子が笑う。
「学問をなさいな、トム殿」。

2人は芽見がいるのに気づく。
微笑んで言う。
「酔生子さんに、字を教えてもらってたんだ」。
「本当ですよ、それだけです」。

「嘘だ」。
芽見は叫ぶ。
「嘘!」

そして思わず、手に握りしめていた石を投げてしまった。
石は、トムの額に当たった。
血が流れる。
「トム殿!」

「何てこと!」
「早く、こちらへ!」
トムを手当てするため、急いで連れて行く酔生子。
芽見がひとり、残った。

雨が降って来る。
雷が鳴る。
ショックで戻ってきた芽見を、父親が驚いて出迎える。

「芽見」。
その時、落雷が夢の木の枝に落ちる。
枝が燃え上がり、落ちる。

芽見の目の前にいた父親の影が、すうっと薄くなる。
「父ちゃん!」
芽見の目の前から、父親が消える。

翌朝。
カーン、カーンと音が響く。
芽見が父親の斧を持ち出し、夢の木を切っている。

父親が失踪し、芽見はおかしくなった。
村人たちはそう言った。
芽見は思った。

世界中は夢の木が見ている夢だ。
夢の木を切れば、みんな消える。
トムも消えてしまう。
自分も、自分の醜い心も消える。

全部消えて、綺麗にしたい。
トムが見ている。
酔生子がやってくる。

芽見はトムも、酔生子も恨まない。
その代わり、全部消してしまうことを選んだ。
俺は芽見の望むとおりにしてやりたい。

疲れた芽見が、へたりこんだ。
すると、トムが斧を拾った。
カーン。

今度はトムが、夢の木を切ろうとする。
「お前の望むとおりにしてやりたい」。
カーン、カーン。
芽見が叫ぶ。

「やめて」。
「やめて、トム」。
「消えないで」。
「都に行っても良い。幸せに暮らして」。

酔生子が、旅支度をしている。
2人を見ながら言う。
「夢の木を切れば、世界中が、消える…?」

「わたくし、そのような考えにはついていけません」。
「一人でまいります」。
そう言いながら、酔生子の頬を涙がつたっていた。
芽見とトムは、固く抱き合っていた。

現代。
大きな丘の上の木。
その木の根元には、刃が入った跡がある。
どうして切ろうとしたのか。

なぜ、途中でやめたのか。
誰も知らない。
だがその木の下で昼寝をした者はみんな、幸せそうに寄り添って暮らす娘と木こりの夢を見る。



酔生子のスタイルからすると、平安時代みたいなんです。
だけど名前が、芽見、トム、酔生子。
どこか異国っぽい。
この作家さん、こういう無国籍、時代不詳な雰囲気を出すのがうまい。

小さな村に、外からやってきた洗練された女性。
新鮮で刺激的で、トムもちょっと惹かれたと思います。
酔生子にも、疲れ切ったところに頼もしく優しいワイルドなトムは新鮮だったはず。
何となく、惹かれ合っちゃうんですねえ。

トムも外で学問することに憧れたでしょうし。
でも冷静に考えたら、この2人は都に一緒に出てもうまくいかなかったでしょうね。
酔生子が村で暮らせるはずもない。

だけど、芽見にはそんなこと判断できない。
結局、トムは芽見への思いを再認識。
口では付き合え切れないと言っている酔生子の頬に涙は、ジンと来ます。

世界中が本当に、夢の木が見ている夢なのかどうか。
それはわかりません。
ただ、謎の失踪と夢の木の枝が折れることはシンクロしているんです。
あのまま、芽見が木を切ったら、世界は消えたんでしょうか。

結局、2人はより強く、結びついた。
末永く、この村で幸せに暮らしたはず。
その証拠に、人はこの木の下で芽見とトムの夢を見る。
うまいラストです。


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