こたつねこカフェ

癖のある俳優さん、悪役さんが大好きです。時代劇、ドラマ、映画、俳優さんのことを好きに書いています。
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不穏な猫マンガ 「伊藤潤二の猫日記 よん&むー」

ちょっと前ですが、Eテレで、伊藤潤二というマンガ家の特集をやっていました。
ホラーを描いていて、ひとつの絵が完成されるまでを追っていましたが、その緻密さ。
こだわりと出来栄えのすばらしさに、思わず見入ってしまいました。
虫が嫌いな私には、自分で描いていて、おぞましくならないのかなあと言うぐらいの緻密さでした。

その伊藤さんが描いた、猫マンガ。
「伊藤潤二の猫日記 よん&むー」。
表紙があの緻密なタッチの猫。
しかし、ホラー風味!

猫の顔が怖い。
特に怖いのが、向かって左側の猫。
よんちゃんと言うそうです。

猫だけじゃない。
主人公のJくん、伊藤潤二先生の顔も怖い。
婚約者、のちの奥さんになるA子さんも、常に白目をむいている。

でも表紙をめくった後のカラーページの、2匹の猫はかわいい。
伊藤先生の愛情が感じられます。
日記は、JくんとA子さんが新築の家にやってくる。
そしてA子さんが実家から「よん」という猫を連れて来ると言ったところから、始まります。

第1話「むー登場」。
Jは新居を購入した。
貼りたての白い壁紙。

ピカピカの床。
かぐわしい新築の香り。
そしてこの新居には、Jの婚約者A子がいる。

しかしまもなく、宅配便が届く。
キャットタワーだった。
「キャッ…、キャットタワー?なんでそんなもの、買ったんだ?」
「何言ってんの?千葉の実家から『よん』を連れて来るって話したじゃん」。

Jは、「よん」という猫を思い出します。
A子の実家に行った時、そういえばそこにいた。
『よん…。そうだ、あれは数か月前、A子の実家へ初めて行った時のこと』。

『そこに、「よん」はいた」。
Jを見る、よん。
その目の周りは黒く縁どられ、陰影が禍々しい。

『それは誰が言ったか…』。
「呪い顔の猫…』。
(いや、あなたが言ったんでしょ)。

『あの呪い顔の猫が…』。
『この家に来るだと?!』
『認めん、認めん…』
「認めんぞ~!」

叫んだJは、次のコマでは、キコキコキコとドライバーを回し、キャットタワーを作っているのであった。
さらにA子は、よんが一人だけじゃ寂しいと思うと言って、もう1匹飼うと言う。
新居の壁を、テカテカした爪とぎ防止シートで覆って行ったJは思う。

『な、何…。もう1匹猫を飼うだと…?!』
『1匹ならまだしも、2匹も飼うというのか…』。
『認めん…、認めん…』。
「認めんぞ~!」

叫んだJは、次のページではA子を乗せて、初めて行く場所へのドライブに神経を使っていたのでした。
そして家に来た「むー」ちゃん。
ホラーマンガ家の母親とA子が、「かわいい」「かわいい」とあやす。
ゴロゴロゴロと喉を鳴らす「むー」。

Jの目が大きく見開かれ、目が充血し、血管が浮き上がっていく。
その血管が、中心に向かって行く。
中心には、猫のマークが!

「か…、貸せっ!」
叫び、突然、猫を2人から奪うJ。
パックリと口を開き、むき出しになった歯が糸を引いている。
狂気に満ちて目で猫を見ると、「お…、お前」。

「食べちゃうぞ~っ!」
そして「チューッ!」と叫び、猫の顔を口で吸い始める。
部屋の真ん中で猫を抱えて、回転しながら「食べちゃうぞ~っ!」と叫ぶJ。
誰も止められない。

そしてついに「やってくる…」。
「もうすぐ、やって来る」。
「あいつが我が家に…」。

「数時間後には我が家へやって来る…」。
「あの呪い顔の猫『よん』が…」。
ということで、第2話は「よん襲来」。

A子が帰宅。
部屋で、キャリーケースを開ける。
Jくんは廊下からこっそり、それを見ている。

暗い部屋。
ギイイイイと音がする。
キャリーケースの闇の中、目が光っている。

「ヌー」。
首が伸び、出てきたのは、ホラー顔の猫「よん」。
(これ、猫飼ってる人にはわかるんじゃないですか。猫が首を伸ばしたところ)。

その背中の模様を見て、Jは「あっ!!」と叫ぶ。
「よんの背中に…、ドクロの模様がっ」。
「の…、呪われている…」。
「やはり呪いの猫だ」。

「呪いの猫がやって来た」。
「我が家に呪がやって来た!」
(いや、ただの模様)。

頭を抱え、ムンクの悲鳴のポーズで走り出すJ。
その背後には、大きなよんの呪いの顔。
しかしその夜、A子が泣きながらやってくる。

「よんが…、よんが…」。
J「よ…、よんがどうしたのだ?」
「呪っているのか?」
(そんなわけないと思います!)

「よんが全然、ご飯を食べなくて元気がなくなっちゃったから、今夜は私の部屋で看病するね」。
(ああっ、かわいそう)。
A子が部屋に行くと、キャットタワーの箱の中、よんちゃんが寝ている。
元気がない。

「よんちゃん…」。
「よんちゃん…」。
A子が泣いている。
(ああ…、わかる)。

伊藤先生の絵は、元気のない「よん」を的確に描写してます。
よんが、好きなんですね。
突然、見知らぬ家に連れて来られて、よんは極度のストレスを感じ、まいってしまった。
でもA子の看病で、よんは元気を取り戻します。

3日ほどすると、「よん」は「むー」とも仲良しになります。
後姿のA子にJが「何をしているのだい?」と、声をかけます。
すると白目のA子が振り向き、「チュッチュだよ」。
「おっぱいの代わりだよ、これでもまだ1歳だからね」。

見ると、よんが、A子の指をチュポ、チュポと吸っています。
『その頃、私は気づいていた…』。
『よんは呪い顔なのではなく…』。
『単に変な顔の猫なのだと…』。

『変な顔だが、それはそれで可愛いのだと…』。
(でも写真の猫「よん」は、かわいい。「変な顔」というのは、伊藤先生の愛情表現でしょう)。
はあ、はあ、はあ。

Jの目が血走って来る。
息遣いが荒くなる。
「か…、貸せっ!」

Jは叫ぶと、A子からよんを奪い取る。
血走った目。
陰影が付いた顔で、Jは叫ぶ。
「チュッチュしろ!」

「さあ、俺にもチュッチュしろ!」
そう言って、指をよんに差し出す。
だが…。

よんは、ズルッと腕から逃げる。
白目をむいたA子が笑う。
「フフフ…」。
「チュッチュは私にしか、しないんだよ…」。

「グググググ」。
歯ぎしりし、目を剥きだしたJくん。
よんを扉の向こうから、未練たっぷりに見る。
『変な家に連れてこられたにゃー」と、よんは思う…。


ホラータッチの絵。
描写!
展開は、ホラー。

だが中身は、猫日記!
それも愛情たっぷりの猫日記。
爆笑です。
私はうっかり、電車の中でこれを見て、危ない人になってしまいました。

最初の「Jくん」「なんだい、A子」からして、ホラー。
「Jくんは犬派?猫派?」に、「フフフ、そうだな、どちらかと言えば、ハムスター派かな」。
(どっちも言ってないじゃないですか)。

「私は犬も好きだけど、やっぱり猫派だな」。
「ランラン」と歌いながら、でも顔はホラーのA子。
「…」と沈黙しながら、Jは思う。

「…俺は本当は犬派さ。なぜなら犬は人間の友…。犬はけなげで涙を誘うからな…」。
それを言うのに、なぜ、黒目が上に張り付くほど上目遣いになって、充血しているのか。
セリフがなければ、これが愛猫マンガだとは誰も思わない…。
す、すばらしい…。

こんな、私ごときの文章、表現力では伝えきれない。
猫好きも、そうでない方にもおススメ。
ぜひ、ご一読を!


よん&むー

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