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こたつねこカフェ

癖のある俳優さん、悪役さんが大好きです。時代劇、ドラマ、映画、俳優さんのことを好きに書いています。
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あたしたちは涙以外とは手を組みません 「必殺からくり人」

早坂暁さんがお亡くなりになりましたが、この方は「必殺」を語るには欠かせない方です。
今年、平尾昌晃さんもお亡くなりになりましたが、この方もそうですね。
本当にこうしてみると、当たり前のように存在していた方たちの訃報をよく聞くようになりました。
子供の頃は、こういうことがわかりませんでした。

親世代が嘆くのはわかりましたが、身近には感じなかったんです。
それがこういう訃報に接して、実感を持ってわかってくる。
「死」というものが、身近に感じられる年齢になる、ということでもあります。
だから、当たり前のように存在していた方たちの訃報は哀しいのです。

早坂さんといえば、「必殺」ファンには「からくり人」でしょう。
子供過ぎて記憶が定かではないのですが、早坂さんはNHKで「天下御免」と言うドラマを手掛けていました。
歴史上の出来事、人物を現代にもシンクロする演出で見せていたと思います。
これにより、ドラマの中の出来事が自分たち現代に生きる者にも、リアルに感じられました。

ネズミ小僧の俊足を表現する。
その言葉に「ネズミ小僧か、新幹線か!」というセリフがあったように思います。
これは子供にも、非常にわかりやすく、おもしろかった。
すばらしい言葉のセンスだと思います。

「からくり人」の早坂さんも、そうです。
ネズミ小僧が銀座に現れる。
舞台裏の山田五十鈴さんが、三味線について語る。
今ではめずらしくないかもしれませんが、当時は相当に斬新な演出だったと思います。

山田五十鈴さんは仕事人シリーズを知っている者には、レギュラー出演者です。
しかし山田さんをテレビドラマに引っ張り出すと言うのは、当時はものすごいことだったでしょう。
当時の早坂さんへの期待と重圧は、想像以上のものがあったと思います。
そしてこれに見事に応えています。

「からくり人」は「仕掛人」「仕置人」と続いてきた「必殺」の約束を破る構成でもあったからです。
「必殺」の主人公たち、人を殺す裏の稼業の人間としての、最低限の決まりは「外道仕事をしない」。
「感情でやらない、必ずお金で依頼された殺しをやる」でした。

「必殺」や「木枯し紋次郎」というドラマがなぜ、あんなに切ないのか。
それは王道、正道から外れざるを得なかった者が主人公だから。
だから彼らが関わるものが、同じように外れた者たちだから。

「必殺」は踏みにじられた者が、最後の最期、自分の身と引き換えにしたお金で恨みを晴らす依頼をする。
踏みにじられる者の、最後の最期に守れなかったものだけに、恨みは深い。
請け負った者は、彼らの恨みというものを武器に込めて相手に叩き込む。
壮絶なドラマが生まれるわけです。

ところが、仇吉率いるからくり人は、お金を受け取らない。
「仕事屋」のおせいもたまに自分がお金を出したりしていますが、仇吉はそもそもお金を要求しない。
「あたしたちの仕事は人殺し。死んだ元締めが言っていた通り、あたしたちは涙以外とは手を組みません」。
「涙のこぼれるような依頼しか、引き受けない」。

これ、歴代の「必殺」の仕事人たちは、本当はこう言い切りたかったに違いない。
ではなぜ、からくり人たちは、涙のこぼれるような依頼しか、引き受けないのか。
彼ら自身が、世間からはじき出された者たちが肩を寄せ合った集まりだったから。
虐げられるだけに留まらず、自分たちの流した涙を人の涙に置き換える優しさと強さと切なさを持っていた者たちだった。

この基準のために、からくり人たちが関わる依頼は、ものすごくつらい。
つらい話は胸を打つ。
その通り、ものすごくつらいんです。

「津軽じょんがらに涙をどうぞ」
「私ハ待ッテル一報ドウゾ」
「鳩に豆鉄砲をどうぞ」
この辺りの話のつらさといったら、初見の時は言葉が出ませんでした。

そして、だからこそ、お金で殺しを引き受ける者との抗争が発生する。
「お上と結びつく殺し屋は、臆病者」。
仇吉にそう言われる、曇り一味との抗争。

「涙、涙だってよ」と嘲る曇り。
そんな甘いこと言ってるから、先代の元締めも殺されたんだよと言う。
ところがこれが、シリーズ史上でも屈指の激しさを見せる。

甘いどころか、お互いの組織は壊滅する。
しかし、からくり人には、とんぼとへろ松がいる。
彼女が最後に、初めて匕首を手にして相手を倒さなければ生き残っていないにしても。

最初から最後まで、「からくり人」は本当に切ない。
仇吉そっくりとなった、とんぼが明治の時代を迎え、三味線を弾く姿。
暑く寝苦しい夜を背景に始まったからくり人は、最後にとんぼの背後で雪が降り積もる中、終わる。
こんなドラマを見せてくれた、早坂さん、ありがとうございました。


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Comment

奇跡のような
編集
「必殺」シリーズには、早坂さんがシナリオ参加していなくても、冒頭のナレーションを書いているものが結構ありますね。
シリーズ構成的な関わりがどこかにあったのかもしれません。

「からくり人」は、必殺シリーズのマイベストです。
もっとも、同点で「仕事屋稼業」が並びますけれど。

長きに渡ったシリーズの中で、異彩を放つ「からくり人」。
外見は奇抜な変化球。
でも、ドラマの精神は必殺の王道。そんな作品でした。

定番が確立しつつある時期に、ちょっと冒険を試みた作品。
その遊びのさじ加減が絶妙に機能したといいましょうか。

その後も仕事人シリーズの合間に、異なるテイストの作品が挟まりましたが、結局、この最初の「からくり人」と並ぶ作品は出ませんでした。
それだけ孤高の作品と言えますし、いろんな条件やタイミングが奇跡的に機能したアダ花のような作品かもしれません。

表現が難しいですが、知的なんです。早坂さんの必殺は。
恨みを晴らすという情念を食べさせるのに、知的興奮で味付けすると言うか。
それが観る者にワクワク感を与えてしまう。

そんな異端のシナリオを、大御所の山田五十鈴さんが、名優緒形拳さんが、ノッて演じてくれた奇跡のような作品だったと思います。

この知的興奮あるドラマは、「天下御免」の延長線上にあって、私にとっての早坂さんは、その線上に私を引き上げてくれた人なのです。

因みに、「天下御免」で林隆三さん演じる小野右京介が大好きでした。
オンタイムで必殺を観始めたのは「仕事屋稼業」ですが、視聴のきっかけは林さんのキャスティングです。
つまり、早坂さんがいなければ、私は必殺を観なかったかもしれません。
2017年12月27日(Wed) 23:48
金で動かず、道理で退かず、涙以外と手を組まず。
編集
こんにちは…お邪魔します。
物語の冒頭、銀座の歩行者天国に現れた鼠小僧と、緒形拳ではなく夢屋時次郎の導きで視聴者は『からくり人』世界に入り込んでいく。
『からくり人』のメインライターである早坂暁さんの描くドラマは“はるか昔の絵空事”では終わらせないように、現代(昭和)との繋がりを見せてくれる。

虐げられた弱者たちのために遂行される“闇の正義”
最終回『終りに殺陣をどうぞ』
「あたしたちは涙以外とは手を組みません」
対峙する元締・曇りに、元締・仇吉が返す気骨と闇の信条あふれる“勝負啖呵”見事でした。
仇吉を演じる山田五十鈴さんの存在感あればこその名シーンだと個人的には思っています。

様々なアプローチで作品世界を描き、深めてきた『必殺シリーズ』
早坂暁さんの描いた『からくり人』が見せてくれた“涙”と“夢”の世界…忘れられないですね。

それでは、また…眠れぬ夜は長くて辛い~♪





2017年12月28日(Thu) 13:46
kaoru1107さん
編集
>kaoru1107さん

こんばんは。
コメントありがとうございます。

>「必殺」シリーズには、早坂さんがシナリオ参加していなくても、冒頭のナレーションを書いているものが結構ありますね。
>シリーズ構成的な関わりがどこかにあったのかもしれません。

あの味のあるナレーションは、早坂さんと聞いて、すごく納得したものです。

>「からくり人」は、必殺シリーズのマイベストです。
>もっとも、同点で「仕事屋稼業」が並びますけれど。

ベストを選べと言われると、相当悩みますねえ。
「仕事屋稼業」。
「必殺」の集大成のような「新仕置人」。
切なさ全開の「からくり人」。
沖雅也さんのベストワークであり、孤独に生きるしかなかった殺し屋の青年が人間らしく生きていけるまでを縦糸に編んだ「仕置屋」。
どれも映像美といい、素晴らしい作品。

>長きに渡ったシリーズの中で、異彩を放つ「からくり人」。
>外見は奇抜な変化球。
>でも、ドラマの精神は必殺の王道。そんな作品でした。

「仕事屋」にもありましたが、殺しがない話までありますしね。
しかし話は、「涙がこぼれるような依頼」しか引き受けない、その恨みを晴らすという必殺の原点。

>定番が確立しつつある時期に、ちょっと冒険を試みた作品。
>その遊びのさじ加減が絶妙に機能したといいましょうか。

「仕置屋稼業」「仕業人」と来て、これですもんね。
スタッフはチャレンジ精神に満ちていると思います。

>その後も仕事人シリーズの合間に、異なるテイストの作品が挟まりましたが、結局、この最初の「からくり人」と並ぶ作品は出ませんでした。
>それだけ孤高の作品と言えますし、いろんな条件やタイミングが奇跡的に機能したアダ花のような作品かもしれません。

たまにそういう、奇跡のような作品がありますが、これもそうですねえ。
山田さんの出演、それによる緒形さんを初めとする名優の終結。
それを生かすためのシナリオ。
全てが良い方向に相乗効果を生んだ結果の名作。

>表現が難しいですが、知的なんです。早坂さんの必殺は。
>恨みを晴らすという情念を食べさせるのに、知的興奮で味付けすると言うか。
>それが観る者にワクワク感を与えてしまう。
>そんな異端のシナリオを、大御所の山田五十鈴さんが、名優緒形拳さんが、ノッて演じてくれた奇跡のような作品だったと思います。

被害者側のドラマ。
そして加害者のドラマも見ているこちらには、感じられる。
さらには一体、誰が悪いのだろう?
ここでの本物の悪は、誰だろうと思わせる。
恨みを晴らして達成するだけではなく、いろんなことを考えながら見てしまう作りなんですよね。

こういうドラマが見られて幸せでしたね。
しかもそれが残っている。

>この知的興奮あるドラマは、「天下御免」の延長線上にあって、私にとっての早坂さんは、その線上に私を引き上げてくれた人なのです。
>因みに、「天下御免」で林隆三さん演じる小野右京介が大好きでした。
>オンタイムで必殺を観始めたのは「仕事屋稼業」ですが、視聴のきっかけは林さんのキャスティングです。

あの頃の若い林さんは、ものすごく魅力的です。
林さんが出てるから見よう、そう思わせるに十分です。

>つまり、早坂さんがいなければ、私は必殺を観なかったかもしれません。

良かった、kaoru1107さんが見ていなかったら、こうしてお話ができませんでした。
早坂さんに感謝です。

コメントありがとうございました。
2017年12月31日(Sun) 00:49
キラさん
編集
>キラさん

こんばんは。
コメントありがとうございます。

>物語の冒頭、銀座の歩行者天国に現れた鼠小僧と、緒形拳ではなく夢屋時次郎の導きで視聴者は『からくり人』世界に入り込んでいく。
>『からくり人』のメインライターである早坂暁さんの描くドラマは“はるか昔の絵空事”では終わらせないように、現代(昭和)との繋がりを見せてくれる。

昔の人も現代人も、考えること、感じることにそんな違いはないんだなと思わせる。
スッと、話に入りやすくしますよね。

>虐げられた弱者たちのために遂行される“闇の正義”

まさにこれです。

>最終回『終りに殺陣をどうぞ』

全編、殺陣なんですよね。
ものすごくハード。

>「あたしたちは涙以外とは手を組みません」
>対峙する元締・曇りに、元締・仇吉が返す気骨と闇の信条あふれる“勝負啖呵”見事でした。

あの「勝負!」
気迫すごいです。

>仇吉を演じる山田五十鈴さんの存在感あればこその名シーンだと個人的には思っています。

山田さんの必殺と言うと、おりく役なんでしょうが、この仇吉が私は一番好きです。
今見ると、仕草のひとつひとつの美しさ、なまめかしさに驚きます。

>様々なアプローチで作品世界を描き、深めてきた『必殺シリーズ』
>早坂暁さんの描いた『からくり人』が見せてくれた“涙”と“夢”の世界…忘れられないですね。

この作品が残っていて、いつも見られて本当に良かった。

>それでは、また…眠れぬ夜は長くて辛い~♪

この節もすごく耳に残ります。
いろんな意味で寝苦しい夜だったな、それをからくり人たちは鎮めていたなと思います。

>金で動かず、道理で退かず、涙以外と手を組まず。

良い言葉ですね!

コメントありがとうございました。
2017年12月31日(Sun) 00:58












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