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好キニナッタラ命ガケーッ!

全部、ネタバレしてますので、未見の人は注意してくださいね。
DVDもないみたいですし、再放送はされない。
もう一度見られたら1話ごとに書きたい気持ちはありますが、何もないのでざっと書いていきます。


「沙粧妙子 最後の事件」で最初に登場する犯人は谷口光二という20歳の若い男。
何と、香取慎吾くんが演じています。
ヘリウムガスで声を変えて、風船を手に持ち、「スキニナッタラ イノチガケーッ」と叫んで走る。
「IT」という映画で邪悪なピエロが出てきますが、まさにそんな感じです。

谷口は妙子の妹に近づく。
本当は妙子にだけ、自分のことをわかってほしかったと言いながら。
妙子にこちら側に来てほしいと言う。

そのために、妙子が大切なものを失うのが良い。
しかも目の前で。
そう言う谷口の手には、ナイフが握られている。
隣に座った妙子の妹・美代子の手を抑えている。

狂気に満ち溢れています。
良くやったと思います。
実は私はこの時、香取慎吾さんをほとんど知りませんでした。
アイドルグループの一員と聞いて、信じられなかった。

大胆不敵にして、狂暴。
最終的には9人を殺害する凶悪犯。
しかし、その目の底には寂しさがある。
人恋しさがある。
一体、それは何なのか。

谷口の家は、今は無人になっている。
母親は谷口が生まれて、3年目に出て行った。
父親は76歳で亡くなった。
とても厳格なクリスチャンだったと言う。

さらに以前は、人の顔もまともに見られないような少年だったらしい。
それがどうして、女性に声をかけては殺害し、指の爪をはぐようなことをするようになったのか。
犯罪を楽しむようになってしまったのか。
「梶浦」と妙子は言う。

谷口には、15歳年上の姉がいる。
その姉を沙粧妙子と松岡が訪ねた。
姉は沙粧の顔を見ないようにして、話を早く打ち切りたがった。
弟からは2年前に「さよなら」という手紙が来たきりなので、連絡は来ないだろうと言う。

「さよなら。僕は新しい人を見つけた」。
「僕はその人を愛するため、努力する」と。
それは、妙子のことなのか。

姉は、あの子のことは、好きになれなかったと言う。
「あの子?」と沙粧妙子は聞き返す。
谷口の部屋には、6年間にわたるロスコープを記したノートがあった。
自分自身のの星座ともう一つは、ふたご座だった。

「あなた、星座は?」
ふたご座は、姉の星座だった。
そこまで姉に執着する理由。

話を聞いた池波は、ここで見抜いた。
妙子にもわかった。
やっぱりあれだ。

姉と考えるだけでは、この執着は弱すぎる。
松岡には、何のことかわからなかった。
沙粧と松岡が教える。

あれは姉ではない。
谷口の本当の母親だ。
姉と言われている女性が、15歳で生んだ子供だ。

望まれなかった子供・谷口光二。
谷口は母親に愛してもらうため、一生懸命だった。
夜、谷口が地下道を歩いていく。

そこの壁には、小さな字で何かが書かれている。
指でそれをたどった谷口は、沙粧たちが避難しているホテルに現れた。
両手に大きなバラの花束を抱えている谷口の顔は、フロントからは見えない。

谷口は客室の廊下を歩く。
ふと、何かの気配を感じ、立ち止まる。
廊下がゆがんで見える…。

谷口は、投身自殺を遂げた。
数人が、柵を声て下のプールに落ちるのを見ていた。
一体、なぜ、投身自殺などしたのか。

浮かび上がる谷口を見た妙子は、言う。
「梶浦よ」。
谷口は梶浦が投身自殺させたのだ。

死体となった谷口がプールに浮かぶシーンも、とても美しい。
口の中に赤いバラの花びら。
まるで泣いているように、目の端から水がこぼれていく。
求めて得られない母親の愛を、禁断の子であることを谷口は梶浦に利用された…。

「沙粧妙子」は殺しをまるで、美しいもののように見せる。
それは「横溝正史」のように。
この辺りも再放送できない理由なんでしょうか。

梶浦が関わった犯罪の死体は、バラの花びらをあしらった、妙子へのプレゼント。
ですから、美しく見せて当然なのかもしれません。
この9人殺害のトップバッターからバトンを受け継ぐ、次の殺人者は北村麻美と言う女性。

国生さゆりさんが演じます。
昔のドラマを見る時に、その当時のファッションがどうだったかというのも見ることができます。
「沙粧妙子」の場合は、国生さゆりさんのファッションがそうかもしれません。

沙粧妙子は、丈云々と細かいことを言わなければ、今でも通じそうなダークスーツです。
国生さんはボディコンシャスな、夏の半袖スーツで登場します。
こういう夏用のスーツ、ありました。
ちょっと、セクシー。

その通りに、この北村麻美は男性を誘惑しては、それに乗って来た男性を毒殺するのです。
初めて真剣に恋をした男性に手ひどい裏切りを受け、そのトラウマを梶浦に利用された。
彼女は「梶浦」に恋をしてしまったが、梶浦は彼女を殺人犯に仕立て上げるため、利用したということです。

松岡の尾行をまいて、陰から沙粧たちをのぞきこむ麻美。
その姿がディスプレイに映って、2重になっている。
もう一つの顔が、流れるようにゆがんで映っている。
この辺りが、麻美の病的な内面を示唆して、うまい演出です。

北村麻美の被害者となった男性に、反町隆史さんがいます。
初めて見た時、綺麗な男性だと思いました。
プレイボーイ設定がピッタリ。

この国生さんは大胆不敵であり、母親からベビーカーを奪って坂から転がすのも平気でできる。
だけど、梶浦圭吾には心酔しています。
そのため、沙粧妙子に対して嫉妬し、対抗心を燃やしている。
梶浦圭吾を理解しているのは、沙粧妙子だけだからです。

しかし、同時に同じ男性を好きになった者として、親しみを感じている。
妙子に接触したことで梶浦から別れを告げられた朝美は、暴走。
電車の中で痴漢をしてきた男を殺害。
さらにまた、男性を殺害。

やり場のない悲しみを、自分に欲望を向けて来る男への憎悪に変えています。
この様子がとても哀れ。
自ら命を絶つしかなくなり、妙子に梶浦の写真を見せてくれと懇願する様子は悲しい。

彼女が知っている梶浦は、声だけだった。
梶浦に恋をしているようでいて、彼女は梶浦のことを何一つ知らない。
妙子に追い詰められた時、朝美は「私たちは愛し合ったの」と言う。

だが妙子は、利用されただけだと言い放つ。
「本当にあなたを愛する人と出会っていたなら、あなた、こんなことにならなかった」。
麻美だけではなくて、谷口にもこれは当てはまります。
さらにこのセリフは、次の日置武夫で生きてきます。

「やっぱり、似てるよね、私たち」が麻美の最期の言葉でした。
若手の刑事の拳銃を、倒れるふりをして奪った麻美は松岡に銃を向けた。
だが麻美の殺人は、自分に対して欲望を抱いた男を毒殺するもの。
目の前にいる、自分に対して何もしていない松岡を射殺できるようなものではなかった。

この時の、懸命に殺意を向けようとする麻美の必死の呼吸。
やがて、無理だと悟って自分を撃つ麻美。
国生さんの演技が見事です。
梶浦を愛し、梶浦に振り回された人生。

それをわかってくれるのは、妙子だけ。
自分は妙子になれなかった…。
やったことは許されませんが、愛されず、振り回された挙句、利用だけされ、自ら死を選ぶしかなかった。
谷口同様、北村麻美もまた、かわいそうな犯人ではありました。


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