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こたつねこカフェ

癖のある俳優さん、悪役さんが大好きです。時代劇、ドラマ、映画、俳優さんのことを好きに書いています。
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しんでしまいましたの 「四月怪談」

大島弓子さんの「四月怪談」。
「背筋が寒くなるような話」と言った人がいました。
ホワホワしたタッチの絵だからそんなには感じないけど、確かに怖い話かもしれません。


「なあんて気持ちいいんでしょ!」
宙に浮かぶ少女・初子。
気圧も重力も風速も温度もまったくゼロって感じ。

そう、ゼロって言うのはこういうのを言うんだわ。
漂うって感じね。
きっと私は夢冷めやらぬ、非常に心地良い状態にあるのよ。
でももうすぐこの心地良い状態も、母親のあの身もふたもない起こし方によって壊されてしまうのよ。

現実に呼び覚ますのなら、もう少し現実の良さを表現して起こしてほしいわ。
たとえば香ばしいコーヒーの湯気をふうっとそばに寄せて。
おはよ、おいしいコーヒーが冷めてしまうから起きなさいとかさ。

『初子』
『初子ちゃん』
あの呼び方はまだ余裕のある時の呼び方だ。
まだ少し、寝ていられる。

もう少し、この自由な夢の中に居られるってわけ。
落っこってみよう。
何しろ夢だから。

初子は川に落ちた。
わー、流される。
あーっ、おもしろかった。
いつもは泳ぐ夢はトイレに行きたい時見るんだけど、トイレには別に行きたくないな。

さあて、次は何をしよう。
すると、声がした。
「ねえ、肉体の細胞が元気なうちに生き返った方が良いよ」。
「えっ」。

「わっ!」
初子の前に、髪の長い青年がいた。
「全身…、それ、何色っていうの。金…、じゃないし」。
「銀…、じゃないし、飴色って言うの」。

「夢に出て来るにしても、なんちゅう風変わりな風体」。
その青年は言った。
「生きている時は男子でした。でも今は霊だから、性別なんてどうでもいいのです」。
「あなたとは享年が同じぐらいだから、申すのですが」。

「悪いことは言わない。生き返りなさい」。
「自分の体のそばに行って、合体すればいいのです」。
「やだあ。そんなことしたら、目が覚めちゃうじゃない」。
「これは夢ではないのです。現実です。あなたは先程、死んだのです」。

「わあ、おもしろそう!そういうの大好き。んで?これからあなたと天国へ行ってみるわけ?」
「どうもわかってないようだな。今、あなたは肉体を離れた霊なのですって」。
「だから天国へ行きましょうよ」。
「天国も地獄もありませんよ。あるのは融合と消滅だけです」。

「すご、夢の中で死後説が聞ける!」
「困ったな。じゃあこれが夢でないことを証明します。こっちへ来て」。
「あなたの遺体です」。

何で頭に包帯巻いてんの?
わあ、自分も両親も、おじさんもおあさんもはっきりいる。
すごい夢!
こんな夢、初めてだわ。

「じゃあなたが家で眠るまでの1日を、僕に説明してごらんなさい。昨日、学校へ行くところから」。
「はい、いつものようにインスタントコーヒーを飲んで、8時に家を出て」。
昨日は通りがかりの家の雪柳が満開だったのよね。
あんまり綺麗だったので、あたしは小枝を一本もらうことにしたの。

1本もらって住宅街を抜けて、いつものビルの工事現場の下を通り。
学校に着いて…。
「学校に着いたら、その雪柳はどうしました?」

「飾ったんじゃない?机に」。
「どういう風に?空き瓶とか空き缶とかに?そんなもの、教室に置いてある?」
「き、きっと胸のポケットに入れたのよ。机じゃなくて胸のポケットに」。

「それを見て友達は何か言いましたか?花を見て、何か」。
「何も言わないわけないでしょう。それだけ綺麗な雪柳持っていたのなら」。
…何て言ったのかしら?

覚えていない。
全然、覚えていないわ。
何一つ。

「実際、起こらなかったことだからですよ」。
「あなたは雪柳を持って、登校しなかった」。
「あなたは花の枝を折って、住宅街を出て、工事現場の下まで来た時」。
「落下物にあって、死んだのです」。

「ですから、工事現場から後の記憶は一切なくて当然なのです」。
「…そういえば。工事中の下を通った時、頭で何か割れるような音がしたわ」。
「次、こっちを見て」。
「現場検証。白墨の跡があなたが倒れた跡です」。

雪柳が落ちていた。
夢にしてはつじつまが合い過ぎる。
すると、私は本当に…。
死んだ…?

するとあなたは本当の。
「おばけーっ!」
「あなたと同質のものです」。
「ただ違うところは、あなたにはまだ肉体がそこにあるってこと」。

「僕は自分の肉体を探している霊だ、ということ」。
「ね、先ほどから言ってるでしょ。肉体があるうちに生き返りなさい」。
「そんなに簡単に生き返れるものなの」。
「まだ肉体が十分、使えるんだから」。

だとしたら、もう少し遊ばなくちゃ!
初子は飛んでいく。
見ると、飛んでいる人がいっぱいいた。
自分も同じだと思うと、怖くない。

青年が何か言っている。
刻一刻、肉体の細胞が死滅していくわけだから、時間が経てば経つほど、生き返るのにエネルギーがいるようになる。
今ならすんなり帰れるが、明日になればもっとたくさんのエネルギーが必要になる。
それからあんまり上昇すると、大気中に溶けてしまうから。

くれぐれも迷わないように。
それから、テレポートもできます。
これを聞いた初子は、憧れの角のお屋敷の中にテレポートしてみた。
フワフワの天蓋付きのベッド。

初子は喜んだが、浮かんでいる方がずっと良かった。
そこで初子は気づいた。
片思いの津田沼くんのもとへ、テレポートするべきだ。

そう思った瞬間、初子の目の前に津田沼くんがいた。
初子は真っ赤になったが、津田沼くんには初子は見えていなかった。
其れに気づいた初子は、津田沼に抱き着いてみた。
津田沼さん、私死んでしまいましたの。

あなたは涙を流してくれるでしょうか。
津田沼さん、私、中1の時からあなたの姿を追いかけてましたの。
毎日、あなたを見るために学校へ行ってたぐらい。

津田沼さん、津田沼さん。
私、あなたの目好き。
陸上部で練習してる姿好き。
なんて、告白もできる。

津田沼くんは、何か、今日は調子悪い…と思っていた。
その途端、津田沼くんはおならをした。
う、嘘でしょう…。
「腹が…、こりゃだめだ」。

津田沼さんはトイレになんて、行っちゃだめだ!
その時、電話が鳴った。
「あ、今、家に誰もいねーんだ。はーい」。
津田沼さんはズボンも下ろしたまま、電話に出た。

初子はショックを受けていた。
「はい、あ、委員長?」
「国下初子さんが亡くなりました」。
「え?あの前の列の?」

そうです、知っていてくださいましたか。
「ほんとに?」
「告別式は明日。今夜、お通夜なのです。私、委員とあなた副委員長は出なければと思うのです」。

津田沼さんが家に来る!
片づけなきゃ!
しかし、初子は何一つ、触れることができない。

うろたえていると、玄関が開いた。
「初子ちゃんが帰って来ましたよ」。
「すいません、祭壇はこちらです」。

ひえー、祭壇?!
誰も皆、かなしそうではないな。
事務的に動いている。

ああ、津田沼さんは私を見て何て言うだろう。
どんな表情をするだろう。
泣いてくれたりしたら、何て素敵。
早く、早く、7時にならないかなあ」。

そうだ、津田沼さんにあんなに接近できたんだから、スターにも!
しかし、初子は弾き飛ばされた。
そこにあの青年がいて、初子を受け止めてくれた。

人気者にはファンの霊もたくさんいて、跳ね返されたのだと言う。
あの中にはあなたのように生き返れる余裕のある霊もおりましたんです。
でも自由さに惹かれて、こちら側に留まってしまった。
今はああやってひっついていられますが、1年も同じことをっやっていると、はた、と気が付く。

僕たちと言うのは、何でもできるようで、その実、何もできないものだ、ということ。
わかるわ、自分の部屋の片付けもできないんですもの。
だから、あなたは生き返ってください。

しかし初子は、その前に見られなかったバラ族というものの映画が上映されている映画館に入ってみた。
そこで、卒倒しかかった。
では、本物はもっと美しいのか。
そこでまた、初子は卒倒した。

青年は教えた。
ああいものは、肉体を離れてみると、すこしもおもしろくない。
人間の三大欲なんて僕らにとって何ら、必要のないもの。

初子はインベーダーゲームもやりたかったが、霊なので人がやるのは見られるが自分ではできなかった。
「僕はほんと、生き返りたいです」。
「…あのさあ、自分の遺体を探してるって言ってたわね。遭難でもしたの」。

「ええ、台風で川の氾濫にあって」。
「台風?いつ?」
「かれこれ、100年も前でしたか」。

「そ、その間、ずっと自分の遺体を探し続けて…」。
「ええ、でもこの頃はもっぱら、生き返れる霊で遊んでいるのを探して、体に戻ることを勧めるのに大忙しなのですけどね」。
「霊って、どのぐらいまで存在できるの」。
「3代分ぐらいあるんじゃないですか?3代祟るって言うでしょう」。

「だからあと、100年は探せるわけです」。
「100年も経っていたら今見つけたって、遺体はその…」。
「どこか、奇跡でも起きて冷凍にでもなっていたら、蘇生可能かもしれないでしょう」。
えらいロマンチストの霊だ。

何か生き返ったらやりたいことはないのか。
聞かれた初子は、思い出した。
夏山登。

何かというと、奇々怪々な話を持ち出す名物男。
あいつのところに行ってやろう。
そして生き返ったら、あなたの目の前に出たのに、あなたは私が見えなかったじゃないのと言ってやろう。

興奮してきた、生き返る張り合いが出てきた!
何であれ、生き返る意欲になれば良し、と青年は言う。
2人は夏山の部屋にテレポートした。

すると、帰って来た夏山が初子と青年をを見て「あれーっ、あんたらどっから入って来たの!」と大声を出した。
「み、見えるの?」
「国下さんだろ、あんた。友達?そっちの人」。

青年は夏山に、挨拶した。
初子はわからないようにそっと入ってきて、驚かせようと思ったと言った。
夏山は「この窓、すごい音するんだぜ。音を立てないように開けるのは並大抵じゃないよ」と言った。

「まあ、いいや、そういう悪戯は嫌いじゃないよ」。
初子は青年を従兄弟だと紹介した。
青年は「岩井弦之丞です」と名乗った。
下から登ー!と夏山を呼ぶ声がした。

「悪い、ちょっと待ってて」。
同級生からの電話だった
「国下さんが死んだって?」

「冗談じゃないよ、彼女、今、おれんちに来てるんだぜ」。
「夏山くん、こんな時によしてよ!」
登校中、落ちてきた鉄骨に当たって、病院に行ったが亡くなったと、同級生は知らせた。

「あの、絶対壊れそうもない初子がさあ…信じ、信じられないわよね」。
「人間ってさ、人間って、ものすごい奇跡みたいな均衡の元に動いていられるんだね…」。
夏山は黙っていた。

「うん…」と返事した。
部屋に戻ると、夏山が出した座布団だけがあった。
ポツンと2つ。
それには誰も乗っていなかった。

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