FC2ブログ
TOPドラマ・連続サスペンス ≫ ずっと一緒だ、ずっと 「限界団地」

ずっと一緒だ、ずっと 「限界団地」

楽しませてもらいました、佐野史郎さん主演の「限界団地」。
ネタバレします。
以下、まだご覧になってない方はご注意ください。
実は最初に書いたのが消えてしまって、くじけて寝ましたよ。


佐野史郎さんありき、佐野史郎さんじゃないと成立しないドラマでした。
すばらしいですね。
理想的なドラマの形では。
佐野史郎さんが出るドラマって、そういうのが多いですけど。

このドラマ、始まる時に、昭和の名優へのリスペクトも込められてると言ってました。
実際に、小松政夫さん、山谷初男さんといった名優が、それぞれ、現在の高齢者のひとつの姿を演じてました。
妻に先立たれ、高齢者には決して楽な環境ではないはずの団地に一人、住み続ける小松政夫さんは見事でした。
おそらく、現役で働いていた時は実直で、良い人だったことが伺えました。

それが、自分が知っている青年だった佐野史郎に孤独・哀しみを訴える。
普段、しっかりした人だけに孤独のつらさが胸を打つ。
さすがでした。
あの第1回で、団地が抱える問題が浮き出ましたから。

ここはいろんな意味で「限界」団地なのだと。
元気なころの住宅であり、今老いた自分には肉体的にとてもキツイという面。
でも、どんなに不便でも越していけない経済的な面。
孤独という精神的な面。

そしてこのドラマのスタッフは、佐野史郎さんの出演作を良く見てますね。
佐野史郎さんに愛があります。
ところどころに、「これはあのドラマだ」と思うことが。
しかし最後の結末が「沙粧妙子 最後の事件」だったとは!

「沙粧妙子 最後の事件」で佐野史郎さんが演じたのは、池波宗一。
主人公・妙子をサポートする池波宗一は、元は妙子と同じ、選抜された集団であったプロファイリングチームの一員。
しかし、物語の終盤、池波は本当の姿を表します。

これまで起きていた、連続猟奇殺人。
連続快楽殺人。
犯人たちは、元は心に傷を抱えていたが、殺人なんてできるような人間ではなかった。

むしろ、おとなしい方の人間だった。
彼らは誰かに操られていた。
その真の犯人であったのが、佐野史郎さんの池波宗一だったのです。
終盤に本来の姿を見せてからの佐野史郎さんは静かな、だが確実な狂気と冷酷かつ、残酷さで視聴者を恐怖させました。

そしてこの「限界団地」。
佐野史郎さんの寺内さんは、池波宗一並みに自分の論理で人を殺して行きました。
私が「沙粧妙子」のことを思い出して書いてしまったのは、この為です。

しかし!
「限界団地」の最後は、寺内さんは操られていた?!と思える最後でした。
このドラマ、本当に佐野史郎さんを良くご存知ですね!
寺内さんは池波宗一だったのか?!

しかもこのドラマでは、寺内さんが操られて「直接」「連続殺人」に手を下した側。
そしてその最後も、池波宗一。
池波宗一は刑務所に入りはしませんでしたが。
寺内さんを操って、殺人をさせて、自分にとって障害となる人物を排除していたのは、孫のほのかちゃんだった!?

「いじわるなんだよ」。
「火事になったんだって」。
「ふうん。火はいじっちゃダメ。火事になるからね…」。

ほのかちゃんの、ニッコリ。
おじいちゃんと同じように、このママもほのかちゃんが嫌な人を排除してくれると思っているのか。
ただの微笑みなのか。
でもダンチマンを江理子さんが作っていたから、ダンチマンは江理子さんに受け継がれたことは示していた。

暗示的なドラマでした。
寺内さんが誰を、結局何人手に掛けたのか。
ほのかちゃんがやらせてたのか。
はっきりそうだと示さないで、「そう考えても成立する」ドラマにしたところも良かったです。

寺内さんは、孫のほのかちゃんを誰よりも何よりも大切だと思っていた。
だからそれを傷つけるものは、息子であろうと許せなかった。
しかしその寺内さんの気性を、ほのかちゃんが利用していたとしたら?
息子夫婦は虐待ではなく、躾けていただけだったとしたら?

でも、ほのかちゃんにはそれが自由を奪われていることだったとしたら?
だとしたら、息子のお嫁さんのお母様・朝加真由美さんの嘆き・怒り・憎しみは当然のものだった。
お嫁さんは純粋に被害者だったかもしれないと考えると、非常に怖い。

また、息子さんは寺内さんみたいな、自分なりの基準でほのかちゃんに対処する怖い父親だったとした?
ほのかちゃんは寺内さんの性格を凝縮した子供だったとしたら?
そうならば、これから、ほのかちゃんと、ほのかちゃんの「母親」が行く道は…?

寺内さんは青年の時、愛する女性にDVをふるっていた旦那さんを殺してしまっていた。
しかし、寺内さんの殺人を父親は、知っていた。
今また、寺内さんが殺人を始めたことを父親は、知っていた。
きっかけは、孫のほのかちゃんを虐待する息子夫婦から守ることだった。

寺内さんが人を手に掛けるのは、愛する人を守るためというのが大きいのかも。
愛する人を守るためなら、何をやっても良いというのが寺内さんの基準。
それがある時、殺人は寺内さんの中で正当化され、次々と実行していく。

正義漢から来る殺人。
しかもその正義の基準は、自分の独特な基準であること。
さらに正義の遂行に、手段を択ばないこと。

あと、最初は嫌な仕事を押し付けられても、旦那さんにバカにされても何一つ言えず肯定するだけだった江理子さん。
その江理子さんが最後、強かった。
人は自分が守るべきもの、自分の中で正当化できるものを得た時に今までは考えられないようなこともできる。

それが狂気であったとしても…。
正当化された狂気は、受け継がれていく。
このドラマは佐野さんを通して、そういう恐怖を表したドラマだったのかもしれません。

だけど、寺内さん。
刑務所の中でも、結構楽しく君臨していそうで怖い。
どれだけ犯行が立証できて、どれだけの刑になるかわからない感じがします。
裁判やら何やらで、もう出て来ないとは思いますが。

あと、自治会長。
演じた山崎さんが最初に「クズ」と言っていましたが、確かにクズかもしれない。
だけど、「俺にも良心というものがあるんですよ!」と次第にエスカレートしていく寺内さんに怒りを覚えていた。

その点で、ドラマとしては生き残れたのかもしれませんね。
最後に、第1回でぶっ殺したいほど頭に来ていた騒音お姉さんと仲良くなっていたのもほのぼの。
あと、なぜか寺内さん、自治会長のことは本気で殺そうとは考えていなかった感じがします。

利用価値もありましたけど、どこか憎めなかったのかも。
寺内さんが本気なら、いなくなっちゃいましたよね…。
最終的に寺内さんも江理子さんも、ほのかちゃんも、自治会長もそれなりに幸せに落ち着いた感じがします。

おもしろいドラマでした。
リアリティも必要だけど、ドラマだからこれぐらい吹っ切った展開はやっぱりおもしろい。
だからこれ、ゴールデンタイムにできるかと言ったら、いろいろと無理だと思いますけどね。

本編放送後の佐野さんの一言もいつも、楽しみでした。
今回の「おじいちゃんはずっと一緒だ」は、狂気を感じてほしいのと、このドラマを見ていた人への感謝のメッセージかな。
ずっと一緒、DVD買ったら一緒ですよね?!
あっ、そういう意味?!

最後、ドアがバン!と閉まって、ダンチマンの仮面が光ったラスト。
良かったですね。
ああ、「限界団地」「あやめ町団地」が終わりなんだと思ったら、寂しくなりました。

佐野史郎さん、お見事!
最後に逮捕される時、思いっ切りもがいてみせてくれました。
あの辺りの佐野さんのサービス精神、好きです。

他の出演者の肩も、良かった!
楽しませてもらいました、ありがとう!
出演者の個性を生かしたオリジナル脚本の、こういうドラマをまた見たいです。
寺内さんリターンズ!も、ちょっと見てみたい。


スポンサーサイト

Comment

凄すぎて妻は怯えて見れなかったそうです
編集
いやーホントに「毎週放映を楽しみに待つ」久々のドラマでした。
『寺内ロス』続きそうです。多分DVDとか買いますね。「沙粧妙子 最後の事件」も見たくてしょうがないです。

話変わりますが「正義感からくる殺人」って「うらごろし」とか「からくり人」のコンセプトとかぶってる気がします。方向性変えて狂気をまぶすと、ここまで利己的になるんですね。(うらごろしの先生が寺内さんだったら…)
2018年08月07日(Tue) 00:25
地味JAM尊さん
編集
>地味JAM尊さん

こんにちは。
コメントありがとうございます。

>凄すぎて妻は怯えて見れなかったそうです

佐野さんの異常さって、何かリアルで身近なんですよ。
ああいう人、いるなって感じの身近さがある。

人当たりの良い人がいきなり豹変する怖さ。
本当はこういう人なんじゃないかって思えるような、怖い面を見てしまった。
しかもそれは自分しか見ていない、誰も信じてくれない。
こういうことってあるなって怖さなんですよ。

>いやーホントに「毎週放映を楽しみに待つ」久々のドラマでした。
>『寺内ロス』続きそうです。多分DVDとか買いますね。

ほんとに、寺内さんに会えない土曜の夜が物足りなくて。
あの時間になると寂しい。
怖いけど寂しい!

>「沙粧妙子 最後の事件」も見たくてしょうがないです。

これ、名作だと思うんですが、今は地上波は絶対無理なんでしょうね。
みなさん、はまり役で熱演でしたよ。
おもしろくて毎週、絶対見逃したくなかったです。

>話変わりますが「正義感からくる殺人」って「うらごろし」とか「からくり人」のコンセプトとかぶってる気がします。方向性変えて狂気をまぶすと、ここまで利己的になるんですね。(うらごろしの先生が寺内さんだったら…)

ありますねえ!
佐野さんも頭に置いて演じてたのかな?
正義、神聖なもの、許せないというフレーズが印象に残りましたね。
彼は彼の正義なんだなと思いました。

だから仕置人の鉄は、ものすごくギリギリのところでもちゃんと保っていた。
最後は自分が死ぬはめになろうとも、外道には協力しなかったんだなあとか思いました。

「うらごろし」「からくり人」はお金で動かないだけにもっと、危うい基準で動いていた。
「からくり人」は曇り一味という、明らかに真っ当じゃない殺し屋集団がいた。
なのでかえって、感情に流されがちな若いメンバーでも規律が保てていたのかもしれません。
そして本当に悲惨な、切ないパターンが多かった。

「うらごろし」も非常に残酷なパターンが多かった。
生きたまま鐘の中に溶かされていたとか、ぞっとするようなものが多かった。
あれは幽霊が最後に報復する「怪談」とほとんど同じですね。
先生が異常なまでにストイックなのは、やっぱり踏み外さないためには必要なことだったのかもしれません。

コメントありがとうございました。
2018年08月12日(Sun) 11:14












非公開コメントにする
Trackback

Trackback URL