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こたつねこカフェ

癖のある俳優さん、悪役さんが大好きです。時代劇、ドラマ、映画、俳優さんのことを好きに書いています。
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英雄も怪物、どちらも人殺しだろう? 「チャイルド44 森に消えた子供たち」

その男は、工場内を歩いていた。
レオの視線に気づいた男は、走り出す。
あの男だ。
ブラド・マレヴィチ。

男は森に逃げる。
レオが追いつく。
森を見回して、ブラドは言う。

「この風景、思い出すよ」。
「食い物を探して、走り回った」。
「ある時はネズミ。猫ならごちそうだ。いつも飢えてた」。

「仲間さえ、食うこともあった」。
銃を向けているレオの顔色が変わる。
飢えの記憶。
スターリンがもたらした飢餓による虐殺「ポロドモール」。

「弱い者が餌食だ」。
孤児院の光景。
1人の少年をみんなで寄ってたかって、蹴る。

「君のことは知ってるよ」。
「孤児院育ちだろう。私のように」。
「君のことなら、国中が知ってる」。

レオは、戦争の英雄だ。
「戦争が君の運命を変えた」。
「君は国家の英雄だ」。

「だが運に恵まれない子供たちも、いた」。
「私は軍所属の外科医だった」。
「だが何だ。突き詰めれば英雄も怪物も、どちらも人殺しだ」。
「答えてくれ」。

「子供を不幸にしてないと言い切れるか?」
姉妹の目の前で、ワシーリイに射殺された両親。
「君は国家保安省の隊員として、進んで殺したろう?」
レオの銃を構えた手が、下がっていく。

「だが私は…」。
「自分が抑えられなくて」。
「どうしようもなかった」。

ここから先は、結末をつけただけですが、ライーサも加えてアクションシーンとなります。
レオを抱きしめるライーサ。
そして…。

「君の復帰を歓迎するよ」。
モスクワに帰還したレオ。
長官だった少佐は、昨日逮捕されていた。
レオは復職している。

「今はもう、新体制だよ」。
将軍が言う。
「君に昇進の話を用意しておいた。国の新しい保安組織だ」。

「望むなら将来、政治にもかかわる任務にもつける」。
「ブラド・マレヴィチ!」
将軍は、声を上げた。

あの犯人の名前だ。
「新聞はロストフの狼男と命名した」。
「狼男?」
「ああ、ブラドは戦争中、ドイツの捕虜収容所で2年過ごしてる」。

「そんな環境に2年もいれば、西側の思想に転向しても不思議ではない…」。
「我々はナチスのスパイを帰国させてしまったのだ。そういうことだろう?」
「…可能性はあります」とレオは言った。
「ですが、ブラドはこの国の孤児院で育ったのでは」。

「だから敗戦の報復にナチスが彼を訓練し、帰国させたのだろう」。
「ソ連の社会が怪物を生んだ。我々にそう思わせるのが目的だ」。
「だが実際にはあの男はドイツで教育を受け、堕落し、洗脳された!」
「そうは思わないかね。デビドフ?」

「難しい質問です」。
「難しい?なぜだ」。
「それは簡単には確かめられないことだからです」。

将軍が顔をしかめる。
「ブラドがああなった理由、どちらの社会に原因があるか。簡単に、答えが求められるものではありません」。
「バカを言え」。

「昇進の件ですが、できれば別の要望をお聞き届けいただきたい」。
将軍がレオをじっと見る。
「正気か」。
「言いたまえ」。

「モスクワ殺人課を新設し、そこの責任者を希望します」。
「どうしてそんな部署が必要なのかね?」
「おっしゃる通り。殺人は国を内側から打ち破る脅威です」。
「ブラド・マレヴィチは?」

レオは、ふうっと息を吐いた。
「あの男の場合はやはり、西側の思想に毒されて帰国したのでしょう。間違いありません」。
「良いだろう」。

将軍は立ち上がった。
「あと一つ。お願いがあります」。
ロストフの警察署長を、新設する部署に呼びたい。
彼の経験は、捜査に必要です。

レオはライーサと、廊下にある椅子に座っていた。
老人が来て、部屋に案内する。
そこには、両親を射殺された姉妹がいた。
2人とも、男の子のように髪を刈られていた。

「やあ」。
レオはできるだけ、明るく声をかけた。
「こちらは妻のライーサだ。ライーサは先生をしている」。
「こんにちはエレーナ、タマーラ」とライーサが挨拶する。

「どうかしら、2人が良ければ一緒に暮らさない?私たちの家で」。
妹がレオを見て、「おじさん、家に来た人」と言った。
レオが息を止める。

「ああ、そうだ、そうだよ。でも…」。
…。
…。
「だけど」。

ライーサが空気を察して声を出した。
「あなたたちのお世話がしたいの」。
姉がもう、しゃくりあげていた。
レオが声を出した。

「ご両親を返すことはできない。会いたいだろうが、それはできない」。
「無理なんだ。できることなら返してあげたい。でもできない」。
「すまないと思ってる。気の毒なことをした」。
レオの目には涙がにじんでいる。

姉はひたすら、泣いていた。
妹はレオを凝視していた。
まばたきもせず、見ていた。

「嫌ならいいのよ。無理することはないの」。
ライーサが優しく、言った。
「別の家族を見つけてあげる。約束するわ。ここから出してあげる」。

「私たち少し外を歩いて来るから考えてみて。ゆっくりでいいのよ」。
姉妹はぎゅっと、手を握っていた。

廊下でレオとライーサは並んで座っていた。
「ライーサ。正直に答えてくれ」。。
「今でも…、今でも俺のことを、どうしようもなく怖ろしい男だと思っている?」
「今でも俺は怪物なのか?」

ライーサがレオを見る。
レオの手に自分の手を重ねる。
フッと笑う。
「いいえ」。

首を横に振る。
うつむくレオ。
廊下を、姉妹が歩いて来る。
老人に連れられて。

ライーサが立ち上がり、レオを見る。
レオも立ち上がる。
歩いていく。
距離が縮まっていく。

ライーサが、姉のエレーナの手を取る。
姉妹は手を握っている。
レオが2人のトランクを持つ。
4人は、階段を下りていく。


こうなってもまだ、ソ連に連続殺人事件などないという姿勢を崩さない。
ナチスのせいにする。
これを見て、受け入れがたいものであっても現実を受け止めない限り、先ってないんだなと思いました。

レオも世の中を良くするためには、同意するしかない。
この、本心では違うのがこちらにはわかるところがちょっとおかしいやら、闇が深いやら。
めでたく、モスクワに殺人課誕生、デミドフ敏腕刑事誕生。

最初のスターリンの虐殺、孤児院。
戦争。
ブラド・マレヴィチの言葉。
うまくつながっているんですね。

そして「戦争の英雄も、シリアルキラーも同じ人殺しだろう?」の言葉。
「子供を不幸にしてないか?」
レオの心に突き刺さった。
結果、最後にレオはあの姉妹を引き取ることを決意する。

ライーサに怪物と言われたレオだが、夫婦はもう、危機を乗り越えて深く結ばれている。
1953年にスターリンは死去している。
将軍が古い時代は終わったと言うけど、確かにそうなんです。

新しい部署は、おそらく、KGBでしょう。
プーチン大統領が長官をしていたところ。
この映画では戦友のアレクセイさえも、レオを見張る。

ワシーリイに息子は事故です、と言う。
しかし、アレクセイはその直後、ワシーリイに射殺されてしまうんです!
本当にこんなにあっさり、隊員を殺して良いのかはわかりませんが。
アレクセイにも、反逆罪の疑いがかけられていたのかもしれません。

チェコスロバキアだったか、こんな話を聞いたことがあります。
「近頃、魚が釣れなくなったよ」。
「魚も口を開くのが、怖いんだろう」。

いかに当時の共産主義国家の密告、監視が怖ろしかったか。
ロシア、今もいろいろ言われているけど、少なくともこの時よりは全然良いんだなあ…と思いました。
2時間を優に超える長い映画ですが、飽きさせません。
ただ、登場人物が多くて、あまり見分けがつかないのと脳内で補完が必要です。

テーマも重いため、とても疲れるので、休日か、翌日休日の時に見るのが良いと思います。
ミステリー部分は少ないです。
あれほどの犯罪を重ねた男の動機も、よくわからない。

そういう男なんだ、という解釈も、今日ではアリなのかもしれませんが。
子供の時のスターリンによる飢餓の虐殺で、仲間を食べたことがあると言っていました。
それが彼の人生に影を落としたのかもしれませんが、そこも掘り下げていないのでわかりません。
なので、この辺りは物足りないと感じる人も多いかもしれません。

その分、国家とは何か。
友情とは、人と人との絆とは何か。
こういう社会で、人はどう生きるべきか、考えさせられる映画です。

この後、本当にソ連が解放されるのは、まだまだ先。
1953年ですから、30年。
ゴルバチョフを、待たなければならないんですね。
ペレストロイカまで、待たなければならない。

2014年公開。
ダニエル・エスピノーザ監督。
レオはトム・ハーディという、人の好さが隠せない感じの俳優さんが演じてます。

ネスデロフ警察署長は、ゲイリー・オールドマン。
出演時間は短いし、あんまり活躍するシーンはありませんが、存在感はさすがです。
この俳優さん大好きなので、うれしい。

ライーサはノオミ・ラパス。
ドロドロの泥だらけになりながら、最後はレオと共に闘います。
ワシーリイはジョエル・キナマン。
冷酷で卑怯な感じがすごくうまく出ていて、物語を盛り上げてくれます!


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