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中村様。ありがとう…。 「新・必殺仕置人」第6話

「必殺仕事人2018」が放送されましたね。
熱があったので、見てないんですけど。
これから録画を見ようと思います


第6話、「偽善無用」。

鳴海屋の手代・佐吉は、評判の働き者。
奉行所から奉公人の鑑として表彰される直前まで、働いていた。
「あんまりでございます!」

佐吉の表彰に異を唱えるのは、おちかという、鉄の長屋で暮らす偏屈ばあさんだった。
「佐吉のような悪党が評定をいただくなんて、持ってのほか!」
「理不尽でございます」。

聞いていた同心たちが「おちか、言葉が過ぎるぞ」と注意した。
だがおちかは「合点がいきません。佐吉は盗人の片割れなんでございます」と言い張る。
「どうかもう一度、もう一度、お取り調べを」。

「ああ、わかった、わかった。その話ならもう、何十遍となく、聞かされた」。
「佐吉を獄門に送るまではあたしは、何遍だって申し上げます」。
「確かな証拠もなしに無実の者を盗人呼ばわりするとは、不届きだぞ」。

そこに主水が通りかかった。
おちかは主水を見ると「中村様、お願いでございます中村様」と声を張り上げた。
「中村、ご指名だぞ。行ってやれよ」。

同僚たちに促されて主水は「わかりました」と仕方なく、おちかの所に向かった。
「何が忠義者だい。世間の目はごまかしても、あたしの目はごまかせやしないんだから」。
「おちか。何遍、足を運んだって同じことなんだ。いい加減諦めたらどうなんだ」。

「あいつの化けの皮を剥ぐまでは、死んでもあきらめませんよ」。
追い出されたおちかは、ついに主水に向かって「中村様、中村様。私はもう金輪際、お上なんかあてにしませんよ!」と言い放った。
「どんな手立てを使っても、きっと佐吉に天罰を下して見せますよ!」

主水が家に帰ると、せんが大層、怒っていた。
犬がお隣の新しい履物をボロボロにしたと、怒鳴った。
「飼い主に似て、ぐうたら!」

りつもだいたい、主水の稼ぎで犬なんか飼えるのかと言う。
そして、犬を追い出すか、婿殿が出て行くかと迫った。
主水は平謝りするしかなかった。

長屋に戻ったおちかは、道で鞠遊びしている子供を怒鳴りつける。
「こら!こんなとこで遊ぶんじゃないよ!」
道を進むと、横から鉢植えが落ちた。

「おふみさん、あんた、こんなとこに鉢植えを置くんじゃないよ!ケガしたらどうするんだよ!」
怒鳴りながら、おちかは前に進む。
「片付けておいてよ、早く!」

そして今度は、道にいっぱいになっている木くずを踏んだ。
「あっ、あああ」。
「ちょっと、おはまさんおはまさん」。

木材を前に置いた家の者を呼び、「こんなとこ散らかしちゃ困るんだよ」と木くずを蹴った。
今度は出会い頭にぶつかりそうになり、「どこ目をつけてんだよ!」と相手に怒鳴った。
そして今度は、鉄のあんまの看板に頭をぶつけた。

「あいたた、てっつぁん、何度言ったらわかるんだよ!看板吊るすなら、もっと高いところにあげとくれよ!」
怒鳴るおちかに鉄は「うるせえ、くそばばあ!ケガしたくなかったら人の軒先ウロウロすんな!」と怒鳴り返した。
「何だい、へぼあんま!開けなよ!」

おちかは鉄の家の戸に手をかけるが、開かない。
揉めていると、おちかの娘のおたよが走ってきた。
「みっともないじゃないの」。

鉄は、女といちゃついていた。
女が誘うが、鉄は用事があると言って珍しく、女を置いて出て行った。
寅の会だったのだ。
「これより、挙句を頂戴いたしまして、本日の興行を終わりたいと存じます」。

虎が短冊に句を書く。
「ご披露いたします」。
「日本橋~、鳴海のたなに佐吉かな」。
「虎、万筆」。

「今回の頼み料は1両です」。

それを聞いた仕置人たちは「1両じゃどうしようもない」と言った。
鉄が口を開けた。
途端に仕置人たち、全員が鉄を見る。

鉄は声を出せなくなった。
「ございませんか」。
もう一度、声を出そうとして鉄は押し黙る。

「ございませんね」。
鉄の顔を、隣にいる仕置人がのぞきこむ。
この件は、差し戻しとなった。
鉄が頭を抱える。

正八の地下室。
鉄が「俺なんか1両どころか、1部でも良いんだ、仕事ができりゃあな」とぼやく。
「ここまでセリフが出かかったが、お前らまた一両じゃグズグズグズグズ文句言うんだろ!」
「1両じゃね」と、おていが言う。

「ほれ、見ろ!」
主水も「5人で分けたら一人頭1部にもなりゃしねえ」と言った。
「そら見ろ、ぜいたく過ぎるんだ」。

主水は「虎もケチな仕事引き受けたな」と言った。
そして「とにかくだ、こんなとこでおめえ、豆バリバリ食って屁ぶっこいてても1文にもなりゃしねえ」と言った。
「奉行所戻るぜ」。

己代松は「で、獲物はどこの誰だ」と聞いた。
「鳴海屋の佐吉だ」。
「佐吉?」

「おうおう、佐吉って言やぁ、おちかばあさんの娘と恋仲の男か」。
「ああ、その佐吉だ」。
正八は「いいじゃねえか、誰が誰と恋仲だろうと関係ねえよ」と言って「さあ、店やんなきゃ」と戻って行った。

鉄は「女は16,7に限るな」と言うと、おていが「あたしだって別に、好きでお嫁に行かないんじゃないけどさ」と言う。
金儲けでもしなくっちゃ、と、おていも出て行った。
己代松だけは「鉄ちゃん、その佐吉って男だがな」と話しかけて来る。

不機嫌に寝転がった鉄は、己代松の問いに手をうるさそうに振る、
「もういいよ、いいよ!」
だが己代松は引き下がらない。

「なあ、念仏。たった1両で佐吉の命をやろうってのは一体、何者なんだろうな」。
「うるせえっ!」
鉄は起き上がった。

「その佐吉って男は」。
「しつっこいんだよ!早く帰って鍋でもたたいてろ!」
鉄は奥の長椅子に、移動した。

己代松はまだ、「何もんだろうな」と言っている。
鉄は奥で寝転がって、豆を食べていた。
うるさそうに、豆を投げる。

「どいつもこいつも銭、銭!そんなに銭がほしけりゃ盗人でも何でもやりやがれ!」
腹立たしそうに横を向くと、裾をめくる。
赤い襦袢を見せて、鉄は不貞腐れて横になっていた。

かんのん長屋。
おかみさんたちが井戸端で話をしている。
そこに、おちかがやってきた。

放置されている釜を見て、「まだ使えるよ」と取り上げた。
「どいておくれよ!」
おかみさんたちを押しのけ、拾った釜に水を入れる。
だが、底からは盛大に水が漏れた。

おかみさんたちが、クスクスと笑う。
「何がおかしいんだよ!」
そして、井戸端に置いてある大根をつまみあげた。
「あーあ、こんな泥だらけの大根。もしこんなかに泥が入ったらどうするの!大事な飲み水なんだよ!衛生観念がないんだから」。

そう言うと、釜を己代松のところに持って来た。
「早いとこやってね、ここで待ってるから」。
己代松が釜の底を叩き始める。

それを見ていたおちかは「感心だねえ、若いのにこんな根気の要る仕事良くやってるよ。感心だね」と珍しく人を誉めた。
「おっかさん」。
娘の声がして、おちかは笑顔になる。

だが次に、おちかの前には佐吉が現れた。
「佐吉…」。
佐吉は、おちかに頭を下げる。

「この近くまで参りましたので」。
「よくもまあ、おめおめと。お前の顔なんか見たくもないよ!」
「おっかさん!」

「盗っ人猛々しいとはお前のことだ」。
おちかは憎しみを隠さなかった。
「奉行所からご褒美をいただきましたので、これ、些少ですが」。

佐吉は紫の包みを差し出した。
「バカにしないでおくれ!」
おちかは、それをはねのけた。

地面に紫の包みが、落ちる。
「あたしたちはね、盗人に施しを受けるほど落ちぶれちゃいないんだよ!」
そして娘のおたよに、「こんな男に関わるんじゃないよ」と言って連れていく。

集まった長屋のおかみさんたちは、佐吉が拾うのを手伝った。
「ひどいばあさんだよ」。
「山城屋の頃からケチでケチで。そこ行くと佐吉さん、良くまけてくれたね、助かったよ」。

「あの嫌われ者の女将さんじゃ、山城さんがつぶれるの当たり前だよ」。
「それを佐吉さんのせいにするなんて、ひどいねえ」。
そう言って、みんな、おちかの悪口を言うのだった。

鳴海屋の主が、佐吉を呼び出して言った。
奉行所から表彰されるほどの佐吉に、いつまでも雑用をさせておくわけにはいかない。
佐吉が帳場にいてくれれば、店の信用も上がる。

安心できる。
これからは蔵に出入りするのにいちいち、主人のところまで行かなくても良いように。
佐吉に蔵のカギを預けることにしたのだ。

その夜、おちかは鉄のところであんまをされていた。
「鉄さん。あたしは悔しいよ。佐吉のような、あんな悪党が大手を振って歩いていやがって。あんな奴は死んじまえばいいんだよ」。
鉄は将棋を指しながら「穏やかじゃないね」と言う。

「あいつはね、押し込みの手引きなんだよ」。
「押し込み?だって証拠がねえんだろう。ばあさんの見当はずれじゃねえのか」。
「外れてんのはお前さんだよ、さっきからツボが外れっぱなしじゃないか!」

将棋している鉄は、片手でおちかを揉んでいた。
「そこじゃないんだよもっと右だよ、右!」
「ちゃんとやっとくれよ、このヘボあんま!」

「このババア、口の減らねえババアだな!」
鉄はおちかの上に乗って、揉み出した。
「どうだ、楽になったろ!」

「いくらだい」。
「上下3百文」。
おちかは代金を置くと、出て行く。

それを数えた鉄は「おいおい、ちょっと待て、150しかねえじゃねえか」と言った。
「下は頼んだ覚えないよ!」
おちかは鉄を突き飛ばすと、出て行く。
鉄は悪態をつきながらもおちかが出て行くと、「押し込みの手引き、か」とつぶやいた。

巳代松が、竹鉄砲を作っている。
誰かが来て、巳代松はさっと隠す。
来たのは、正八だった。
「何だおめえか」。

「またそれ、いじってんの」。
「これならもう、ふっとびやしねえぞ」。
頑丈に作った、竹鉄砲を己代松は誇らしげに見せる。

「釘が飛んでくるんじゃないか」。
「これだけしっかりしてりゃ、釘なんか飛ばねえよ」。
巳代松は、正八に、佐吉を調べてくれと依頼した。
もちろん、小銭だが銭は出した。

翌日、佐吉が出かけていく。
正八は、おていに合図を送る。
おていは佐吉を追い抜く。

街角に潜む。
店を挟み、おていは佐吉と平行に歩く。
角で待ち伏せして、佐吉にぶつかる。

「まあ、失礼」と、おていは謝った。
正八とおていは、すぐ角のそば屋に入る。
おていはみごとに、佐吉の手紙をすった。

手数料を要求するおていに「バカだな、今度は仲間のためにやるんでしょ」と正八は言う。
「でん」。
佐吉の手紙を、2人は読む。

「おっかさん。今年は夏の藪入りを待たず、近々お暇がもらえそうです」。
「江戸の土産は用意できています。佐吉」。
「おっかさんへ」。
「別にこれ、どってことねえじゃねえか。お前、これ返してこい」と正八が言う。

「お蕎麦が来てからね」。
「早く、返して来い!」
んもう、と文句言いながら、おていは出て行く。
「おじさん、お蕎麦一つで良くなったあ」と正八が店の主人に声をかける。

佐吉が懐を探る。
手紙を出そうとして、手紙がないのに気づいた。
そこにおていがやってきて、すった手紙を地面に落とした。

おていは「あの、もし、何か落としましたけど」と声をかける。
「これはどうも」。
佐吉は手紙を拾った。

佐吉は、おちかの娘のおたよに会っていた。
おちかが町の角を曲がった。
そこで、すぐに引き返して見る。

娘と佐吉がいた。
夜、仕立物の内職をしながらおちかは言った。
「おたよ。お前まだあんな奴と関わり合ってるんだね」。

「一体どういうつもりなんだい」。
母親にきつく言われたおたよは「あたし、佐吉さん好きよ」と言う。
「一緒に暮らそうと思ってるわ」。

「おたよ、あいつがどんな男かまだわからないのかい!」
「先治山は良い人よ。世間の誰もがそう言ってるわ。おっかさんだけよ、悪く言うのは!」
「お前までそんなことを言うのかい。まさか、一年前のことを、忘れたわけじゃないだろうね!」

「おとっつぁんを殺し、山城屋の寝台を根こそぎ盗んだのは佐吉の仲間なんだよ、あいつが押し込みの手引きをしたんだよ!」
「おっかさんの思い過ごしよ!お調べだって、とっくについてるわ!」
おちかはおたよの頬を張った。

「そうかい、そんなに盗人の肩を持つなら、好きなようにおし」。
「あたし、家を出て行く」。
「勝手におし!その代わり二度とこの家の敷居はまたがせないからね!」

だがおたよが出て行くと、おちかは鳴海屋へ行った。
「佐吉はどこにいるんだい!」
おたよをたぶらかしたと言うおちかに鳴海屋の主人は、おたよに家を紹介したと言った。
佐吉とおたよ、2人を一緒にさせてやろうと言う。

「佐吉も一緒なんだね」。
おちかは、おたよの家を探し当てた。
戸の前で「おたよ。おたよ」と呼びかける。

「おっかさん」。
「おたよ。お願いだから戻ってきておくれ。あんな奴と一緒にいると、ひどい目に遭うよ。お前が不幸せになるだけだ」。
「おたよ」。

おたよは、戸を開けない。
返事もしない。
「おたよ!」
「おっかさん、帰ってちょうだい。帰って!」

娘に拒絶され、フラフラとおちかは夜道を戻っていく。
ふと、見ると通りがかった店に明かりがついている。
質屋だった。

主人が金勘定をしている。
おちかがじっと、のれんの向こうからそれを見ている。
「お前さん」。
奥から声がして、主人が席を外した。

翌朝。
主水が番屋で将棋をしている下っぴきに、声をかけた。
「すまねえが、かんのん長屋まで付き合ってくれねえか」。
だが誰も将棋から手を離さない。
「ちょっと大事なところなんで」。

「おい、出かけるぞ」。
別の同心が来て、声をかけると、みんな出て行く。
「へい」。
それを見た主水が、「人間、金次第か。嫌ですねぇ」とぼやく。

主水は、かんのん長屋に行く。
みんながすっと、主水を見ると逃げていく。
主水は、おちかの家を尋ねた。

「おちか」と声をかけると、おちかはいる。
「なんだ、いたのかい」。
「本船町長の質屋で、30両盗まれた。主の申し立てによると、下手人がおめえにそっくりだってんだがな」。
おちかは憮然と前を向いたまま、「似てるはずだよ。あたしがやったんだよ」と言った。

「やっぱりおめえか!…いやにおめえ、素直だな」。
「叩きだの石抱きだの、痛い思いするよりしゃべっちまった方が得だろう」。
「で、盗んだ銭どうした」。

「使っちまったよ全部!綺麗さっぱり全部ね」。
主水は仰天した。
「深川の料亭でね、太鼓持ち3人呼んで飲めや歌えの大騒ぎ。30両なんかあっという間さ」。
「さ、しょっぴいておくれ」。

そう言うと、おちかは両手を出した。
主水が縄をつけて行く。
野次馬が集まってくる。

家の中で鋳掛をしている巳代松が、それを見て驚く。
「お、おい、八丁堀!…いや、お役人様!おちかばあさん何か」。
「質屋から30両盗みやがったんだよ」。

「なんかの間違いでは」。
だがおちかは「松さん、こんなとこで引き留めないでおくれよ、みっともないじゃないか!」と言った。
「さあ!」と主水を促し、「どいたどいた」と言いながら、おちかは歩いていく。

みんなは見ていたが、やがて散っていく。
道に立ち尽くしていた巳代松だが、走る。
飯屋のところまで走る。

「バカ。何やってんだ」。
己代松の視線の先には、鉄がいた。
鉄が女装の男に、酌をされながら食べている。

「飲めないの知ってるじゃない」。
「良いじゃないの、たまには」。
「そう?」

鉄が女装の男に、酌をした。
松は鉄の着物をつかんで、振り向かせる。
「八丁堀がよ、おちかばあさん、しょっぴきやがった」。
「ふうん」。

「質屋で30両盗んだそうだ」。
「30両。やるもんだな、あのババアも」。
「おめえ、ほんとにおちかばあさん、やったと思ってんのか」。
鉄は首をかしげた。

「もしそうだったとしても、のっぴきならねえわけがあったにちげえねえよ」。
「さ、あたし、ボツボツ出かけなきゃ」。
鉄はそう言うと、立ち上がった。

「行ってらっしゃい気をつけてね」。
「ありがとう」。
鉄がいなくなると、女装の男は「おにいさんどう?」と巳代松に近づいた。

「気持ち悪いんだおめえ」。
己代松が男の頭をはたく。
「いったいわねえ。もういやっ」。

寅の会。
「今回、依頼のあった仕事は一件。ただしこの仕事は、前回差し戻しになった分の再入札です」。
「頼み料は30両です」。

それを聞いた鉄は、ニヤリと笑った。
「29両」と声がかかる。
28両。
27両。

25両2部。
25両。
23両。
鉄の笑いが止まった。

「20両!」
一言だった。
「他にございませんね」。
「この命、20両にて落札」。

20両を前に、仕置人たちは息をのんでいた。
主水。
仕置人たちの顔を見ながら、キセルをふかしている鉄。

正八。
おてい。
頷く巳代松。

「間違いねえ。頼み人はおちかばあさんだ」。
「あのババアのやりそうなことだぜ!」
鉄は楽しそうだった。

腕組みしたままのおていが「人様のお金盗んでまで恨み晴らそうってんだもん。本物だね、この話は」と言った。
己代松は、「俺は、はなっから佐吉って野郎が気に入らなかったんだ」と言った。
主水が「がたがた言っても、始まらねえわな。どうもあのばあさんに、すまねえことしちまったなあ」と首をかしげた。

「おめえは最初からおちかばあさん、気に入らなかったんだ」と言う己代松。
「いやいや、そうじゃねえ」。
2人のやり取りに鉄が、「「何をゴチャゴチャ言ってんだ!そんなことより、仕事の段取り!」と言った。

「相手は佐吉1人なんだもん、簡単なもんじゃん。」
そう言う正八に鉄は、「へっへ、ところがそうはいかねえんだ。今度の依頼には、佐吉一味とある」と言う。
「一味?」

主水がいぶかしげな顔をする。
「ねえ、佐吉1人やりゃすむんじゃないの」。
正八の問いに鉄が「ババア、しっかりしてる。仕事料張り込んだだけ、殺しの相手、増やしてきやがった」と言った。

そして、ニヤリと笑った。
「そうか」と、主水が納得した。
「佐吉には仲間がいやがったか。佐吉はどっかで、その仲間と連絡取り合ってるはずだ」。
「いつどこで連絡を取るか、見張っていれば簡単だ」。

「おてい。あのよ」と正八が切り出した。
「佐吉がおっかさんに出した手紙、あれ、仲間呼び寄せる符牒じゃねえのかな」。
「なんて書いてあった」。

おていは思い出した。
「今年は、藪入りを待たずに…」。
「江戸の土産は用意できてる」。

「それはどうもくせえな。江戸の土産ってのは鳴海屋のことじゃねえのか」と主水が言う。
「段取りはできてるってことは」。
「正八、おめえ、宛先覚えてるか」。
「うん、八王子、八木宿の、でん」。

「そんな女がいるかどうか、ひとっ飛び確かめてくれよ」。
「良いよ。八王子ならひとっ飛び」。
正八は走る。

主水が家の帰ると、せんとりつはご機嫌だった。
待遇が良い。
「今日は何かあったんですか」。

「あなた、お手柄を立てたんですってね」。
おちかのことだ。
せんが「私と同じぐらいの年だそうですね」と言う。

それを聞いた主水が、せんに要らない着物を出してくれと言う。
「この寒さですからなあ、牢屋の中はつらいと思うんですよ」。
「婿殿!そのような優しい心遣い、わたくしには一度も」と、せんが膨れた。

「私は母上を年寄りだとは思ってはおりませんよ。そのように若くてお美しい」。
りつが噴出した。
「何がおかしい」。

「まあ…」。
せんの機嫌が一層、良くなった。
「冷えますからな。後片付けは私たちでやりますから」。
せんはご機嫌で去って行った。

主水は、「早ええとこ、寝ちまおう」とつぶやく。
しかし、りつが「あなた、わたくし、母上には内緒で山芋を用意してありますのよ。精を出してくださいね」と言う。
主水は顔をしかめた。

八王子に到着した正八が見たのは、家から出てくる3人の男だった。
行く先々で、正八は見張る。
佐吉が鳴海屋がら出てくる。

主水が人足に「次の船はいつ出る」と聞いた。
「明日の昼頃です」。
すると、仕事は今夜だ。

正八が戻った。
おていがすれちがいざま、主水に手紙を手渡す。
佐吉の家に、あの3人がいる。
おたよがお茶を出すと、佐吉は故郷の人だと紹介した。

「すまないが、酒を買ってきてくれないか」。
「はい」。
おたよが徳利を手にすると、客の荷物が落ちた。

杖かと思ったら、その先に鎖分銅がついている。
おたよは不思議そうに、それを見る。
笠をどかすと、同じようなものが現れた。

おたよは出て行ったふりをして、そっと戻ってきた。
庭に回る。
「おめえが所帯を構えるとは思わなかったな」という声が聞こえる。

「しょうがなかったんだ」。
佐吉の声は打って変わった、怖い声だった。
「女が家飛び出して来ちまったんで、否応なく」。
「情が移ったんじゃねえだろうな」。

「冗談じゃねえや」。
「あの女は世間の目をくらますための隠れ蓑よ」。
おたよの顔色が変わる。

「もう用はねえだろう。足手まといになるから、始末しちまいな」。
「ああ」。
「岡場所に売り飛ばしちまえ!」
おたよは走り出した。

牢の中。
おちかが怒鳴っている。
「ちょっと!お茶おくれよ!こんなしょっぱいもんばっかり食わせて!」
「食べられやしないじゃないか!お茶おくれよ!」

「おちか!いい加減にしろよ」と主水がやってくる。
「茶なんか出すわけねえだろう。うるさくて仕事にならねえ」。
そして声を潜めて、「どうだ、寒くねえか」と聞いた。

「ここは結構なとこだよ。三度三度、飯は食わせてくれるしね。だけどね。あたしもあとわずかの命なんだ。尾頭付きでも出してもらいたいね」。
おちかは、椀をすすりながら言う。
カビが生えちまうと、辺りを見回しながら言う。

「お天道様でも拝ませてもらいたいね。カビが生えたまま死ぬの嫌だからね」。
主水が「3日経ったらお天道様、拝ませてやるぜ」と言った。
「ふうん、お仕置きはいつに決まったんだい」。

「おめえは1年の遠島だ」。
「遠島?」
おちかは、不思議な顔をした。
主水を見る。

その時、同心に連れられたおたよが来る。
「その娘がどうかしましたか」。
「この娘が今し方、自訴してきたんだ」。

おたよは地面に座ると「私です。30両盗んだのは私です」と言った。
「おっかさんじゃありません。どうか、私をお仕置きしてください」。
「嘘だよ!」

おたよが叫んだ。
「その子は嘘ついてるんだよ!」
おちかは格子から、顔を出して、叫ぶ。

「おっかさん!」
駆け寄るおたよ。
「気安く呼ばないでおくれよ、あたしはお前なんか知るもんか!」

そして主水を見ると必死の目つきをして言う。
「中村さま、この娘と私とは親でも子でもありませんよね。赤の他人ですよね?ね?ね?」
今にもすがりつきそうな目つきで、主水に懇願するような口調でおちかは聞く。

「中村さん!どういうことなんですか」。
おちかがごくりと、息をのむ。
「あたしもおちかに娘がいるなんてのは、聞いたことないですな。こりゃ、なんかの間違いじゃないですかな」。
主水がとぼけた口調で答える。

「かな、じゃ困りますよ中村さん、あなたの尻ぬぐいは嫌ですからね」。
「責任持ってくれますね?」
同僚の問いに主水が「わかったわかった」と返事をする。

「はい。じゃお願いしますよ」。
そう言うと、「おっかさあん」叫ぶおたよを連れて出て行った。
主水が去ろうとする。

「中村様」。
おちかが、静かな声で主水に呼びかける。
「ん?」

主水が振り向く。
「ありがとう…」。
おちかが真っ直ぐに主水を見て、言う。

「何のことだ?」
主水は背を向ける
「私は知りませんよ」。

夜。
火の用心が街を行く。
鳴海屋。
佐吉がそっと庭に出る。

蔵の前を辺りをうかがいながら、やってくる。
木戸に走る。
辺りを伺いながら、木戸を開けた。
路地を見渡す。

すっと用心深く、中に入る。
3人が黒装束に身を固め、入ってくる。
正八が屋根の上から道にいる鉄に、合図する。

鉄が木戸から、中に入る。
佐吉が3人に、鍵を渡す。
3人が蔵に入る。

鉄が指を鳴らす。
佐吉が蔵の戸とを閉め、帰って来る。
突然、佐吉の目の前に鉄が現れる。

佐吉は驚くが、鉄が手のひらで佐吉の顔を覆う。
そのまま、鉄は佐吉をグイグイと押していく。
もがく佐吉。

鉄が佐吉を、柱に背に押しつける。
手を振り上げる。
佐吉の胸に鉄の手が、めり込む。

ボキボキ。
あばらが折れる。
鉄が正八を見る。
手を振る。

正八が呼子を取り出し、ピーと拭いた。
その音で、蔵の中の3人は慌てた。
すぐに蔵を出る。

倒れている佐吉に気付き「7佐吉、佐吉」と揺り起こす。
だが佐吉は、息をしていない。
3人は路地に出る。
路地の向こうから現れたのは主水だった。

同心を見て、2人が襲いかかる。
あっさり、最初の1人に二太刀。
次に襲いかかってきた2人目にも、
黙って主水は去って行く。

逃げた1人は船を使った。
それを巳代松が、見ている。
船をつないでいた縄を踏みつける。
引き寄せる。

船が戻ってくる。
己代松は縄を、体に巻く。
船が戻ってくる。

気がついた盗賊が、分銅を振り回す。
三間半。
三間。

二間半。
己代松が心の中で、距離を数える。
「えいっ!」
盗賊が投げた分銅が提灯に辺り、明かりが消える。

二間!
竹鉄砲が火を噴く。
「うわあああ」。
盗賊が倒れる。

巳代松が反動で、背後の壁に押しつけられる。
銃身は吹っ飛んでいた。
横を見ると、釘が刺さっている。
釘を抜き、「ちいっ。だめだこりゃ!」と己代松は吐き捨てた。

長屋。
巳代松が仕事に行く。
「仕立物、いたします」の看板が出ている。

部屋の中に、おたよがいる。
仕立物をしている。
それを見た巳代松が、去って行く。

雪のうっすら積もる中。
島へ行く船が出る。
囚人たちが一列になって、歩いている。

主水を見たおちかが、列を外れてくる。
「おう」と呼び止める役人に、主水が「良いんだ」と言う。
「中村様」。

「佐吉は死んだぞ」。
「ほんとですか」。
おちかの顔色が変わる。

「うん。心の臓の発作だそうだ」。
それを聞いたおちかは「天罰ですよ…」と言った。
「島の暮らしは、辛れえから、体に気を付けてな」。

「たいていのことじゃ、あたしはくたばりませんよ」。
おちかはわずかに、微笑んだように見えた。
「中村様。娘のこと、よろしくお願いします」。

おちかは深々と頭を下げる。
「うん」と主水は言う。
「丸尾さん。済みました」と役人に声をかける。

おちかが船に乗る。
その前にもう一度、主水に頭を下げる。
咳払いしながら、主水はそれを見送る。



鉄が落札に失敗するところが、楽しい。
異様に安い値で落札する鉄とはいえ、1両で落札するのは周りが許さなかった。
さすがの鉄も周りの圧力に押され、声が出ない。

何事にも縛られないはずの鉄だから、そんな自分も嫌だったんでしょうね。
仕置人たちに当たり散らしてる。
己代松だけがこだわっていて、それを追い払う鉄は本当にイライラしてる。

しまいには着物の裾を上げて、襦袢見せて寝ちゃってる。
でもあれは、あそこで声を出せなかった自分にイラついてたんだと思います。
そんなに金がほしいなら、盗人でもやれ!…というわけで、今回の標的は盗人です。

鉄の描写では、女装の男とご飯を食べているのも笑えます。
ちゃんと、口調が女っぽくなってる。
「良いじゃない、たまには」。
「ありがとう」の言い方も、とっても女っぽい。

正八は佐吉に怪しいところはないと報告を書き、手数料を多めに請求している。
おていの食べなかったそばまで、計上している。
ちゃっかりしているけど、仕置の下調べとなるとフットワーク軽く、八王子まで走る。

おちかは、清川虹子さん。
奉行所でも長屋でも、うるさがられている。
鉄ともケンカしてる。
それでもちゃんと治療してもらって、話してる。

元は大店の山城屋の女将さんで、その頃からケチで口うるさかったようです。
自分のところで手代だった佐吉を、押し込みの引き込み役と見抜いている。
何か目撃してたんでしょうか。
それとも、胡散臭いと思う何かがあったんでしょうか。

みんなが佐吉を信頼している中、なぜおちかだけが佐吉の正体に気付いたのか。
気になります。
結局、間違っていなかったわけですから。

嫌なばあさんと思われているけど、この人、己代松は気に入っている。
若いのに根気のいる仕事を良くやってると言う。
だから見る目はあるんだと思います。

主水のことも、ダメ同心とは思っていない。
己代松は、おちかに対して思い入れがある。
鉄は、おちかに対して冷静。

それでも盗みまでして作った仕置料に込められた恨みを、ちゃんと感じてくれてる。
ニヤリと笑い、そして真顔になって落札。
これが鉄の、おちかへの誠意。

おちかが盗んだ金を前にした、仕置人たちの顔。
文字通り、人生を掛けた金を前に、息をのむしかない。
込められた思いを、晴らしてやるしかない。

後は何と言っても、主水とおちかの会話でしょう。
牢のおちかを、うるさがっていながらも気に掛ける。
そして、おたよが自訴して来た時の主水。

おたよがすがりつくような目で、懇願する口調で主水に同意を求める。
「ね、ね」と。
それに対して主水が、「おちかに娘はいない」と言ってやる。

この時からおちかの態度が変わる。
「ありが、とう」と力を込めた言葉。
今回の言葉で印象的なのは、「ありがとう」。

おちかの「ありがとう」は、重い。
鉄の「ありがとう」は、気持ちが軽くなり、笑ってしまえる。
同じ文字でも、こんなにも違う。

実は、おちかの遠島にも主水が尽力したんじゃないでしょうか。
おちかも首が飛ぶと思っている。
そこに遠島という言葉。
おちかも、すごく意外そう。

描写はされていないんですが、おそらく、主水が質屋に話を付けたんですね。
こう見えても主水は、いろんなお店の事情を知っているから。
あの質屋が主水の申し出に「はい」としか言えないことを、突きつけたのでは。
そしておちかに対して、そんなに罪を重くしないように言わせたのでは。

最後にもおちかは主水を見つけて、やってくる。
「佐吉は死んだぞ」。
その時のおちか。

仕置人は、引き受けたら本当にやってくれる…。
思い残すことはないという、晴れ晴れとした表情。
主水の有能さと人情を知ったおちかは、娘のことをよろしく頼むと頭を下げる。

私も、主水がいるから大丈夫だと思いますよ。
きっと、おたよは大丈夫。
己代松と長屋の人に見守られ、おちかを待つに違いない。

お約束の人情劇でも、とても気持ちが苦く、切なく、そして心地良い。
この6話も、大好きなエピソードです。
佐吉の豹変ぶりも、素晴らしい。
清川虹子さんの演技も素晴らしい。

藤田さんの主水も良いけど、鉄の表情もまた、良い。
仕置が成立しなくて、不貞腐れる鉄。
前回落札できなかった仕置が、もう一度来て、おちかばあさんだと確信した時のニヤリ笑い。
次の瞬間、目つきが変わる。

この時、鉄は何を考えたのか。
自分が落札する。
そう決心した。
決心をさせたものは、何か。

おちかへ、優しい言葉、労りの言葉と態度は何一つなかった鉄。
だけど、おちかの仕置を遂行してやることが何よりのおちかが望んだことだから。
落札してみんなの前に金を並べた鉄は、実に楽しそう。
それは前回逃した仕置をやっと落札できた喜びも、もちろん入っている。

鉄らしさ。
山崎努さんが作り上げた鉄。
俳優としての力量。
他の人では出せない味。


ラストシーン、主水に頭を下げて船に乗って行くおちか。
見つめる主水は、咳をひとつ、する。
何でしょうねえ、それだけの仕草なのに、哀愁がある。
切なそうにも、すまなさそうにも、哀しそうにも見える。

こうなる前に助けてやれなかった自分を、責めているようにも見える。
それこそが、中村主水。
俳優・藤田まことさんの力量。
藤田さんの主水が、愛される理由なのではないかと思いました。



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Comment

この回は清川虹子さんの演技が全て
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脇役で出る人も光らせる脚本と演じる人の実力が共に頂点だったんでしょうね。DVD見直してそう思いました。
また「1両盗んで首が飛ぶ」のに遠島で済む→画面外での主水の行動を想像させる辺りも、考えられた脚本と演技力あってのモノなんでしょうね。
(「画面外の動き」を映像化したり、喋らせたりしちゃうから、一生懸命ドラマを見なくなっちゃうんでしょうね、残念ながら。)
2018年01月12日(Fri) 13:21
地味JAM尊 さん
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>地味JAM尊さん

こんばんは。
コメントありがとうございます。

>脇役で出る人も光らせる脚本と演じる人の実力が共に頂点だったんでしょうね。DVD見直してそう思いました。

そう思います!
スタッフの実験的な試みと、円熟さも良いバランスでしたね。

>また「1両盗んで首が飛ぶ」のに遠島で済む→画面外での主水の行動を想像させる辺りも、考えられた脚本と演技力あってのモノなんでしょうね。
>(「画面外の動き」を映像化したり、喋らせたりしちゃうから、一生懸命ドラマを見なくなっちゃうんでしょうね、残念ながら。)

「私は知りませんよ」。
あの一言には、いろんな意味があるんですよねえ。
想像させてくれるところがまた、楽しい。
言えてますねえ、全部こうだ!って見せてくれるのは親切なんですけど。

それ以外の答えもあり。
そういうのがこのシリーズとか、見ていて楽しいんです。
登場人物に魅力あってのことですけど。

清川虹子さん、味のある女優さんでしたね。


コメントありがとうございました。
2018年01月13日(Sat) 02:30
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このコメントは管理者の承認待ちです
2018年01月20日(Sat) 23:03
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このコメントは管理者の承認待ちです
2018年01月28日(Sun) 18:07












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