こたつねこカフェ

癖のある俳優さん、悪役さんが大好きです。時代劇、ドラマ、映画、俳優さんのことを好きに書いています。
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大事な…。 「深夜食堂」第11話

第11話、「再び赤いウインナー」。

深夜食堂で、竜ちゃんが頼むのはいつも、赤いウインナーの炒めたもの。
店では常連の忠さんと、カメラマンの大道が高校野球の話題で盛り上がっている。
竜ちゃんは食べ終わると、帰って行く。

それと入れ違いに、小寿々さんが現れる。
あいにく、たった今、竜ちゃんが帰ったと聞いて小寿々はガッカリ。
連れてきたゲイバーの従業員に、あんたたちがちんたら歩いているからだと怒る。

従業員の一人が、「竜ちゃんって小寿々姐さんの良い人よね」と言う。
でも、「あの人どっかで見たことあるんだよね」。
小寿々姐さんは、「竜ちゃんはこの辺で一番の顔なんだから、出くわしても不思議じゃないわよ」と言う。

大道がストリップ劇場で写真を撮っていたら、客の一人が抑えられた。
その時の写真も、大道は撮った。
すると、その話をしていたら深夜食堂の戸が開いた。

大道が身を隠す。
「俺たち捕まえに?」
すると、その野口と言う刑事は「風営課じゃないもの」と笑った。

「誰か探しに?」
マスターの問いに野口は「いやどうも。お邪魔さん」と言って帰って行く。
バッティングセンターで竜がバットをふるう。

「まだやるんすか」と、ゲンが泣き言を言った。
「誰も付き合えなんて言ってねえだろう」。
「それよりお前、俺に話があるんじゃねえのか」。

ゲンがギクリとする。
「高校野球は売ってねえのかって、客から持ち掛けられたんだろう。何でそれ、断らねえんだよ」。
竜の声にはすごみがあった。

「で、でかく張ってくれるし、金払いの良い客だったんで」。
うろたえながら言い訳をするゲンを、竜は張り飛ばした。
蹴りを入れているところ、「はいはい、そこまで~」という声がした。
「今時、鉄拳制裁なんて流行んねえよ」。

野口刑事だった。
竜と野口が背中合わせに話す。
「博打がしのぎのくせに。相変わらず高校野球賭博はご法度か。律儀だねえお前も」。
「何の用すか、刑事さん」。

「…久美が入院してる。見舞いに行ってやってほしいんだ」。
「俺は今更顔出せる立場じゃないんで」。
竜はそれだけ言うと、立ち上がって出て行く。
ゲンも続く。

大道が個展を開いた。
「竜ちゃん素敵!何やっても絵になる男なのよねえ」。
小寿々が竜を撮った写真の前で、うっとりしている。

そこに来たゲイバーの従業員が、じっと見ている。
「止めてよお~、いやらしい目つきで。竜ちゃんアタシのものなんだから」。
「そうじゃないのよ。小寿々姐さん、この人はねえ」。

深夜食堂で、お茶漬けシスターズと呼ばれる3人組のOLが食べている。
「えええっ?」と一人が、素っ頓狂な声をあげた。
「あの人、元高校球児だったのお?!」

「福岡城崎高校って、野球の名門校出身で」。
竜のことだった。
プロのスカウトも、竜を見に来ていたらしい。

「福岡でナンバーワンの強打者!」
「福岡じゃなくて、九州一」と小寿々が訂正する。
「でもそのあとがやっぱりって感じ」。

「甲子園決まったのに地元のチンピラとケンカして、出場を辞退させられたんだって」。
「チームメイトも許せないだろうね~!今でも」
「かあっとなったら、後がきかずにやったのよ」。
「だからやくざに向いてるんだろうけど」。

「周りは、たまんないわよねえ」。
「マスターご馳走様。お勘定ここに置くわね」。
小寿々が立ち上がった。
「もう帰っちゃうの」と聞かれると、小寿々はキッとした。

「ケンカの理由もわかんないくせに」。
「竜ちゃん肴にして喜んでるあんたたちとは一刻も!一緒にいたくないの!」
そして「マスター、ご馳走様」とマスターには柔らかく声をかけて出て行った。
「おやすみ」。

『一日が終わり、家路へと急ぐ人々』。
『ただ、何かやり残した気がして寄り道したい日もある』。
また野口刑事が、深夜食堂にやってきた。
竜はいない。

「竜ちゃんならいないよ」。
「今日は客で来たんだ」。
マスターは、竜がいつも食べる赤いウインナーを炒める。

「は、なつかしいなあ~。これマネージャーが良くこれ作ってくれたんですよ」。
「やっぱりタコの足は6本で」。
「…俺と竜、高校の同級生なんです」。

「ひょっとして野球部?」
「あは」と笑って、野口はうなづく
「甲子園、あいつのせいでパーです」。

「あの日、マネージャーとデートしてたんです、あいつ。マネージャー、ウインナーの弁当作って」。
「そん時、運悪くチンピラに絡まれてね」。
「まあ、久美を。そのマネージャー守るために、しかたなかったんすけどね」。

「竜ちゃんのこと、恨んでないの?」とマスターが聞く。
「もう、昔のことだしね」。
「赦せなかったのは、あいつのせいで甲子園行けなかったことより、久美とデートしてたことです」。

「俺たちみんな、久美に惚れてたんだ」。
「…もうすぐ死ぬんですけどね」。
マスターが、ギョッとする。

バッティングセンター。
「両替」と竜がフロントで金を出す。
野口が来る。

「この前、言いそびれてたことがあるんだ」。
「あいつもう長くないんだ。乳がんが再発してな、手の施しようがないらしい」。
「だから今日こそは必ず、お前を見舞いにつれていく」。

夏木刑事がやってくる。
「それでもお前が拒否するんだったら」。
夏木刑事が手をあげる。

その手とゲンの手錠が、つながっていた。
「さっきこいつを公務執行妨害で、しょっ引いた。叩けば埃の出る体。当分、ぶち込まれることになるぞ」。
竜は黙っていた。

「どうぞ」。
それだけ言うと、出て行く。
唖然としたのはゲンだった。
竜が、タクシーに乗っている。

店の向かいにあるお稲荷さんに、マスターが油揚げをお供えし、手をたたく。
「意外と信心深いんだな」。
竜だった。
「お稲荷さんだからね。寄って行くかい?」

マスターが、竜にビールを注ぐ。
「知りたいか」。
「何が」。

「俺がなぜ、赤いウインナーを頼むのか」。
「関心ないね」。
「それより、同級生の見舞いに行ってやりなよ」。

「刑事さんがやってきてね、こぼしてたよ」。
「今更どの面して行けるんだよ。相手は死ぬんだぞ」。
「死んでく人間に何言ってやれる」。

「何も言えないよ。けどな竜ちゃん、あんたが会う会わないを決めるんじゃない」。
「あんたに会いたがってる相手が決めるんだよ」。
「おせっかいな野郎だな」。

病室で、堅気のスーツを着た竜がいた。
野口が「彼、新宿の区役所に勤めてるんですよ。僕と同じ公務員。地方公務員」と竜を紹介した。
「突然お邪魔して申し訳ありません」。
竜は頭を下げた。

だがそれは、どう見ても公務員のあいさつではなかった。
しかし、挨拶された男性は気にする風もなかった。
「こちらこそ。わざわざ来ていただいて。こいつも」。

病室の奥の方を指して、「剣崎さんに会えるのを楽しみにしていたんですよ」。
男性は、久美の夫だった。
「じゃあ、俺、仕事に戻るから」。
「行ってらっしゃい」。

奥から、女性の声がした。
夫は出て行った。
「大丈夫?」
そう言って、野口刑事が入って行く。

久美が、ベッドから身を起こしている。
こちらを見て、ニコッと笑った。
「竜ちゃん。立派になったとね」。

「こいつが新宿ばし切っとる、大物じゃけえ」と野口が言う。
「新宿で夜中から朝までやる食堂があるったい。そこでこいつ、タコの形した赤いウインナーばっかり食いようよ。女々しか男やろう!」
野口の言葉に久美が言う。
「…うれしか」。

「わああ~」と、野口が言う。
胸元のポケットに手を入れ「電話入っておる」と言った。
「あいたたたあ、本庁から電話入っとる」と言って腰を浮かし出て行く。

ふっと、竜が笑った。
「やっと笑ってくれたね」と久美が言った。
「まだ、昔のこと気にしとった?つまらないこと、引きずって」。
「なんも、気にしとらんばい」。

だが久美は、気にしてるから見舞いも断ったんだろうと言った。
「ばかやねえ。もう少し大人になっとると思っとった」。
「…変わらんね、竜ちゃん。よくそんな子供っぽい性格で、やくざの世界でやってこれたね」。

竜は黙っていた。
「竜ちゃんが学校辞めて、おらんなってから他のクラスの子とか、先生たちから時々、嫌がらせされた」。
「しかたなかよねえ…」。

「でも、私は全然、竜ちゃんも私も悪いと思っていない。今でもその気持ちは変わらんとよ」。
久美が遠い目をした。
「あの時、野口君だけは私をかばってくれたとよ」。

「野口君ね、自分のことを、竜ちゃんだと思って付き合ってくれって、鳴きながら私に告白してくれたの」。
「でも私、断ったんだ」。
「その頃、私、竜ちゃんと結婚したいくらい、好きやったけん…」。

久美の顔が、ほんの少し、泣き顔になる。
竜は黙っていた。
野口が、病室のドアの外で立っている。
「こんちは」。

向こうから、野球のユニフォームを着た少年がやってきて、野口に挨拶した。
久美の息子だった。
「おお、今お母さんの大事な友達が来ているからもう少し待ってな」。
「ああ、野球部の人?」

「そう!でも野球の才能はからっきしで、スター選手だった俺の周りをうろちょろしてた奴!」
そう言うと、野口は「あのさ、暇だったら少し付き合ってよ」と言った。
「野口さん、仕事しなくて大丈夫?」
「世の中には、仕事より大事なことがあるんだよ。行こう」。

病室では久美が竜に話しかけていた。
「結婚してこっちに住む前に一度だけ、竜ちゃん探しに東京に出てきたことがあったと」。
「原宿のホコ天行ったり、渋谷のセンター街行ったり、いろんなとこ行ったけど、見つからんかった」。

「当たり前よね。自分でも見つからん思うちょったし」。
「それでお腹すいて、生まれて初めて牛丼食べたら、めちゃくちゃおいしくて、そのまま最終の新幹線乗って帰ったと」。
「じゃけん、またこうやって会えるなんて全然思ってなかった」。

「…」。
久美がまた、遠い目をした。
そして悲しそうに言った。
「あの日、私が竜ちゃんデートに誘わなかったら、どうなってたんだろ?」

「つまらんこと言うな。食らわすぞ」。
視線を落とす久美。
「今度、私もウインナー食べにそのお店連れてってよ」。
「いつでも、よかばい」。

「来てくれてありがとうね」。
「また来るけん」。
竜の言葉に久美が笑顔になる。

「うん」。
久美がふとんの上に、手を伸ばす。
竜がそっと、その手に触れる。

青い空。
久美の息子と、キャッチボールする野口。
ボールを受けそこない、取りに行く。
しかし、戻ってこない。

野口がうつむいた。
そのまま、フェンスの前に座り込む。
電車が線路を走っていく。

フェンスをつかみ、野口が崩れ落ちるように座り込む。
うつむいたまま。
久美の息子が、それを見ている。

タクシーに乗って、久美が来る。
車いすを引くのは竜。
付き添う野口。

ゲンが、深夜食堂の前にいる。
車いすが通れるよう、段差をなくすためにゲンはスロープを用意する。
野口が、久美の前に来て引っ張り、竜が押す。
久美が店に、入って行く。

ゲンは外で待つ。
ちらりと、店をのぞく。
そして、外に座る。

赤いウインナーが、置かれる。
隣には、おきよめ塩がある…。
黒いネクタイの野口と竜。
マスターが2人に、ビールを注ぐ。

そして、奥に引っ込む。
竜も野口も語らない。
竜が先に、野口が遅れてビールのコップを持つ。
目の高さに掲げ、黙って飲む。




1話で印象的だった、竜ちゃんとギャップがありすぎる赤いウインナーの関係。
刺された竜ちゃんを、小寿々さんが見舞いに行く。
小寿々さんに赤いウインナーの思い出を聞かれて、ハッとした表情になる。

そしてサングラスをかける。
表情を知られまいとしたんでしょうね。
誰にでも知られたくない、大切な思い出ってあるものねと小寿々さんが察する。

竜ちゃんは、九州一の強打者でスカウトも見に来ていた高校球児だった。
しかし、街のチンピラとケンカして、その結果、学校は、出場辞退させられてしまったのだった。
スキャンダラスな過去に、いかにもと納得するお茶漬けシスターズ。

小寿々さんはさすが。
「理由もわからないくせに!」
「竜ちゃん肴にしてる」とキッパリ言う。

そして、今でも竜ちゃんは高校野球にこだわりを持っている。
やっぱり、小寿々さんは竜ちゃんが本当に好きなんですね。
いろんなことをわかってる。

野口も、竜ちゃんが高校野球に思いを残してるのを知っている。
だから久美に会わせたい。
あっさり、「どうぞ」と言われて唖然とするゲンがおかしい。
唖然とする野口もおかしい。

でも竜ちゃん、その後で、深夜食堂に行く。
深夜食堂は、竜ちゃんにとってただの食堂じゃないから。
マスター相手に話して、決心が付いた。

竜ちゃん、野口に連れられて久美のお見舞いに来たけど、野口の紹介も、よりによって公務員っておかしい。
普通のスーツが浮いている。
体になじんでない感じが、すごくうまい。

お辞儀も明らかに、堅気じゃない。
この明らかに「違う」感が、うまい。
野口がちょっと、うろたえるのがおかしい。

竜ちゃんの松重豊さんと、野口の光石研さん。
2人とも、福岡出身なんですね。
故郷の言葉で話す2人が、素のよう。
それでいて、ちゃんと世界作っている。

久美は、安田成美さん。
野口のスター選手だった俺の周りでうろちょろしていた、という言葉で、真相は逆だったことがわかる。
マネージャーにみんな惚れていて、でもマネージャーは竜ちゃんが好きで。
その情景も目に浮かぶ。

デートに誘ったのは、久美の方だった。
そして事件は起きた。
久美もつらかったと思う。
竜ちゃんも、つらかったと思う。

他のクラスの子、先生方。
嫌がらせされたって、ちょっとの嫌がらせじゃなかったはず。
野口は竜と久美を2人きりにさせるために、部屋を出て行ってくれた。

そして、息子とキャッチボールして、久美が母親に戻るのを先に延ばしてくれた。
きっと、事件の後も野口だけが味方だったんだろうと思う。
それでも久美は、竜ちゃんだけしか見ていなかったんだと思う。

キャッチボールで、泣き崩れる野口。
その後ろ姿が哀しい。
光石さん、うまい。

高校を辞めた後、竜ちゃんがどうやって生きていったのか。
チンピラとケンカした竜が、なぜ、やくざになったのか。
どうして野口は刑事になったのか。
2人の性格が、経緯が見える気がする。

でも、久美と話してる時の竜の顔は、やくざの顔じゃない。
野口の顔も、刑事の顔じゃない。
あの頃、高校生に戻っているように見える。
松重さんと光石の演技が哀しく、切ない。

竜と久美の会話以降、穏やかな女性ヴォーカルの曲だけが流れている。
久美を連れて来る竜と野口。
まるで、高校生の時のように。
泣けます。

赤いウインナーが置かれる。
久美が食べるのかと思ったら、隣にあるのは「おきよめ塩」だった。
黒いネクタイの竜と野口。
無言。

うまい俳優さんは、その人物が実在してるように感じさせる。
その人物の描かれてない部分まで、想像させる。
見ているこちらに、「夢を見せる」。

竜ちゃんも野口も小寿々さんも、まさにこちらに夢を見せている。
こういう人いるな。
きっとこんな行動するんだろう。
こういうことを経験して来てるんだろうな。

その人物に興味を持たせる。
ドラマ「深夜食堂」は、夢を見せる。
うまい俳優さんが揃って、夢を見せるドラマ。


暖かくて、でもどうしても付きまとう寂しさ。
まっすぐ帰りたくない時、行きたくなる場所。
深夜食堂があって、良かった…。


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