こたつねこカフェ

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神がいなければ地獄もない 「1922」

一人の男が、レターペーパーに向かって告白文を書いている。
1930年。
男の名はジェイムズ。
告白は、1922年に妻を殺害したことだった…。

ジェイムズは、80エーカーの土地で農業を営んでいた。
1922年の当時、男が誇りにしていたのは自分の土地。
そして自分の息子だ。
妻は裁縫が好きだった。

そして、農家の暮らしに興味がなかった。
妻が父親の、100エーカーの土地を相続した。
すると妻は、土地を売って街へ出て行きたがった。

オマハの街、セントルイスでも良い。
そこに引っ越して、ヘンリーも学校に通わせる。
ジェイムズは「街はバカが澄むところだ」と言う。
ヘンリーも街には住みたくないと言う。

ちょうど、隣家の娘、隣家と言っても車を走らせなくては行けない距離だ。
そこの娘のシャナとヘンリーは、付き合い始めていたのだ。
妻は言った。

父親の土地を残してくなんて、ありえない。
ならば俺が買い取ると、ジェイムズは言った。
「買えると思ってるわけ?」
「8年、10年かけて支払う」。

妻は鼻で笑った。
「パディントン社なら、一気に払ってくれる」。
父親の土地と一緒に、自分たちの土地も売る。

鉄道に近い土地を欲しがっているパディントン社なら、高く買ってくれるだろう。
そうしたらお金は半分、分ける。
だから離婚しろと妻は言った。

もちろん、まだ14歳のヘンリーは自分が引き取る。
ジェイムズは理不尽だと怒った。
すると妻は「人生はたいてい、理不尽なものよ。特にここではね!」と怒鳴った。

最新式の車が、家の前に止まる。
そこから、帽子にワンピース姿で降りて来る妻。
ちらりとジェイムズを見て、声もかけずに家に入る。
法廷で争えば、いいのかもしれない。

妻は言う。
「あなたが争うのは、パディントン社よ!」
法廷で争う。
だが何かが、ジェイムズを引き留めた。

田舎でのゴシップ騒ぎを恐れたのではない。
それは妻への憎しみだった。
どんな人間でも、心の中にもう一人の誰がいる。
自分の中の見知らぬ誰かが、しきりに持ち掛けて来る。

井戸を見つめる、ジェイムズ。
ついに、ジェイムズは決心した。
妻を殺す…。

そしてジェイムズはヘンリーの、シャナへの恋心を利用した。
ここを離れたくないヘンリーの…。
ジェイムズは、妻を殺害する計画をヘンリーに話す。

そして妻に、土地を売ることに同意すると伝えた。
すると妻は飛びあがって、喜んだ。
私の夫が、家族が帰って来たと言った。
妻はお祝いだと言って、その夜、酔った。

酔って、ベッドに入った。
ジェイムズはを殺害する時、ヘンリーに押さえつけさせた。
部屋中に、血が飛び散った。

妻の遺体は、井戸に放り込まれた。
身の回りの物を詰めたトランクも一緒に、放り込もうとした。
そのため翌日、井戸の蓋を開けた。

中を見ると、すでに妻の体にネズミがたくさんいた。
ふと見ると、妻の口から何か、ひものようなものが出ていた。
それは紐ではなかった。
ネズミの尻尾だった。

妻の口の中に、ネズミが入り込んでいる。
体中にいるはずだった。
ジェイムズは気分が悪くなり、ネズミに失せろ!と言って石を投げた。
そして、井戸の蓋を閉めた。

妻は愛想をつかし、金を持って出て行ったとジェイムズは人に話した。
パディントン社の弁護士は、怪しんだが妻が見つからないことにはどうにもならない。
井戸を封鎖しなければならない。
怪しまれないよう、ジェイムズは牛を井戸の蓋の上に誘導した。

牛が井戸に落ちたからと言って、井戸を封鎖した。
ある夜、牛小屋で牛が鳴いていた。
ジェイムズが行くと、ネズミが牛の乳をかじっていた。

銃で追い払おうとすると、ネズミは排水溝に逃げた。
その先は、井戸につながっているはずだ。
ジェイムズにとって、ネズミは殺した妻とつながるものだった。

妻がネズミを操って、自分に復讐している。
ネズミとともに、妻がやってくる。
そんな妄想が、ジェイムズを支配し始める。

ヘンリーは落ち込むことが多くなり、シャナは心配した。
母親を殺害したことを忘れるように、彼はシャナにのめり込んだ。
そしてついに、シャナが妊娠した。

シャナの両親は、シャナを修道院に入れ、生まれた子供を養子に出すと言った。
ヘンリーはシャナを連れて、駆け落ちした。
ジェイムズは一人になった。

部屋には排水溝から入り込んだ、ネズミがうろうろし始めた。
ジェイムズはネズミを踏みつける。
その飛び散った血を拭いていると、妻を殺害した夜を思い出す。
ジェイムズも次第に、おかしくなっていく。

そしてある夜、ネズミに手をかじられた。
地下室に向かうジェイムズは、階段で足を踏み外した。
下まで落ちて、動けないジェイムズの元に誰かが階段を下りて近づく。
ネズミが階段を下りて来る。

足が見える。
ネズミを従えた、血まみれの妻だった。
妻はジェイムズの耳元でささやく。
あの子が、どうしているか教えてあげよう。

駆け落ちしたヘンリーだが、妊娠したシャナを抱えて、暮らして行けるはずもない。
ヘンリーは手っ取り早く金を手に入れるため、強盗となった。
銀行でも商店でも、少年と思って油断した相手に銃を向け、金をひったくって逃げた。
しかしある日、商店の主人は逃げるヘンリーを追いかけて来て、銃を発射した。

弾丸はシャナに命中した。
2人が隠れている廃屋で、シャナは命を落とした。
絶望したヘンリーは、銃で自分を撃ち抜いた。

果たして、妻がささやいた通りにヘンリーは見つかった。
少年強盗について、マスメディアは派手に報道した。
ジェイムズは、ネズミにかじられた傷がもとで、片方の手を失った。

その時、ジェイムズは妻の遺体が見つかったことを聞いた。
しかし、世間は金を持って出た妻が、強盗に遭って殺害されたと思った。
強盗が隠した遺体が、今になって発見されたのだと。
ヘンリーの遺体を引き取りに行くが、それはネズミが食い荒らしていた。

シャナの両親を訪ねると、母親は傷心のあまり、出て行ってしまっていた。
友達だった隣人は、ジェイムズに言う。
今年の初めには、俺たちには子供がいた。

だが今はいない。
もう二度と、来ないでくれ。
ヘンリーはボロボロの家を修理もできず、部屋に雪が降っていた。

牛と、部屋で暮らしているというじゃないか。
おかしくなったと、みんな言っているぞ。
雪の中、ジェイムズが家に戻ると一緒に住んでいいる牛がもがいていた。
どうにもできず、牛を銃で撃って安楽死させた。

結局、ジェイムズは土地を売った。
妻が売ろうと言った値よりも、ずっとずっと安く買い叩かれた。
破格の安値だった。

そして大恐慌が来た。
シャナの父親も、ジェイムズの周りの農家も、銀行に土地を取られた。
ジェイムズは街に出て働いたが、「奴ら」は追ってきた。

土地を売った金は、2年で尽きてしまった。
酒を飲んでいない時は、ヘンリーの生きた軌跡をたどろうと、ジェイムズはヘンリーが強盗した先を回る。
お客と思った従業員の愛想の良い笑顔は、嫌悪感に変わる。

家出する前の、ヘンリーの言葉が蘇る。
『他に方法はあった』。
『ないはずはない』。

だが1922年、ジェイムズの中に潜んでいた男はこの方法を選んだ。
ヘンリーがジェイムズの前に現れた。
「2度と神に祈れない」。
「ひざまずいたら、神に殺される気がする」。

「神なんていなければいい」。
「人殺しはみんな、そう思うはずだ」。
「神がいなければ、地獄もない」。

ヘンリーはそう言った。
ジェイムズは語り掛けた。
母さんを殺したのは、俺だ。
違うよ、2人でやったんだ

ジェイムズは言う。
愛してる。
だがヘンリーは言う。
「でも、愛される資格がない」。

そう言って、ヘンリーは消えた。
オマハのホテルで、ジェイムズは告白する。
ネズミの声がする。

「父さん、すぐに終わる」。
体中にネズミをまとわりつかせた3人がいる。
妻と、ヘンリーと、シャナ。

部屋の壁の穴から、ネズミが大量に入って来る。
「運命からは誰も逃れられない…」。
ジェイムズの手紙は、そこで終わっていた。



スティーブンキングの原作の映像化。
これ、嫌な話でしてね…。
映画もやっぱり、嫌な話でした。

確かに奥さんは派手で、高圧的で、どちらかというと素朴な感じの夫の方に肩入れしたくなる。
酔って、シャナとのことをからかう言葉も、母親がそんな下品なこと言うなって感じです。
こんなこと平気で言う人の服なんて、と思ってしまう。
しかし、息子に妻殺しを手伝わせるところから、この夫も嫌な人間だということがわかってくる。

本の表紙には、井戸とネズミが描かれてます。
超常現象なのか、いや、彼らの心が起こした幻影と破滅ではないか。
どんどん、悪いことばかりが起きて、救いがない。

破滅を呼び込んでるのは、自分だという感じがするのも救いがないんです。
ヘンリーなんて、完全にそうです。
ジェイムズももとはと言えば、土地を守って、農家を守りたかったためにしたこと。

なのに、何もならなかった。
最後には何にもなくなってしまったのも、救いがない。
土地を売らないで頑張っても、結局は大恐慌が来てしまいますしね。
シャナの両親の家もそうだし、みんなどうにもならない時代が来る。

うーん、つくづく、嫌な話。
最後の最後に、他のやり方があったと回顧する。
ジェイムズはネズミにかじられて死んだ…と思ったら、自殺だったんです。
映画では、3人の亡霊が現れ、ネズミが部屋にあふれるところで終わってます。

今、夕暮れからあっという間に暗くなるでしょう。
ただでさえ、精神的な病気が悪化する時期らしいんですね。
そこに来て、休みの日の夕暮れにかかる時間にこんなの見ちゃって…。
いや、映画としてはいい出来だと思うんですが、それだけにガックリ。

あー、猫!
猫、お願いしまーす!
猫ー!

スティーブン・キングって、本当に嫌な話、うまい。
誉めてるんですけど。
想像力とか、心理描写が怖かったりするので、映像化は難しいのかなとも思います。

ジェイムズは、これまたキング原作の映画「ミスト」のトーマス・ジェーン。
「ミスト」も、きついお話でしたねえ…。
ほんと、スティーブン・キング、さすが。

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